おほしさまの先生からの子育て応援“談”!
第19号 2006年11月
■新・すり傷の対処法
もうすぐ、インフルエンザの季節に入ってきますが、みなさんはインフルエンザワクチンを接種する予定ですか?インフルエンザは冬の悪玉のかぜです。ワクチン接種で、重症化が防げますので、接種をお勧めしています。今月は、昨年私が学会で聞いた長野県松本市にある相澤病院傷の治療センター長、夏井睦先生による「傷」の話を基に「すり傷の新しい対処法」をお話します。まず、消毒薬が本当に必要なのか、次に傷の痛みのからくり、傷の対処法について話を進めていきます。
Q1. 消毒薬の働きは?
A1. 細菌だけでなく、正常な細胞も殺します。
おうちにマキロン、アクリノール、イソジン、オキシドールなどの消毒薬があると思います。「けがをしたら消毒をしよう!」ということはみなさんの常識ですよね。(以前は私もそう思っていました。)それがちょっと違うようです。消毒薬はたんぱく質を変性させて細胞を殺す働きがありますが、細菌(バイキン)も正常の細胞(人体)のどちらも殺してしまいます。とすると、傷を消毒すると、傷口には正常の細胞もあるので、その細胞も殺してしまい、かえって傷口が深くなる可能性があるのです。消毒をすればするほど傷のなおりが遅れるということになります。
Q2. 傷はなぜ痛いのか?
A2. 消毒薬とガーゼを使用すると痛みがでます。
痛みの神経は皮膚に分布しており、傷は皮膚の表面が損傷しているので、ちょっとした刺激で痛みを感じます。細胞は乾燥状態にすると死んでしまいますが、傷口を乾燥させると、傷口の正常の細胞も死んでしまい、痛みにつながります。ガーゼは傷口を乾燥させるものなので、ガーゼを使用すると傷口が乾燥し、痛みがでてきます。よく傷があると、ジュクジュクと液体がでてきますよね。あれは、傷をなおす物質のかたまりです。傷をなおすのにジュクジュクが必要で、乾燥ではなく、潤いが必要なのです。傷の痛みは、消毒されるとき、ガーゼをあてて傷が乾いてしまうとき、傷口にくっついたガーゼを強制的にはがされるときに痛みがでてきます。
Q3. すり傷にはどのように対応したらいいのでしょうか?
A3. 消毒薬・ガーゼを使用せずに、水で洗いワセリンを塗ってラップで保護しましょう。
まずは水道水でしっかりと洗い流してください。洗い流せばバイキンはいなくなります。次に、消毒薬は使用せずに、ワセリンを塗って、ラップ(サランラップなど)やハイドロコロイド素材のパッド(ジョンソンアンドジョンソン社のキズパワーパッドなど)で保護してください。ラップやパッドがずれないように、テープで固定してその上を包帯で巻くのもいいかもしれません。1日1回(夏2回)の交換はしてください。一度お試しを!そうはいってもちょっと不安になったあなたへ、こんな経験はないでしょうか。口の中の傷です。口の中の切り傷は消毒も薬も使っていないのにすぐに治っていませんか。口の中は唾液で潤っているから消毒薬、ガーゼも使用せず、すぐに治っていますよね。体はちゃんと傷をなおす能力をもっています。
Q4. 手に負えないときに対応してもらえる病院は?
A4. ホームページ(http://www.wound-treatment.jp/)にリストがあります。
小児科は外科的な手当が専門ではないので、お探しであれば、ホームページをご覧ください。
今月のまとめ:「消毒してガーゼ」から「消毒しない・乾かさない」へ
(おまけ)
乳幼児窓口無料化おめでとう!
「なせば成る。なさねば成らぬ何事も。」こんなことを今回の運動でみなさんが感じたことではないでしょうか。私自身とてもうれしかったです。「もっとこうできないか」と皆さんいろいろと思っていることもありますよね。これからはどんどんと意見を言って子育てしやすい社会にしていきましょう。政治に無関心になっていませんか?世の中のいろんなことを決めるのが政治ですよ。
来月は「どんな時に救急受診をすべきか?」です。そこでこのテーマに沿った皆さんからの質問・意見を募集します。こんなことを聞いてみたい、こんなことで悩んだ経験があるなど皆さんの率直な意見をお待ちしています。
genkids@amber.plala.or.jpまでよろしくお願いいたします。