おほしさまの先生からの子育て応援“談”!
第9号 2006年1月
■胃腸炎を考えよう
新年あけましておめでとうございます。子どもに関わる事件が多発していて、子育てをしている皆さんにとっても心配かと思います。私を含め、これをお読みになっている皆さんから、地域の子ども達の見守りを心がけていただけたらありがたいと思っております。
今年も小児科医の立場からみなさんにお役に立てる情報を発信していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。今月は「胃腸炎」についてお話をします。
Q.胃腸炎って?
A.「胃腸炎」と聞き、そんな病名よりも「腸感冒」、「おなかのかぜ」、「嘔吐下痢症」、「はきくだし」などを耳にしている方の方が多いのではないかと思います。多くの病名があり、混乱している方もいるかもしれませんが、どれも基本的には同じ病気と考えて構いません。 胃腸炎は字のとおり、胃腸に炎症がおこり、嘔吐・下痢・熱などの症状がおこります。原因はウイルスと細菌に大きく分けられ、多くがウイルスによるもので、ロタウイルス・アデノウイルス・カリシ(SRSV)ウイルスなどがあります。頻度は少ないですが、細菌は大腸菌・サルモネラ菌・カンピロバクターなどがあります。
感染経路は多くが患者さんの便や嘔吐した物にさわり、口から入ります。このために、予防のために手洗いやうがいは大事となります。潜伏期間は1〜3日程度です。
Q.どんなタイミングで受診した方がよいのでしょうか?
A.嘔吐を1〜2回しても元気がよければおうちで回復を待ってもいいかもしれませんが、嘔吐が3回以上あったり、ぐったりしていたり、高熱がでたりしたときは受診した方がいいと思います。1歳以下のお子さんは病状の進行が早いこともありますし、嘔吐があれば胃腸炎以外の病気も考えなければなりませんので、低年齢のお子さんは早めの受診をお勧めします。
Q.検査ができるのでしょうか?
A. ロタウイルス・アデノウイルス・細菌を疑った場合は、検査を行ないますが、症状が比較的軽い場合は、検査はしないことがほとんどです。症状が重い方は検査をし、治療に役立ていてます。
Q.治療は?
A.ウイルスが原因であれば今のところ、特効薬はありません。細菌であれば、抗生剤が治療薬です。胃腸炎の症状で一番心配なのは嘔吐が続く場合です。嘔吐がある場合は、口からものを少し入れないで様子をみて、必要があれば制吐剤(ナウゼリン・坐薬と飲み薬)を使用したりします。症状がひどくなれば点滴が有効ですが、そこまで症状がひどくない方では、今年4月から発売された「OS−1(大塚製薬)」という経口補水液があります。これを利用するのもそれなりに効果がありますので、今回ご紹介します。これは症状が軽めの方に有効とされます。今までの飲み物(スポーツドリンクなど)よりも、胃腸炎などの病気で脱水ぎみのお子さんに対して有効です。以前の飲み物よりも、ナトリウムとブドウ糖の濃度がWHO(世界保健機関)で推奨されている濃度に近く、体の吸収がよいと言われています。
うちのクリニックでも試していただいていますが、以前より点滴する患者さんが減っており、助かっております。但しこの経口補水液がすべてに対応できるわけではなく、必要なお子さんは、点滴や入院の治療が必要なことは決して忘れないでください。欧米での学会から推奨されている「急性胃腸炎のよい治療の9つの柱」というものを以下に述べます。具合が悪くなったときに参考にしていただけたら幸いです。
1. 脱水の水分補正には経口補水液を用いる。
2. 使用する経口補水液は低張液とする。(Na60mEq/L,ブドウ糖74〜111mmol/L)
3. 経口補水液による脱水補正は急速に(3〜4時間)行なう。
4. 食事再開は早く行い、固形食を含む正常食とする。
5. 治療乳は不要。
6. 希釈乳は不要。
7. 母乳栄養児は母乳を続ける。
8. 治療中の水分喪失は経口補水液で補正する。
9. 不必要な薬物は使用しない。
来月は「腹痛をおこす病気」についてお話します。