おほしさまの先生からの子育て応援“談”!
Vol.32 どうなっているの?日本脳炎ワクチン!
あけましておめでとうございます。今年も皆様に最新の情報を提供していきたいと思いますのでよろしくお願いします。
先月、ある勉強会の講師として「山梨の小児医療の現状と将来」についての話をしてきました。参加者から「こども病院」設立への必要性について聞かれました。「こども病院」設立大賛成です。現在、県内の小児科のある病院を1つに集約化することで、小児科医・患者様両サイドからのメリットがあります。小児科医にとっては「長時間労働が解消できることでの働きやすさ、そしてやりがいでてくる」、患者様にとっては「多くの小児科専門医がいる病院で質の高い医療を受けられること(=生存率・QOLを向上)」が実現できます。昨今の地域の産科がなくなっている現象がやがて小児科に到来してくるのも時間の問題です。今こそ、行政からの提案ではなく危機感をもって県民主体で「こども病院」設立を議論し、よい医療を受けられる体制作りを考えるべきではないでしょうか。今月は皆さんが非常に気になっている日本脳炎ワクチンのお話をします。
Q1. 日本脳炎ってどんな病気ですか?
A1. 日本脳炎ウイルスの感染でおこる病気です。
ウイルスに感染した豚の血を吸った蚊を通じて人間に感染します。100〜1000人に1人が脳炎を発症し発症者のうち20〜40%が死亡し、生存者の半数は神経系の後遺症を残す病気です。東アジア・南アジアにかけて広く分布し、現在でも世界的には年間3〜4万人の日本脳炎患者の報告があります。1960年代は、国内で年間1000人以上が発症していましたが、予防接種の普及により92年以降は年間10人未満に激減しました。発症者のほとんどが中高年でしたが、昨年9月に熊本県で子どもが1人発症しました。治療の特効薬はなく、発症を防ぐにはワクチン接種しかないのが現状です。少し前に厚生労働省が作った日本脳炎にかからないようにするためのポスターをみましたが、「蚊にさされないようにしましょう!」とありました。1度も蚊に刺されないようにすることは無理だと思いますが、皆さんはどう感じますか?
Q2. 日本脳炎ワクチンは今どうなっているのですか?
A2. 積極的勧奨を控えています。改良型ワクチンの使用は早くても2009年以降といわれています。
平成17年5月、日本脳炎ワクチンを接種した後に重い脳神経系の病気(急性散在性脳脊髄炎,ADEM)が発生したことで、接種を積極的に行わないことが国の方針で決まりました。当初は改良型のワクチンがすぐに使えるということでしたが、2年半も経った今も接種を控えている状況です。改良型ワクチンが使えるようになるのが、2009年以降といわれています。
Q3. 旧型ワクチンでも接種した方がいいですか?
A3. ワクチンがあるようならお勧めします。
積極的勧奨を控える措置をとったきっかけは、ワクチン接種で重い後遺症(ADEM)がおこったことでした。この後遺症の頻度は70〜200万回に1回おこると言われていますが、ワクチンをしないと、日本脳炎にかかる可能性がでてきます。現在もブタの80%以上が日本脳炎の抗体があり、発症する可能性があります。昨年こどもの発症が1人のみでしたが、このまま多くの人がワクチンをしない状態が続くと日本脳炎の発症者が増える可能性があります。昨年夏参加した外来小児科学会では「日本脳炎ワクチンの接種を勧奨しよう!」と提言しました。ただ、県内では現在、ワクチン接種を希望しても在庫がほとんどなく事実上接種できません。1日でも早く改良型ワクチンの接種ができることを願っています。
参考資料:厚生労働省ホームページhttp://www.mhlw.go.jp/qa/kenkou/nouen/index.html
(最後に)
今から30年前に三種混合(DPT)ワクチンが2人の接種事故をきっかけに一時中止となりました。中止となる直前まで百日咳の死亡者がゼロであったのが、1975年から1979年までの5年間で百日咳の大流行がおこり113人のお子さんが亡くなりました。接種が控えられることで流行が起こります。日本脳炎も同じようにならないことを願っています。
来月は「家族で実践!早ね早起き朝ごはん!」です。答えは来月号をお楽しみに