平成23年8月号(Vol.76)
熱中症には気をつけて
夏本番ですね!今年は6月から真夏日がみられ、例年と比較しても早い梅雨明けでした。山梨の夏は盆地のため、東京に比べて昼間の気温が高く、夜は低くなります。昨夏の熱帯夜(最低気温25度以上)の日数は東京が27.8日に対し山梨は4.0日でした。山梨の夜は東京に比べて過ごしやすいのですが、昼間は暑いので、熱中症対策はしっかりとしておかなければなりません。
今月は熱中症対策についてお話しします。
熱中症ってどんな病気?
私たちは体温が上がると、主に汗をかくことで、熱を逃がし、体温を下げます。熱中症は高温多湿の状態で、汗が蒸発できなくなり、体温調節が難しく体のバランスを崩してしまい、いろいろな症状が起こる病気です。
猛暑の戸外で活動しているときに起こることが多いのですが、子どもの場合は閉め切った室内や体育館、自動車の車内などで起こることもあります。地表に近いほど体感温度が上がり、同じ気温でも背が低い子どもは大人よりも高温になります。体温調節が未熟である子どもは大人と比べて熱中症になりやすい特徴があります。
症状は
今までは熱中症を重症度で日射病・熱けいれん・熱疲労・熱射病と分けていましたが、理解しにくいこともあり、Ⅰ度(軽症)・Ⅱ度(中等症)・Ⅲ度(重症)に変更されました。症状は軽いときはめまい・失神・筋肉痛・大量に汗をかくなどがみられる程度ですが、重症化すると、頭痛・嘔吐・意識障害・けいれん・高体温などがみられます。症状が軽い場合は風通しのよい涼しい場所へ移動し、衣服をゆるめ、水分をとることが大切ですが、意識がない状態であれば、救急車を呼び早めの対応をしてください。
体温が上がりげんきがなくなると、熱中症か、かぜか判断に迷うことがあります。体を冷やしたり、水分補給をしながら意識がしっかりしていれば慌てる必要はありませんが、意識がしっかりしていなければ熱中症の可能性がありますので医療機関へ受診してください。
症状は
熱中症は死に至ることもありますが、適切に対応すれば防ぐことができます。予防で大切な3つのポイントは、①暑さを避ける ②こまめに水分をとること③吸湿性や通気性のよい素材で黒系を避けるなどの衣服の工夫です。
熱中症の患者数は、梅雨明けで暑くなり始めた頃や、前日と比較して急に暑くなる日のように体が暑さになれていない時期に増えています。節電の今夏はクーラーを使用しづらいですが、昼間の暑いときはもちろん、寝入る時にエアコンを上手に利用することも大切です。
お願いがあります。毎年夏、暑い車内に子どもが放置され死亡するというニュースが後を絶ちません。短時間であっても決して子どもだけで車内に残さないでください。
暑熱順化って? 外で遊ぼう!
暑熱順化とは暑さに体が適応した状態のことを言います。暑さに体を慣らすと汗をつくる汗腺の働きがよくなり、汗とともに出るナトリウムの量が再吸収され、塩分の少ない汗をかくことができるようになります。さらに血液循環がよくなり、体全体が暑さに強くなって、熱中症になりにくくなることがわかってきました。暑熱順化するには体を動かし適度な汗をかくことが必要です。 具体的にはウォーキングやサイクリングなどで汗をかくこと、子どもは外で遊ぶことです。クーラーに頼りすぎると体が暑さになれず、暑さの調節がうまくいきません。暑さに気をつけて涼しい朝や夕方などに適度な運動をすることが大事です。
参考文献
環境省:熱中症環境保健マニュアル www.env.go.jp/chemi/heat_stroke/manual/full.pdf
チャイルドヘルス Vol.14 No.7
りんご病が大流行
ほおがリンゴのように赤くなる「リンゴ病」(伝染性紅斑)が流行しています。この病気は、ほっぺや腕・太ももに細かい発疹がみられます。子どもがかかっても重くなりませんが、大人がかかるとひどい関節痛などがみられる場合があります。特に、妊婦さんがかかると流産や死産の恐れもあります。発疹がでて病気がわかる時は感染する力がなくなり、園や学校へは発疹があっても元気であれば行ってもかまいません。周りの人にうつす時期は発疹がでる前の数日間と言われ、せき・くしゃみ(飛沫感染)や接触感染により広がります。そのため予防するのが難しく、人ごみにでるときにマスクをしたり、手洗いをするなどという一般的な予防方法となります。