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院長コラム

平成22年2月号(Vol.58)
肺炎球菌結合型ワクチン(プレベナー)まもなく発売!

2010/02/01(更新日)

「引き出しの中のラブレター」という映画をご存知ですか?昨年10月に映画館で上映されました。先日観る機会があり、感動しました。いつもいる夫婦でもなかなか言い出せないでいる気持ちを手紙で伝えると、お互いに今まで以上にいい関係になるという心に残る話でした。記念日に手紙で気持ちを伝えてみるというのもいいなと思いました。ぜひ一度ご覧ください。

さて、1年前にインフルエンザ菌ワクチン(ヒブワクチン)、2か月前から子宮頸がんワクチン(サーバリックス)が使用できるようになりました。今月末には、新しいワクチンである「肺炎球菌結合型ワクチン(プレベナー)」が使用できる予定です。とてもいいニュースで、ぜひお勧めしたいワクチンです。今月はこのワクチンについてお話します。

 

肺炎球菌感染症とは

肺炎球菌にかかると、菌血症、髄膜炎、細菌性肺炎、中耳炎になります。これらの病気にかかり、まれには亡くなったり、脳障害、聴覚障害、てんかんなどの障害が残ることもあります。肺炎・気管支炎・中耳炎の原因菌は肺炎球菌とインフルエンザ菌が多くを占めています。しかし最近、抗生剤が効かない「耐性菌」が高頻度にでてきて、治療に難航するケースがでてきています。時代が治療から予防に大きくシフトし始めました。

 

ワクチンの効果      

2000年から肺炎球菌結合型ワクチンを始めたアメリカでは、始まる前と後で髄膜炎、菌血症の発症が94%減少1、急性中耳炎も34 %減少し、強い予防効果が認められています。ヒブワクチンと一緒に行うことで感染症を大幅に減らす効果が期待されています。

 
 

標準的なスケジュール


接種時期は、生後3か月から行う3種混合(DPT)ワクチンと同時に行うことができ、回数は3種混合と同じで最初3回続けて1年後に1回の追加接種をします。安全性は接種部位の発赤・腫脹が認められますが、頻度は他のワクチンと差がなく安全であります。ただし、自己負担がかかり、1回1万円前後になります。また、プレベナーはヒブワクチンと違って供給は安定しているので、希望すればすぐに接種できそうです。2月末には発売される予定ですので、その時期にかかりつけ医に相談して下さい。

 

定期接種化を!

ヒブワクチン、サーバリックス、プレベナーのワクチンは世界の多くの国で定期接種になっていますが、これらのワクチンは日本ではまだ任意接種で自己負担です。政府は「子ども手当」を新設し子どもに予算をかけるようになりましたが、これらのワクチンの定期接種化(自己負担ゼロ)を望みます。みなさんも声を上げましょう。
 
 

今後でてくるワクチンを紹介


 世界では使用されているのに日本ではまだ使用できないワクチンに「不活化ポリオワクチン」と「ロタウイルスワクチン」があります。ポリオワクチンは、日本で生ワクチンを使用していますが、これは数百万回に1回起こる麻痺があると言われ、ポリオを飲んだお子さんのお父さんが麻痺になってしまったというケースがありました。不活化にすると麻痺の副反応はないので、世界的な流れは「不活化ポリオワクチン」へとなっています。もう一つ、ロタウイルスは毎年冬に流行し嘔吐や下痢がおこり、重症胃腸炎の主な原因ウイルスと言われています。このウイルスに対するワクチン「ロタウイルスワクチン」が2006年発売され、世界100カ国以上で使用されていますが、日本はまだ使用が認められていません。早く使用できることを願っています。

 
 

参考文献

チャイルドヘルス vol.13 No.4

 

シリーズ~新型インフルエンザ4~


少し減りかけているインフルエンザですが、まだまだ猛威をふるっています。安心は禁物です。今シーズンはまだ季節型インフルエンザがでていません。世界的にみても、季節型の発生がほとんどなく、新型のみです。原因はわかってなく、謎のままです。また、新型インフルエンザワクチンを接種した方は新型インフルエンザにかからないわけではないのですが、症状が軽くでる場合もあります。高熱も出ないで治まる方もいます。ワクチン接種した場合は症状が軽くなることもありますので、熱がでたときは医療機関に受診し相談してください。
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