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院長コラム

平成30年2月号(Vol.153)
発達障害について~学童編~

2018/02/01(更新日)

  まだまだ寒い日々が続いていますね。現在、インフルエンザ流行中です。手洗い・うがいを徹底し冬を乗り切りましょう。うちの5歳の娘は私たち大人のやることをなんでも真似をします。私がいつも新聞をめくる時に、指を舌でなめてからめくる姿を見ていたのでしょう。なんと、うちの娘が同じようにしている様子を目にしました。私と妻がその光景をみて、数秒間の沈黙の後に大笑い、娘もよくわからず、大笑いしていました。何はともあれ、笑う明るい家庭が一番ですね。子どもたちは大人の真似をして育っていくのだと痛感する出来事でした。
 今月は先月に引き続いて発達障害についてお話します。先月の幼児編はご両親に対して発達障害が気になる場合、自分たちだけで悩むのではなく、専門家から助言を受けながら子育てしていくことをお勧めしました。就学前はまだ将来のことをイメージしづらいと思いますが、小学校入学後は将来のことも踏まえて考える時期に入ってきます。今月は小学校入学後から発達障害のお子さんがいるご両親への対応についてお伝えします。

学校生活での対応

 学校の先生にはお子さんの特性をしっかりと伝えることが大切です。ご両親のように長年付き合っているわけではないので、一度言えば伝わるわけではありません。密に連絡をすることでお子さんへの対応がスムーズになります。気になれば、連絡帳で伝えるだけでなく、直接会ってお話しすることも必要です。いじめなどで、本人にとって通学が負担と感じられる場合は学校を休ませ、体を休めることが必要な時もあります。
 また、友達がなかなかできない場合には、がんばって親友を作ろうと力が入ると逆に失敗することもあります。自然体で振る舞いながら、よい関係ができ友達ができればいいが、1人でもよいと開き直ることも必要かもしれません。

できなければ練習する

 発達障害のお子さんはいろいろな特性があり、社会生活で支障をきたすことがあります。支障がないように練習をすることで社会生活がしやすくなります。いくつかの具体的な方法をお伝えします。
 相手と話をするときに、相手の目をみて話をしないと相手から誤解を受けることがあります。発達障害のお子さんは目を合わせて話すことが得意ではありません。そのため相手の鼻もしくは眉間をみて話す練習をすると相手は目を見ていると感じてコミュニケーションがうまくいくようになります。
 座っているのが苦手な場合、1分座ったらほめることから始めてください。1分座れたら、ほめて時間を延ばしましょう。机の上に砂時計を置き、砂が落ちるまで座ってもらうこともいいかもしれません。
 授業を聞きながらノートが書けない場合は黒板をカメラやスマホなどで撮影する、電話をしながらメモを取ることが苦手な場合、電話を録音する方法で対応すると生活がしやすくなると思います。
 学校生活での基本はあいさつです。「おはようございます」「こんにちは」「いただきます」「ごちそうさま」「さようなら」「ありがとう」「ごめんなさい」が言えないと、友達とトラブルがおきやすくなります。小さい頃から家で練習しておけば、学校でも将来の仕事をする上でも大変役立ちます。
 できないから諦めてしまうとずっとできないままです。基本はスモールステップ、急いでも焦ってもうまくいきません。少しずつできることを増やしていってください。

 学校卒業後

 卒業後は、仕事に就き、自分で自活できるように考える必要があります。最終目標は「自活」です。まず、先ほど述べた生活の基本である「あいさつ」ができること。そして多くの職業の中から自分の特性に合った、かつ好きな職業を選ぶとよいでしょう。一般的に注意欠陥・多動性障害(ADHD)の方では、セールスマン・営業担当・電話勧誘・窓口業務などがお勧めで、技術・設計、教師、警察官、プログラマーなどは向かないようです。アスペルガー症候群の方はADHDと逆で、技術・設計などがお勧めで、セールスマン、営業担当などは向かないようです。
 最後にご両親だけで対応せずに信頼できる専門家のアドバイスを取り入れ、お子さんの将来を一緒に考えていくことが大切です。また、叱ってばかりいると、子どもの自己肯定感を下げ、不登校やひきこもり・うつ病などの二次障害が生じ、さらに生活が困難になります。学童以降は薬物療法を併用し対応することで、社会生活をしやすくし、二次障害を防ぐ方法となることもあります。

 参考文献

発達障害の理解と対応B(DVD) 平岩幹男 ジャパンライム株式会社

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