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院長コラム

令和4年6月号(Vol.205)
教育について考える

2022/06/01(更新日)

 今年のG・Wは行動制限がなく、少しずつ自粛の解除が感じられる雰囲気が出てきました。先月、17日文部科学大臣記者会見において「体育の授業ではマスクの着用は必要ないということ、気温とか湿度や暑さ指数が高い日には、熱中症への対応を優先させてマスクを外すこと」と述べています。昨年、大阪の小学5年男子が体育の授業でマスクをつけて持久走後死亡した報道がありました。これからの季節は特に感染対策を重視しすぎて熱中症のリスクを見逃してはならないと思います。

先月、国立成育医療研究センターがアンケート調査を行ったところ、小学高学年から中学生1~2割にうつ症状・3割は自分にうつ症状が出ても「誰にも相談しない」ということが明らかにされました。いらいらしている・朝起きられないなどのサインがあれば、子どもの話を聞く、必要ならためらわず医療機関に相談をしてください。先月、芸能人の自殺がありました。うつから自殺に発展します。子どもの自殺は増加傾向になっています。子どもの変化に気づくためにも日頃の親子の会話を大切にしてください。

今月は「教育」について考えます。先日現役の公立小学校の教師と本音で話す機会がありました。私も妻も我が家の子どもたちも公立小中高でお世話になっています。子どもたちに質のよい教育を受けてもらうためにも公教育について考えてもらえる契機になればありがたいです。

 

小学校教員採用試験倍率2.4倍

 文科省から発表された令和4年度の教員採用試験の倍率は全国平均3.4倍(うち小学校2.4倍)、10年前は5.8倍で年々低下傾向にあります。教師になりたいと思う人が少ない、人気がなくなってきている職種であることがわかります。教師は国の根幹である人づくりの立役者であり、子どもへの教育を通じて、日本を支える役割を担っていると言えます。

一方で最近は、教師の仕事は「ブラック」と言われています。小学校の担任先生はクラスの授業を朝から夕方まで担当し、休み時間は宿題のチェック、給食は自分も食べながら子どもたちと一緒で休む暇がありません。仕事を家に持ち帰ることもあると聞きます。質の良い授業をする上では休憩時間を取る・授業の準備をする時間が必要です。

魅力ある職場にするためには、休憩時間を増やす・雑務を減らすことが求められます。具体的には、担任の先生以外の先生にいくつか授業を担当してもらい、空き時間を作ること・雑務を減らす等が求められます。県内では全国初となる公立小学校1年生の1クラス25人学級の制度ができており、教育に力を入れています。教師の質にも着目し、教師側に立った両輪の政策が求められます。

 

じわじわとかさむ教育費

 うちの娘(小4)が昨年から学校から支給されたノートパソコンを家に持ち帰り、パソコンを使いながら宿題をしていました。このパソコンは国から支給されたようで無償でしたが、今年度より山梨県教育委員会が県立高校の新入生に対してノートパソコン購入を求めています。文科省によると公立高でのパソコンなどの導入の費用負担は保護者負担と行政負担が全国的に約半々でした。現在、少子化対策で医療費・教育費など家計の負担を抑える流れに逆行しているように思えます。 

子育て政策の充実(医療費・給食費・保育料・遊び場利用料・おむつ代の5つの無料化)により人口増加・税収増・経済の活性化が注目されている兵庫県明石市の市長によると「トップの決断で予算の無駄遣いを減らし、予算をシフトすれば、よりよい子ども施策が実現できる」と述べていました。県内でも実現可能ではないかと勇気をもらいました。

 

小学校のクラス替え

 小学校のクラス替えは2年に1度と信じ込んでいた私は、近年全国的にクラス替えが毎年へと変わりつつあることを知り驚きました。クラス替えは国や都道府県に明確な指針はないようで、各学校の判断に任されているそうです。

 2年に1度では一貫した指導がしやすく、教員と子ども・子ども同士で深い人間関係が築けるメリットはあります。一方毎年になると、様々な子どもや教員らと出会う機会が増えます。クラスの生徒や先生との相性が合わず、戸惑っているお子さんが腹痛・頭痛などの不定愁訴を認め、不登校に発展していた子がクラス替えをきっかけに症状が改善することもあります。少子化が進行していることもあり、様々な子どもたちとの出会いや交流を考えると毎年のクラス替えのメリットも考えながら、これまでの学校の判断を踏襲するだけでなく、検討する必要性もあるのではないかと感じました。

 

引用文献

末松信介文部科学大臣記者会見録(令和4年5月17日)

国立成育医療研究センターホームページ

【まちづくり】こども家庭庁の創設に際して‐発想の転換を-

 

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