

小児科医から最新の医療情報と県内の子どもにまつわる情報をお伝えしております。
この内容は、県内子育て情報誌「ちびっこぷれす」の「午後10時、クリニックにて…〜おほしさまの先生からの子育て応援”談”!〜」に掲載されています。



小児科医から最新の医療情報と県内の子どもにまつわる情報をお伝えしております。
この内容は、県内子育て情報誌「ちびっこぷれす」の「午後10時、クリニックにて…〜おほしさまの先生からの子育て応援”談”!〜」に掲載されています。
年末年始は家族・親戚・友人とゆっくりと過ごした方も多いと思います。うちの家族7人はすでに4人が家から離れて県外で生活をしているため、日頃、家族全員で会う機会はなく、1年ぶりに年末年始に全員揃って会うことができました。家族でしか言えない突っ込んだ話をしたり、年越しでは私たち夫婦は早々就寝するも、兄弟5人で深夜遅くまでボードゲームに興じながらバカ騒ぎをしていたようで、家族の絆を確認することができました。
最近、私のクリニックでは父親が診察室に来られることが以前より多くなったように感じています。私が父親に「今日、お仕事は?」と聞くと、以前までは「ちょうど仕事が休みの日です」という感じでしたが、「育休中です」と言われることが多くなり、育休を取得できる職場が多くなっていると実感しています。育休の経験をした父親は、育休後も母親・家族に対して協力的になってくると思います。中には「仕事よりも家事の方が好きです」といった感想を聞くこともあり、子育ての環境も少しずつ変化していますが、まだまだ世の父親は育休をしっかりと取れていないのが現状です。人生100年の時代で、子育ては期間限定です。仕事はずっとできますので、子どもが生まれたら、車に例えると仕事のギアーを「D(ドライブ)」から「2(セカンド)」に落として、子育てを楽しんではいかがでしょうか。
最近、中学生・高校生の時、実父から性的暴行を受けていた娘の告白・塾講師の盗撮・児童へのわいせつな行為した保育士など、子どもへの性暴力事件についての報道を見聞きすることが頻繁にあります。私自身、子どもから性被害を打ち明けられた経験はありませんが、数年前、母親から一緒に住んでいる義父に体を触られて困っていることを相談されたことがありました。今月は「子どもの性被害」について考えていきたいと思います。
「性暴力」とは同意のない性的な行為のことです。こどもに対する性暴力の例としては、「着替え・トイレ・入浴をのぞかれた」「抱きつかれた、キスされた」「服を脱がされた」「水着で隠れる部分(プライベートゾーン)を触られた」「痴漢にあった」「下着姿や裸の写真・動画を撮られた、送るよう要求された」が挙げられます。
内閣府男女共同参画局が若年層を対象に令和3年度行った調査では、回答者6224人のうち、被害に遭遇したことがあったのは1644人(全体の26%)、つまり若年層の4人に1人は性被害経験があったことになります。そのうち被害経験に最初にあった年齢は0~6歳が2.5%、幼い子さえも性的対象になっています。さらに厚生労働省の「潜在化していた性的虐待の把握および実態に関する調査(令和2年度)」を基に、「推定で1日1000人以上の子どもが何らかの性被害に遭っている」とする調査もあります。
子どもの場合、性についての知識と経験をまだ身につけておらず、被害を受けていながら「何をされているかわからない」という状況に陥ります。性暴力は家族や友人など誰にも言えない場合も多く、実数は報告されている数よりもはるかに多いと想像できます。
先程の厚生労働省の調査で年間女児が約31万人、男児が約7万人被害に遭っているという報告からも、決して女児だけが被害に遭うのではないことがわかります。皆さんもご存じの「ジャニーズ性加害問題」はジャニー喜多川が少年たちに性加害を繰り返していました。「男の子だから大丈夫」という考えは危険をだと言えます。
加害者は知らないオジサン、つまり見知らぬ相手であるケースは決して多くなく、むしろ顔見知りの方(親・親の恋人・親族)が多いです。家庭内では簡単に密室をつくれますし、上下関係があるため発覚しにくい状態にあります。また250人もの加害者と対面してきた斎藤章佳さんによると、加害者の外見は「特徴がない」のが特徴だそうです。どこにでも存在し、子どもに近づいてもあやしまれにくい人物像です。つまり、外見からでは見分けがつきません。
子どもから被害を打ち明けられたら、必ず「話してくれてありがとう」「あなたは悪くないよ」と繰り返し伝えてください。話を疑ったり、否定したりせず、子どもの話を信じて寄り添いながら聞いてください。専門家でない大人が子どもの話を聞きすぎると、子どもの記憶に影響してしまう場合(記憶の汚染)があります。できるだけ早く警察、ワンストップ支援センター、児童相談所などの専門機関に相談しましょう。子どもの性被害は家族だけで子どもを守ることはできません。まず、みなさんが「子どもの性被害」について知ってもらい、自分に何ができるかを考えるきっかけになれば幸いです。
こどもを性被害から守るために周囲の大人ができること 政府広報オンライン
https://www.gov-online.go.jp/article/202312/entry-5240.html
今西洋介 小児科医「ふらいと先生」が教える みんなで守る子ども性被害 集英社 2024年
新年、明けましておめでとうございます。昨年は夏の異常な暑さ・昨年の漢字が「熊」、住宅街に熊の出没・目撃情報の報道と例年と違った1年でした。今年はロシアによるウクライナへの侵攻など、国家間の争いが収まることを切に願っています。お互いのズレを武力ではなく、話し合いで解決していくことができないのかと考える日々です。少なくとも自分たちの国は同じ過ちをしないように尽力していくことは大切なことだと感じています。武力はお互いを幸せにしないことは皆が知っていることだと思います。
先月、富士山マラソン(フルマラソン)に出場してきました。ただ、秋から膝の痛みが続き、完治しないまま、走りましたが、20キロ付近で膝の痛みが強くリタイヤしました。もう若くない自分がいやになりますが、年には勝てませんね。来年に向けて、ゆっくり調整していきます。
2024年度前期に放送されたNHKの連続テレビ小説「虎に翼」をNHKオンデマンドで、妻・娘と一緒に先月、観終わりました。主演は日本初の女性弁護士、後に裁判官となった三淵嘉子をモデルにしたオリジナルストーリー、女性の権利や法律の重要性をテーマにしていました。うちの娘に昔は今よりももっと男社会での女性に対して生きづらかったかを知ったのではないかと思います。今月は先月に続き、小児救急医療についてお話をします。
小児救急医療体制が構築された20年前の救急の様子は、インフルエンザ・感冒・胃腸炎など感染症・喘息発作で苦しくなり受診するケースがメインでありました。
特にロタウイルスによる胃腸炎の場合、嘔吐・下痢の症状が強く、点滴することも多く、点滴して症状が改善せず入院することもしばしばありましたが、2011年からロタウイルスワクチンが誕生し、胃腸炎で点滴する機会がぐっと減り、入院も激減しました。2013年からヒブワクチン・肺炎球菌ワクチンが始まり、髄膜炎が激減、2014年から水痘ワクチン定期接種化で水痘の激減など、数々のワクチンの誕生や定期接種化で、子どもたちが以前よりも病気にかからなくない時代が到来しています。来年4月から妊婦さんを対象にRSウイルスワクチンを定期接種化になり、新生児や乳児がRSウイルス感染症にかかりにくく、重症例も減ることが予想され、子どもたちが種々のワクチンによって多くの病気にかからなくなっています。
最近、気になるのが子どもの心の問題で、頭痛・腹痛・胸痛などを訴え、救急受診することも少なくありません。心の問題は、すぐに解決できることが難しく、救急での受診だけでは不十分であります。心の問題の場合、かかりつけ医で相談をし、必要があれば専門機関へ受診がお勧めです。さらに子どもの虐待件数が増えていく昨今、背後に「虐待」が潜んでいなかも考慮をする必要があります。救急受診において、感染症などの病気だけでなく、心の問題に着目しながら対応する時代に入っています。
小児初期救急医療センターの体制が20年間続けられたことは協力した小児科医・看護師・事務員らの努力の賜物です。一方で日本の人口が減少、少子化と縮小していく時代、小児救急医療体制も修正が必要になってきます。
現在、県内の小児救急体制において、1次救急(小児初期救急医療センター),2次救急(市中病院),3次救急(山梨大学附属病院)に別々の場所に分散されています。近未来は、1~3次救急を一か所(センター方式)に集約せざるを得ない時期が来ると思います。受診した患者側は1次から2次、2次から3次へ転送する時間のロスがなくなり、患者負担が軽減できること・転送がなくなることで救急車の要請が不要・小児科医らのスタッフの集約化・人件費・設備などの経費が軽減できることなどの効率化が挙げられます。このセンター方式は20年前、小児初期救急医療センター立ち上げるための検討委員会でも理想的であると答申されていました。
一番大切なことは「子どもたちによりよい医療を提供すること」、つまり医療の質を上げること、助けられる命を救うことです。子どもたちは声を上げられない立場にいます。子どもたちのために、よりよい救急体制を検討していただけると未来の子どもたちの財産になります。
先月まで暑さで悩まされていたのが、もう冬到来となっています。流行語にも「二季」がランクインするなど、四季を感じられなくなってきていますね。
今シーズンのインフルエンザ流行が例年より早まっています。予防として今からでも遅くありませんので、ワクチン接種しインフルエンザから身を守っていただきたいと思います。先月、小1男子がインフルエンザにかかり、マンションから転落した報道がありました。インフルエンザにかかると飛び降りなどの異常行動をおこすことがあり、特に発熱から2日間が要注意と言われています。1人にさせない・窓の鍵をかける・ベランダに面していない部屋で寝かせる・可能であれば1階で寝かせるなどの対策をしてください。また小学校6年生までは病児保育の利用も可能です。ご検討ください。
先月、大学の硬式テニス部OB会がありました。昼間は現役部員と一緒にテニスを楽しみ、夜は飲み会で旧交を温めることができました。OB会での最高年齢は84歳、今も現役で診療をしている橋本敬太郎先生(山梨大学名誉教授、薬理学者)は気さくで、温和な紳士で私が尊敬している大先輩です。私も橋本先生のように長生きしながら診療を続けられれば本望です。読者の皆様は子育てでお忙しいと思いますが、家庭や仕事以外の場で、自分自身を見直す時間も大切にしてください。
今月は小児救急医療体制について、今までの経緯をお伝えしたいと思います。小児初期救急医療センターが始まって20年が経ちました。20年前は全国的に小児救急医療体制が脆弱な体制しかとれておらず、たらい回しなど社会問題化されている時代でありました。2003年に県で小児救急医療体制検討委員会が立ち上がり、2005年から甲府市内、2008年から富士吉田市内に「小児初期救急医療センター」が開設され、夜間・休日の時間外に小児科医が診察するようになりました。2005年以前は時間外受診では他科の先生が子どもを診察し、必要があれば小児科医が対応する体制でした。過去を知ることで今後の体制を考える礎になってもらえたら幸いです。
私は小児科医になり5年目から千葉市のみつわ台総合病院で3年間勤務医として働きました。千葉市の小児救急医療体制は全国的にも先進的な体制で海浜病院の隣に初期救急センターがあり、市内の小児科医らが時間外に勤務を交代で対応していました。私は千葉市での勤務を終えた後、山梨市にある加納岩総合病院に勤めました。ここでは千葉市の救急体制と違って、県内の2次医療圏ごとの救急体制がありました。当直医が子どもを診察し気になる場合、病院小児科医を呼び出す体制でした。常勤小児科医が2人のため、私は夜間2日に1回オンコールがありました。年に半分は自宅にいても、当直医・入院中の子どもたちが何か異変があると病棟から呼び出される体制で、呼ばれない日はない状態が続いていました。自分自身が千葉市のような体制が取れないかと試行錯誤していた頃、全国的に先進的な小児救急体制がある熊本市・宇都宮市へ見学に行き、様々な事例を勉強してきました。さらに小児科医の夫婦で24時間診療している「スマイルこどもクリニック」の存在を知り、見学に行った時に「まず、山梨でやってみよう!」と決意し、半年後、2004年4月から平日19時から23時までと休日昼間、私と有志の数名の小児科医と共に、げんきキッズクリニックで診療を始めました。その当時は小児初期救急医療センターがない時代だったため、開業日初日から多くの患者さんが受診し、多くの方からとても感謝されたことを思い出します。県内の新聞・テレビで大々的に報じていただきました。
そして、私の開業1年後、2005年3月に甲府市内に「小児初期救急医療センター」が開設されました。私のクリニックは5年間、時間外診療を続けていきましたが、6年目以降に診療時間を今と同じ昼間の時間に変更し、センターの診療に協力しています。
小児初期救急医療センターは県内の小児科専門医である開業医・勤務医・大学病院医師らが交代で診療を担っています。この体制は開業医のみでは続けることは不可能で、勤務医・大学病院医師の協力がなくては継続できません。また、初期(1次)のみでなく、2次病院は勤務医、3次病院は大学病院が担当しており、県内の小児科医が連携して成り立っています。
昨年までは子どもの頭部外傷の対応が明確化できていない部分がありましたが、小児科医と脳神経外科医との話し合いを経て、今年から子どもの頭部外傷について救急体制が確立されました。今後よりスムーズに受診ができると思われます。
10月は園・学校・地域で運動会が開催されたところも多かったと思います。
娘(中1)も体育祭があり、リレー・タイヤ綱引きなどの競技を応援しました。競技を真剣に取り組む姿と体が大きくなった中学生の迫力を感じ、その中で仲間と力を合わせる娘の姿に成長を感じました。
ここ3年間、日本に土着株よる感染が確認されていないことから、日本は2025年9月下旬に風疹の排除を達成されたと世界保健機関から認定されました。妊娠20週ごろまでの女性が風疹にかかると、風疹ウイルスが胎児に感染して、出生時に先天性心疾患・難聴・白内障などの障がいを引き起こすことがあります。2018年に流行後「風疹の追加的対策」を実施したこともあり、排除に至りました。中々ニュースに取り上げられませんが、大きな成果だと思います。
風疹の排除を維持するためには1歳と年長で実施されている麻疹風疹混合(MR)ワクチンの接種率をこれまで同様に高めつつ、社会全体での啓発活動を継続することが大切です。これから生まれてくる子ども達が二度と先天性風疹症候群にかからないように、みんなで心がけていきましょう!
今月は、私が参加した医療的ケア児とご家族の交流会について取り上げます。昨年に引き続き、9月20日げんきキッズクリニックとげんき夢こども園子育て支援センター共催で「あおぞら共和国」(北斗市白州町)の施設をお借りして、医療的ケア(医ケア)児を含む重症心身障がい児とご家族との交流会を行いました。医ケア児とは生まれた時から重い障害があり、人工呼吸器や胃ろう等を使用し、痰の吸引や経管栄養などの医ケアが日常的に必要なお子さんのことです。
私の医ケア児とその家族とのお付き合いは10年以上になります。小児訪問診療を始め、その家族が介護で疲弊している実態を知り、家族のレスパイト(休息)目的で自院内に医ケア児を昼間お預かりするデイサービスを2016年に立ち上げました。さらにその家族との交流会を子育て支援センター、自院内で実施し、昨年から「あおぞら共和国」で行っています。県内に医ケア児は100名弱しかいません。医ケア児のことを知るきっかけになれば幸いです。
北杜市白州町にある「あおぞら共和国」は、認定NPO法人難病のこども支援全国ネットワークが運営する施設です。寄贈された白州の土地3,000坪を活用し、病気や障害のあるこどもたちのための「夢のレスパイト施設(癒しの宿泊施設)」で、利用は難病や障がいのある子どもとその家族が対象で「誰にも気兼ねなく」過ごせる特別な場所です。5棟のロッジと複数の付帯施設で構成されています。チャリティーウォーク(春・秋)、プラネタリウム、星空観望会などのイベントも行なわれています。
今年3月24日には山梨県との連携協定を締結し、ふるさと納税クラウドファンディングにて「あおぞら共和国」の活動を支援して頂けるようになりました。
10組近い家族の参加があり、各ご家庭が自己紹介をして、チームに分かれて家族全員参加のレクレーションを楽しみました。その後、患児の兄弟は別室で保育士スタッフが野外活動や室内遊びに連れて保育を行ないました。保護者はうちの園長が司会をしながら、一家族ずつ近況報告や子育ての振り返りなどの話をしながら交流を深めました。「自分自身・パートナーの親としての成長について」のお題で参加した両親がそれぞれ語り、介護・看護で協力しあいながらもお互いを尊重し仲の良い夫婦関係を築くために努めていることが理解できました。この頃になると、関係性も深まり、夕食で会話が弾み、子どもたちの大好きな花火をしてお開きとなりました。これだけでも満喫できましたが、宿泊した家族を誘って夜11時まで、家族皆参加の2次会を開催しました。子どもたちもパジャマ姿の上お菓子持参で参加し、我が家の子ども達が参加した子どもの遊び相手になり、ロッジ内をかくれんぼして、大興奮の夜になったようです。大人はご夫婦の馴れ初めなどを聞いたり、最近の出来事を互いに話したりお互いに励まし合えたようです。後日ご夫婦はもとより、参加した兄弟児からも「またあおぞら共和国に行きたい!」と満面の笑みでお礼を言われ、企画側の満足度も非常に高いものになりました。
医ケア児の家族は外泊で旅行に行くことは難しいため、今後も私たちができる範囲内で非日常体験に関わることができればと思っております。医ケア児と家族の生活は24時間気を休めず、精神的にも肉体的にも疲弊しています。家族の負担感を増強させているのは在宅生活のサービス体制の不足です。具体的にはレスパイト入院施設の不足や人工呼吸器装着児に対して通学・授業中に家族の付き添いが必要であり、家族の負担感を強いています。山梨県内でどんな障害のある子が生まれても安心して子育てできるように、早期に是正して欲しいと願うばかりです。
あおぞら共和国HP https://www.aozorakk.com/about
今年の夏は本当に暑かったですね。35℃以上の最高気温が連日続き、体にとても応えました。
さて、2学期に入って園・学校生活に慣れないお子さんが、腹痛、頭痛を訴えうちのクリニックに受診します。運動会の練習で疲れている子どもたちもいます。園・学校でがんばった分、家でゆっくりと体を休ませてあげてください。家で充電できれば、翌朝は元気になって飛び出していけます。また必要に応じて子どもたちの訴えを聞き、園・学校に協力していただき調整をしている子どももいます。小児科医として子どもの代弁者であり続けたいと思っています。
さて、私のマイブームをお伝えします。10年前、自宅の屋根に太陽光パネルと設置し、その電気を活かして自宅の電気を一部賄っています。さらに数年前、ネット通販店で太陽光パネルと蓄電池を購入。その蓄電池を利用して、自宅の扇風機、スマホの充電、洗濯機、電子レンジなどで使用し、なるべく既存の電気を利用しないように工夫しています。小さなことですが、少しずつ気にすれば、電気を作る原料となっている石油・石炭・原子力などの軽減化に寄与できるのではないかと自己満足に浸っています。
今月は、ここ20年くらいで世界的に増加している消化管アレルギーについて皆様にお伝えいたします。
「消化管アレルギー」という言葉を耳にしたことがない方もいるかもしれません。消化管アレルギーは食物アレルギーの中で、嘔吐・下痢などの消化管症状を認める病気と言われています。以前までは病名がいくつも混在していました。患者数の増加で認知されるようになり、病名もようやく統一されるようになってきたのが現状です。
消化管アレルギーは新生児・乳児食物蛋白誘発胃腸症と好酸球性消化管疾患の2つに大きく分けられます。今回は、新生児・乳児食物蛋白誘発胃腸症のうち患者数が一番多い、代表的な病名である「食物蛋白誘発胃腸炎(≒消化管アレルギー)」について述べさせていただきます。
消化管アレルギーは新生児や乳児で原因となる食物(卵など)を摂取してからしばらくして、嘔吐や血便、下痢などの症状がみられます。皆様がよくご存じの(即時型)食物アレルギーはじんましんや咳・ゼイゼイなどがみられますが、消化管アレルギーは嘔吐・下痢などの消化器症状のみでじんましんなどの症状がないのが特徴的です。
2024年国立成育医療研究センターの研究結果で、消化管アレルギーの原因食物は鶏卵(58%)が最も多く、大豆(11%)、小麦(11%)、魚(6%)、牛乳(6%)、貝(4%)でした。鶏卵のうち94%が卵黄ということがわかりました。当院においても、原因食物では鶏卵の中で「卵黄」が非常に多い印象があります。また発症月齢は、牛乳が生後1ヶ月と最も早く発症し、続いて大豆6ヶ月・鶏卵7ヶ月・小麦8ヶ月でした。発症が遅くみられるものとして、魚36ヶ月・貝48ヶ月があります。別のデーターでは、初回摂取で症状がでる場合は頻度として少なく、複数回から発症する場合が多いと報告されています。私の経験でも初回発症でなく、3~4回目摂取して発症する場合が多いです。
国際的な診断基準があり、「主要基準」を満たした上で、「副基準」のうち3つ以上を満たした場合に診断されます。「主要基準」とは原因食物を摂取後1〜4時間後に嘔吐があり、(即時型)食物アレルギーで認められるような皮膚・呼吸器症状がないことです。「副基準」とは➀同じ食物を摂取した際に、繰り返す嘔吐が2回以上ある ②2つ以上の異なる食物に対して、摂取後1〜4時間後に繰り返す嘔吐がある ③極度の活力の低下 ➃血の気が引き青ざめる(蒼白) ⑤緊急受診の必要がある ⑥輸液をする必要がある ⑦食物摂取後24時間以内の下痢(通常5〜10時間後) ⑧血圧低下 ⑨低体温のうち3つ以上満たした場合に該当します。よくある例は、卵黄を食べ始めて数回試した時に、3時間前後に嘔吐を認め、そのエピソードを2~3回繰り返すことが診断のめやすになると考えられています。疑うことがこの病気の発見につながります。
治療は原因食物を除去をすることで、嘔吐などの症状はなくなります。その後、原因食物を解除する段階を考える必要があります。幸い、消化管アレルギーは予後良好と言われており、1~2歳で食べられる場合が多く、食物負荷テスト(医師の指示のもと少量から食べる)を病院で行い、症状がなければ除去解除でき完治できます。
日本小児アレルギー学会. 食物アレルギー診療ガイドライン2012 協和企画
食物たんぱく誘発胃腸症(消化管アレルギー) 国立成育医療研究センターHP
https://www.ncchd.go.jp/hospital/sickness/children/allergy/gastrointestinal_allergy.html
Hayashi D, Yoshida K, Akashi M, et al. Differences in Characteristics Between Patients Who Met or Partly Met the Diagnostic Criteria for Food Protein-Induced Enterocolitis Syndrome (FPIES). J Allergy Clin Immunol. 2024 Jul;12(7):1831-1839