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院長コラム

平成27年7月号(Vol.122)
お孫さんを預かった時の心構え

2015/07/01(更新日)

先月号に「パパの子育て」特集がありました。特集中のママパパ座談会では夫婦で子育ての分担が家庭ごとで違いがあり、互いを認め合いながら、時にけんかしたりとどの方が読んでも「我が家も同じ!」と思える話がいくつもありました。専門家の坂本さんからは、2歳くらいまで特定の誰かに愛されることが子どもにとっての安心感や自信の元になること、パパはママが幸せになるような環境を作ってあげること、さらに女の子が思春期にパパ嫌いにならないように、幼児期にたくさん遊んでパパのぬくもりが伝わる経験をすることがよいと言っていました。私にも2歳の娘がいるので思春期に備えて今以上に抱っこにおんぶにとスキンシップをとっていきたいと思います。

 今月はおじいちゃんやおばあちゃんがお孫さんをお世話する時、気をつけて欲しいポイントについてお話します。

 

目を離しても事故が起らないように 

 病気は防ぎようのないことが多いのですが、子どもの事故に関しては今までの事故の経験から未然に防ぐことができます。事故が起こると目を離していたためと言う話を聞きますが、ずっとお子さんの様子をみていることはできません。「目を離しても事故が起こらない」ように家の中を確認してください。日頃、子どもがいない家では子どもにとって事故が起こりやすい作りになっている場合もあります。

 

事故予防策あれこれ

 子どもは大人に比べて頭が大きく重心が高いため、転倒しやすく階段から落ちる・段差で転ぶ・ベッドから落ちるなどのケースがあり、階段には柵をつける・段差をなるべくなくす・テーブルの角にはガードをするといった対策が大切です。やけどは、アイロン・電気ポット・ストーブ・熱い飲み物が原因であることが多いため、アイロンや電気ポットを下に置かない・ストーブは囲いをする・テーブルの隅に熱い飲み物を置かないなどの工夫が必要です。

 子どもはなんでも口にしますので、たばこ・コイン・ボタン電池・化粧品・洗剤・薬などは子どもの手が届かない高さ1メートル以上のところに置きましょう。ピーナッツなどの豆類は気管支に入り呼吸が苦しくなり肺炎になる場合がありますので与えないでください。

 さらに命にかかわる事故として溺水があります。お風呂の残り湯を貯めていて、そこで子どもがおぼれてしまいます。私が大学病院で働いていた頃のこと、1歳のお子さんがおじいちゃんの家で遊んでいて、子どもの声がないのでおかしいと思い、探していたところ浴槽でおぼれており、救急車で運ばれてきました。来院したときはすでに心臓も動いておらず、つらい経験をしました。

家庭外で起こる子どもの事故は交通事故が大半です。チャイルドシートの着用や自転車に乗せるときのヘルメットの着用を心がけましょう。

最近の報告では、網戸に寄りかかったことによる転落事故・ブラインドやカーテンのひもが首にかかって窒息した事故もあります。さらにスーパーボールによる窒息・浴槽用浮き輪による溺水・スリングでの窒息や転落による事故も報告されています。また横抱きでスリングを使用することで常時足が伸びて、股関節脱臼を誘発しやすくなると言われています。

 

お孫さんとお勧めの過ごし方

最近はスマホでテレビやゲームなどを利用している親子の姿をよくみかけるようになりました。孫が要求するからといって無理してスマホを利用する必要はありません。「おばあちゃん(おじいちゃん)は使い方がわからないから」と説明し、昔ながらの遊びをすることも子どもにとってはとても大切です。遊具・おままごと・お絵かき・絵本を読む・歌を歌うなどは体全身を使い、メディアからの刺激以上に実際の声や関わりが子どもの脳や皮膚感覚に大きな刺激を与えることになり、子どもの成長によい影響を及ぼします。自分たちが子どもの頃遊んだ内容で、お孫さんと遊んでみてください。自分自身も童心に返ることができ、想像以上に楽しい思い出となるでしょう。子どもたちは遊んでくれている人の表情もよく見ているものです。楽しんでいる祖父母の様子が子どもたちにも伝えわり、互いによい思い出として残ると思います。

 

参考文献

日本小児科学会ホームページ Injury Alert(傷害速報)http://www.jpeds.or.jp/modules/injuryalert/

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