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院長コラム

平成27年3月号(Vol.118)
小児在宅医療について

2015/03/01(更新日)

先月紹介させていただいたチャリティーバザーには、たくさんの来場者の方にご協力いただき寄付を集めることができました。場所を提供していただいたフォネットさん・商品の提供をしていただいた初花さん・KO堂さん、そして多数のボランティアの方々のお蔭であると感じました。当日私も慣れない売り子や声かけをさせていただきましたが、終わった後、清々しい気持ちになりました。参加してくださった皆さんご協力ありがとうございました。

今月は「小児在宅医療」というまだ新しい分野について皆さんにお伝えしたいと思います。医療技術が進歩し救命率が向上する一方、重度の後遺症を残した子どもたちが増えてきました。医療機器の進歩に伴って、様々な医療行為が自宅で可能となり、自宅で家族とともに生活できるようになってきています。長期入院をせず家で過ごせることはたいへん喜ばしいことではありますが、いざ外出となると人工呼吸器や携帯用酸素ボンベを持ちながらベッドや車いすで移動することは大変な労力を必要とします。高齢者ではよく行われている在宅医療が子どもの分野でも必要とされる時代がやってきています。

 

家族の負担は極めて大きい

 子どもは家族と過ごすことが幸せであることは誰も否定することはありませんが、重度の後遺症を残した子どもを受け入れる家族の負担は非常に大きなものです。人工呼吸器がある場合、定期的に痰を吸引したり、食事はチューブから胃に栄養を送ったり、体位交換したり、入浴、排せつのケアを訪問看護・訪問介護・訪問リハビリを利用しながら家族が特に母親が中心となって対応しています。家族の肉体的精神的な負担は計り知れません。また県内には子どもに慣れている訪問看護などのサービスはまだ少数しかないのが現状で、このようなサービスがうまく利用されていない場合もあります。

 

レスパイトは絶対必要!

 人工呼吸を使っている場合、家族は24時間常に子どもの様子を見守らないといけません。痰がつまって苦しがるときには吸引する必要もあります。対応を中心に行うのは母親がほとんどです。精神的肉体的な疲労は定期的に解消していかないと、母親が倒れてしまい、残された兄弟は母の苦労を気遣い、甘えることを躊躇してしまいます。レスパイトとは「ほっと一息つける時間」という意味で、お子さんを一時預かることで家族がリフレッシュすることを目的としています。県内では一部しかなく、もっと利用しやすくするための整備を進める必要があります。

 

訪問診療を今春から始めます

 私は3年前にこの分野に興味を持つようになり、学会などで勉強や実習を行ってきました。昨年、東京の大部分を数名の医師で子どもの在宅診療を専門に行なっている「あおぞら診療所」・宇都宮市で開業しながら在宅医療とレスパイトを行なっている「ひばりクリニック」・熊本県で国内でも数少ない小児専門訪問看護ステーション「ステップキッズ」の3か所へ赴き、見学をさせていただきました。診察室での診療はいつも慣れているのですが、患者さんのお宅へ訪問するということは初めての経験で緊張しながら見学をしました。訪問させていただいたお母さんから「先生が来るので、とても安心でき、ちょっとしたことでも相談ができるので、たいへん助かります。」といった生の声も聞くことができ、大変有意義な経験をしました。県内でも同様に在宅でみているご家庭があるかと思います。

4月から当クリニックで訪問診療を始めたいと考えています。勉強しながらの対応となりますが、ご希望のご家庭がいましたら、ご気軽にうちのクリニックまでお電話で問い合わせていただけたらと幸いです。家族の笑い声や季節の香りに囲まれた中でお子さんが成長する、そんな当たり前の生活をサポートしご家族に寄り添っていきたいと思います。

 最後に、どのお子さんにも重度の後遺症をかかえることが起こることがあります。みなさんにも子どもの在宅医療の実情を知ってもらい、すべてのお子さんが安心して生活ができる整備づくりに繋がってほしいと願っています。

 

水痘ワクチン、特例措置の期限迫る!

3~4歳のお子さんで水痘ワクチンを1回も接種していない人は今月末までに定期接種として1回の接種が受けられます。接種券が必要となりますので市町村にお問い合わせください。昨秋から水痘ワクチンの定期接種が始まっています。2歳までに2回接種ができます。

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