平成27年2月号(Vol.117)
ウォン・ウティナンさんの裁判を支える署名とご寄附のお願い
今月はとにかく寒く、早く春よ来いと願うばかりです。我が家では5人の子どものうち3人が大学や高校の受験を迎え、いつになくせわしなくなっています。親としてどう声をかけたらよいか気を使い、一方で2歳の娘の遊び相手をしながら過ごしています。
現在、インフルエンザの流行期に入っています。一番の予防は手洗い・うがいで、マスクも効果があります。体調が悪い時、無理して園や学校に行くことで他人に広げることもあるためお休みしていただくとありがたいです。今月は医療から少し離れた話です。先月、山梨日日新聞(12月6日)に記事が載ったのでご存知の方もいるかもしれませんが、退去強制処分を受けたタイ人の中学3年生が処分取り消しを求めて提訴します。市民の有志が裁判を支援する組織を設立し署名などの活動をしています。賛同していただける方はぜひ署名とご寄附をお願いします。
ウォン・ウティナンさんの生い立ち
三男(中3)が通っている甲府市立南西中学3年に在籍しているウォン・ウティナンさんという生徒がいます。彼は不法滞在の母親の元に日本で生まれ育ちました。父母はタイ国籍の超過滞在者であり、父親は強制送還されています。母親は入管の摘発を恐れ、彼とともに各地を転々として過ごしてきました。そのため彼は小学校に入学出来ず、公教育を受けることができませんでした。2010年、山梨県が新しい公共支援事業で実施した「外国籍不就学児童調査」で彼が不就学状態にあることが判明し、県の事業とボランティアの学習支援を受け、週3~4回程度の学習支援を受けて、2013年4月から同中学2年に入学していました。彼は本当に努力家で、小学校教育を受けなかったにもかかわらず、中学校の2年間で学力的には高校に進学が可能な段階にまで至っています。多くの友人や先生、同級生の父母の支援にも恵まれ、演劇部やバスケット部に所属し、体格的にも年齢に応じた成長がみられています。
ウティナンさんからの手紙
手紙の全文は長文のためコラムに掲載ができません。私は読んでいて胸を打たれました。ぜひ皆さんにも読んでいただきたいです。手紙の要旨は以下の通りです。「私は父親の記憶がまったくありません。母親の友達の子どもと遊んでいましたが、自分以外は小学校へ行っていました。学校というところへ行きたい気持ちはありましたが、ひとりでテレビを見ながら過ごしたりして、ビデオやテレビで日本語を覚えました。12歳になりオアシス子ども会で勉強をし、勉強が楽しくなり、中学校へ通うようになったことから、学校が本当に面白いところだと感じました。私は一度もタイに行ったこともなく、自分はずっと日本人だと思っていて、タイに帰れと言われても帰るところは日本だと思っています。私は在留資格を取り、今春から定時制の高校に通ってお母さんを助けたい、そして自分と同じように困っている人がいたら手助けできる人間になりたいです。」
私も応援しています
私が初めて彼と会ったのは、昨シーズンに彼がインフルエンザにかかり、診察をさせていただいた時です。諸事情を知っていたので、無償で対応させていただきました。また、これまで息子と同じバスケット部の試合で楽しそうに過ごす様子や、演劇部の劇で生き生きと演じている姿を見ています。私も周囲も感じているのが、母親の元で愛情豊かに育ったことで、素直な良い少年に育っているということです。今回、彼と母親が退去強制処分を受けたことを知って、他人事とは思えない気持ちになりました。もし自分がそんな境遇として生まれてきたらどんな気持ちになるでしょう。行ったこともないタイへ行くことが本人の幸せになるのでしょうか?在留許可をあたえてもらうためにみなさんの署名と寄付が必要です。
今後、市民有志による「ウォン・ウティナンさんの裁判を支える会」主催で2月11日午前11時から催されるチャリティバザー(下石田フォネット駐車場)・3月1日に開かれるチャリティ落語(ヴァンフォーレ甲府スタジアムDJのJIROさんが三枝亭二郎の名で出演)にて署名や寄付を募っていきます。なお、ウォン・ウティナンさんへの署名、手紙の全文、新聞記事は山梨外国人人権ネットワーク・オアシスのホームページ(http://yamanashi-oasis.seesaa.net/)を参照ください。
ぜひともご理解・ご協力いただけますようよろしくお願い致します。