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院長コラム

平成26年8月号(Vol.111)
ヤジ問題から思うこと

2015/08/01(更新日)

海水浴、川遊び、バーベキュー、花火大会と夏は楽しいことばかりです。水の事故・やけど・熱中症などに注意を払いながら楽しい思い出を残してください。先月、なんと30年ぶりに中学校(千葉県市川市)の同窓会に出席しました。初めは顔と名前が一致しませんでしたが、声が昔と変わっていなかったため、昔話をする中で徐々に記憶が蘇ってきました。少子化を反映してかまだ独身の方や、離婚した方もいました。昔話に花を咲かせながら過去の自分を振り返るたいへんいい思い出になりました。旧交を温めるような年回りになってきたのだと老いを感じました。

今月はセクハラヤジ問題を中心に考察したいと思います。

 

都議会のヤジ問題

 ヤジって必要ですか?民主主義の議会で品があまりにもない気がします。今回のヤジは「早く結婚した方がいい」、「自分が産んでから」と発言しており、政治家のレベルを疑います。妊娠出産に関しては晩婚化に伴い不妊症で悩んでいる夫婦が増えています。不妊症は10組の夫婦に1組程度見られ、女性だけの問題と思われがちですが、男性側に問題があるとも言われています。非常にデリケートなことですので男性にも女性にも配慮をしていただきたいものです。診察時、不妊症からやっと授かったお子さんを大切に育てているご夫婦によくお会いします。こうしたご夫婦は、妊娠出産が最優先となるため、その後の子育ての準備まで余裕がありません。ぜひ妊娠からの思いをかかりつけ医となる小児科医に伝えながら、楽しい子育てをしていただきたいと願っています。

 

性同一性障害

 心の性と体の性が一致しない障害をいいます。男性なのに「本当は女として生きるべきだ」と考えたり、女性なのに「本当は男なんだ」と思うそうです。先月発表された文部科学省の調査による、全国の小中高校で性同一性障害を抱え、学校に相談している生徒が600人以上います。周囲の理解を得られず、不登校になったり、気持ちが不安定になったりします。

 こういった少数派の気持ちを分かり合う社会を目指す必要があるのではないでしょうか?

 

クオータ制

 クオータとは「4分の1(quarter)」ではなく「割り当て、分配、分け前(quota)」の意味で、政治における男女間格差是正のための方策を指します。政策決定の場である政治に男女の比率に偏りがないようにすることで、発祥地であるノルウェーでは政治の場だけでなくさらに一般企業にも広がっています。ノルウェーでは法律で公的な委員会・一般上場企業の取締役会では男女それぞれ4割以上選出し、守らなければ罰則があったり、パパ・クオータ制を導入し12週の育児休暇が与えられ、取得率は90%にも達し出生率も増加しているそうです。子どもを育てる環境が整えば自然と出生率も上がると思います。

日本の学校ではクラス委員を選ぶときはクオータ制をとっています。クラス委員長は男女問わず1人ですが、副委員長は男女1人ずつです。ちなみに日本の国会議員に占める女性の割合は8.1%(2014年)で先進国の中で一番低く、男性中心の社会であることが理解できます。

 これから女性の社会進出が進む上で、女性は高等教育まで受けたスキルを仕事に活かし、出産を機に仕事をやめたりするのは本人だけでなく会社・社会にとっても大きな損失ではないかと思います。

政治が世の中のしくみを決めるとするなら、人口の半分いる女性の声を反映する政治家の比率も同等にする必要があるのではないでしょうか?そうなればヤジ問題は自然となくなると思います。

 

また1人禁煙に成功しました

 うちの保育園で行なっている防煙教育の一環で、たばこを吸うことで体を悪くする「グッバイ!モクモク王様」という紙芝居を見た園児が、お父さんの体が心配だからたばこをやめて欲しいと言いお父さんが禁煙に成功しました。

禁煙のきっかけはいろいろありますが、お子さんから言われるのは効果的です。

喫煙を責めるのではなく、体が心配というメッセージが行動変容につながったようです。喫煙する家族の子どもは、喫煙する率が高いことが明らかになっています。子どもへの最高のプレゼント、禁煙に取り組んでみませんか?

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