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院長コラム

平成23年1月号(Vol.69)
胃腸炎の治療が変わる!~点滴より飲んで治す経口補水療法~

2011/01/01(更新日)

新年あけましておめでとうございます。みなさんの今年の目標は何でしょうか?私は今年、医療に関する国際的な試験を受けようと思っています。受かったらお知らせしますね。また、今年3月に一番上の子が高校受験を迎えることもあり、親として今までになく落ち着かない新年を迎えました。

昨秋からノロウイルスが原因である感染性胃腸炎が10年ぶりに保育園や幼稚園を中心に大流行しており、メディアでも取り上げられています。すでにかかった人も多いと思いますが、最近変わりつつある胃腸炎の治療法についてお話ししたいと思います。

 

胃腸炎って?

胃腸炎は最近よく耳にするようになってきました。感染性胃腸炎・腸感冒・おなかのかぜ・嘔吐下痢症はどれも同じ病気と考えて構いません。原因はウイルスと細菌に大きく分けられ、多くがノロウイルス・ロタウイルス・アデノウイルスなどのウイルスによるものです。頻度は少ないですが、大腸菌・サルモネラ菌・カンピロバクターなどの細菌によるものもあります。症状は嘔吐・下痢・腹痛・熱・頭痛などがあります。嘔吐だけ、下痢だけで治まる場合や、症状が軽い場合はむかむかするだけで治まることもあり、同じウイルスにかかっても人によって症状が違います。

例年10~11月からノロウイルスが流行し、年明けにロタウイルスが流行します。ロタウイルスは一般的にノロウイルスより症状が重く、乳児の場合は入院することもあります。

感染経路は主に接触感染で、便や嘔吐物を触り、手などから口に入り感染します。潜伏期間は1~3日程度です。予防は手洗いとうがいが大切です。また、ノロウイルス・ロタウイルスはインフルエンザと同じように一度かかっても何度もかかってしまいます。

 

どんなタイミングで受診した方がよいのでしょうか?

嘔吐を1~2回しても元気がよければおうちで回復を待ってもいいかもしれません。しかし嘔吐の回数が多い・ぐったりしている・高熱がでる場合は早めの受診をお勧めします。

 

 

治療は?

薬についてはウイルスが原因であれば、特効薬はないため薬を飲む必要はありません。胃腸炎の症状で一番心配なのは嘔吐が続く場合です。嘔吐が多く、脱水がひどくなれば点滴する必要がありますが、症状が軽い場合は「OS-1」(オーエスワン、大塚製薬)という経口補水液がお勧めです。決して大塚製薬のみを応援しているわけではないのですが、子ども用イオン飲料とは異なり、唯一「病児用食品」に分類され治療に用いられているため紹介しました。また他メーカーの商品が発売されるようなことがありましたら、お知らせします。

OS-1は症状が軽い場合に有効で、軽い脱水の場合、体への吸収がよいため点滴した場合と同じ効果があります。OS-1が発売されてから点滴をする頻度が減り、OS-1を飲んでよくなるお子さんが多くなってきました。吐き続けてぐったりしているお子さんをみて、点滴で楽にさせてあげたいという親御さんのお気持ちは十分にわかりますが、お子さんが点滴をされることでの苦痛や点滴の液が血管外に漏れて手が腫れたりするトラブルなどのことを考えると、OS-1で対応してみることも大事です。スポーツドリンクはOS-1と比べて塩分濃度が低く糖分が多いため腸の吸収が悪くなり、多く飲みすぎると血液中の塩分濃度が低くなり低ナトリウム血症という合併症を起こす危険もあり、おすすめできません。

OS-1の飲ませ方のコツは1~5分ごとに1回5mlずつをスプーンやキャップを利用して繰り返しあげて下さい。「少ない量で回数を多く!」を忘れずに根気よくあげて下さい。乳児の場合、OS-1でなく母乳・粉ミルクを飲ませても構いません。母乳なら回数を多く、粉ミルクなら薄めずに飲ませてください。

 次に嘔吐が落ち着いたら食事を始めてください。食事は以前まではやわらかいものから始めるように言われていましたが、最近は普通の食事でよいと言われています。

 

~インフルエンザのお知らせ3~

インフルエンザの流行が始まりました。インフルエンザの特効薬は今まで「タミフル」という飲み薬と「リレンザ」という吸うタイプの薬の2種類がありました。今シーズンから「イナビル」という吸うタイプの薬が新発売されました。イナビルはリレンザと同じ吸うタイプの薬で、リレンザと比べて吸う回数が少なく、1回で済みます。また飲んだり吸入できないお子さんには点滴に入れる薬も登場しています。以前と比べて選択肢が多くなり心強い味方が増えました。

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