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院長コラム

平成30年6月号(Vol.157)
母乳育児のすすめ~Part2~

2018/06/01(更新日)

 草花は成長し、田んぼには早くもカエルの鳴き声が聞こえる季節になりました。冬は折り紙やトランプをして家で過ごすことがほとんどだったうちの娘(5歳)も外で遊ぶのを楽しんでいます。4月頃「自転車の補助輪、取って」というので心配しながら、補助なしの練習をしました。何回か転んで傷を作ったり、泣いたりしましたが、補助なしで乗れるようになりました。生まれて、歩き始め、話し、補助なしの自転車にも乗れるようになり、一段一段成長の階段を上っています。
 3月中旬以降、沖縄から始まった麻疹の流行が続き、愛知・神奈川・東京に広がり100名を超えています。かかった人は20~40歳代が多く、この世代は子どもの頃、麻疹ワクチンを1回だけで終了しているため免疫が十分ではありません。妊婦が感染すると早産や流産のリスクがあると言われていますので、大人も含めて2回接種をすることが大切です。1歳前のお子さんは、麻疹に対する免疫がまったくありませんので、1歳になったらすぐに麻疹ワクチンを接種しましょう。先月に引き続き今月も母乳についてお話します。

添い乳のすすめ

 母乳育児の場合、子どもが欲しがる度に授乳対応しなければならず、体力的にも慣れるまで大変です。特に夜中の授乳は負担が大きいです。昼間は座って授乳することは容易ですが、夜も同じようにすると体が持ちませんので、夜間は座って授乳をせず、寝ながらの添い乳がママの睡眠不足を多少和らげてくれます。うまくできない場合は昼間に添い乳をしてみて、お子さんに慣れてもらいましょう。

寝る前の授乳は虫歯になりやすい?

 虫歯は、食べ物や飲み物に含まれる砂糖(ショ糖)から虫歯菌が酸を作り、歯を溶かす病気です。母乳中に含まれるのはショ糖ではなく乳糖であり、虫歯の直接の原因にはなりません。虫歯の予防で大切なことは、少なくとも1日1回は歯みがきをして歯の汚れをしっかりと落とすことです。夕食後仕上げ磨きができていれば、寝る前の授乳後に歯みがきをする必要はありません。おっぱいを飲ませながらそのまま寝かせて大丈夫です。
 ちなみに、仕上げ磨きは嫌がる子どもが多いと思いますが、やさしく話しかけたり、楽しい歌を歌いながら笑顔で磨きましょう。また口の中を傷つけないために、保護者の膝の上に頭をしっかりのせて固定できる姿勢を保ってください。それでも嫌がる場合はあきらめず、力加減に気を付けたり、歯肉に強くあてないなど注意しながら習慣づけのために短時間で行ないましょう。

授乳中は薬を飲めるの?

 薬の説明書である添付文書には、多くの薬が授乳中は避けることと書いてあり、その通り対応すると授乳を止めなくてはなりません。しかし、アメリカやカナダの調査によると、薬を飲んだ母親の母乳を飲んだ子どもの血中濃度を測定したところ、安全なレベルの薬も多くあったことが明らかにされています。授乳中の服薬に熟知している医師(小児科医、産婦人科医など)に相談をしていただければ幸いです。授乳しながら、抗生剤・抗アレルギー薬・抗てんかん薬などが対応できる場合があります。

卒乳はいつごろ?

 授乳をやめる時期はよく質問されますが、時期は決まっていません。私はよく「ママが決めるといいですね。」と答えています。中には1歳になったら止めるべき、1歳過ぎて飲ませていると「まだやめていないの?」と言われたりするようですが、1歳でやめた方がいいことはありません。「1歳すぎると水と同じ!」なんて言う人もいますが、1歳すぎても母乳の成分は今までと同じ成分のままです。また1歳過ぎると、栄養的なことより、スキンシップの役割が強くなってきます。寝かしつけの時や不安になったり甘えたりするときに子どもが授乳を求めてくれば、自然に応じてあげて下さい。
 入園を機に母乳をやめるように言われる場合がありますが、やめる必要はありません。園に預ける前にたっぷりと飲ませて預け、帰ってきたらスキンシップも兼ねて授乳して下さい。授乳は子どもの精神的な安定に寄与します。昼間、胸が張る場合は職場にお願いし、授乳室を設けて搾乳をして乳腺炎を予防することも大切です。なお、WHO(世界保健機関)やユニセフでは、2歳かそれ以上まで母乳育児を続けることを勧めています。

参考文献

NPO法人日本ラクテーション・コンサルタント協会ホームページ

http://jalc-net.jp/

ドクターKIRIKOのおっぱい育て ニライ社 桶谷桐子

日本小児歯科学会ホームページ

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