令和2年3月号(Vol.178)
新型コロナウイルスに負けない!
今月は桜も咲き春到来となりますね。今シーズンのインフルエンザは、暖冬や新型コロナウイルスの影響によりいつも以上にマスク・手洗いを徹底したためか、例年と比較して大流行が見られないのが朗報です。
一方で、そろそろスギ花粉症で悩まされている人も多いと思います。日本気象協会によると山梨県のスギ花粉の飛ぶ量が非常に少ない(前年比50%未満)見込みです。今年は飛ぶ量が少ないので昨年より症状が軽くなることが予想されます。体質を変える舌下免疫療法を行われている方にはさらに効果が期待できます。当クリニックで舌下免疫療法をしているお子さんは例年に比べて症状が軽い印象です。
連日の新型コロナウイルスの報道により、不安を感じられている人も多いと思います。今月は新型コロナウイルス感染症についてお話します。
現状
2002年発生したSARS(重症急性呼吸器症候群)は日本での発症例がありませんでしたが、新型コロナウイルス感染症はすでに日本での発症が出ているので他人事ではなくなっています。世界で死者(2月15日現在)が1,500人、感染者は5万を超えています。SARSの流行は9か月間であったのを考えると今回の新型コロナはそれ以上続く可能性もあります。
不安を払拭するには、まず正しい情報を得ることが大切です。口コミやSNSの情報ではなく、厚生労働省などの公的機関からの情報収集をお勧めします。
感染しないために
新型コロナウイルスはヒトからヒトへの感染があることがわかっています。感染経路を知ることで対応法がわかります。新型コロナウイルスの感染経路は「飛沫感染」と「接触感染」の2つです。
飛沫感染は咳やくしゃみなどで飛び散り、口や鼻から吸い込むことによって体内に入り感染します。飛び散る範囲は1~2mですので、2m以上離れていれば大丈夫です。予防における適切な距離を知ることも、不安軽減のために大事になります。
接触感染は感染した人に直接触れるだけではなく、感染者が咳やくしゃみを手で押さえた後、その手で周りの物(電車やバスのつり革、ドアノブ、スイッチなど)に触れるとウイルスが付きます。別の方がその物を触り、ウイルスが手につき、その手で口や鼻を触って感染します。「手」を介して感染するのだという意識を持ちましょう。
まとめると、帰宅時や食事の前に石けんやアルコール消毒液での手洗いとうがいが大切です。インフルエンザ流行期と全く同じ対応です。特に高齢者、基礎疾患がある人は重症化しやすいので、人込みを避けることも大切です。
正しい手の洗い方
正しい手の洗い方はまず腕時計や指輪をはずしてください。石けんやアルコール消毒で手を洗ってください。手のひらだけ洗うだけでは十分ではなく、手の甲・指先・指の間・手首も洗って、親指をねじり洗いしてください。時間の目安は30秒以上と考えてください。日頃から爪を短く切っておくことも大切です。また手洗い後は十分に水で流し、ペーパータオルや清潔なタオルで良く拭き取ってかわかしましょう。手拭用タオルは共有せず、ペーパータオル等を使い毎回タオルを交換するか、個人用タオルを利用するようにして下さい。
もし、感染したと思ったら
くしゃみや咳が出る時に手でおさえると、「手」を介して他者に病気をうつす可能性がありますので、咳エチケットを行ってください。咳エチケットとは咳・くしゃみをする時にマスクをすること・マスクがない場合はティシュ・ハンカチで、とっさの時は袖で鼻や口を覆うことです。
マスクは咳やくしゃみによる病原体の飛散を防ぐ効果が高いとされています。予防用としてのマスクは混み合った場所、特に屋内や乗り物など換気が不十分な場所では効果がないわけではありませんが、屋外などで相当混み合っていない限り、マスクを着用することによる効果はあまり認められていません。
症状がある方は周りに広げない配慮も気にしていただけたらありがたいです。みんなの気持ちが一丸となれば、早く制圧できます。
県民からの不安など一般的なご相談は「新型コロナウイルス感染症専用相談ダイヤル(055-223-8896)」に電話をし、発熱や呼吸器症状があり、中国湖北省への渡航歴、患者との接触歴のある方は最寄りの保健所にお問い合わせください。診断はインフルエンザの検査と同じように綿棒でのどをぬぐった検体を用いて核酸増殖法でウイルス遺伝子の有無を確認します。検査体制も十分でないため、結果までに時間がかかっています。結果が陽性だとしても、このウイルスに有効な抗ウイルス薬はなく、対処療法を行います。
参考文献
厚生労働省ホームページ 新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html
保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版)
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000201596.pdf