令和5年4月号(Vol.215)
教育を考える~教師の職場環境について~
少しずつ暖かくなり、例年よりも早い桜の開花に気持ちも和らいできますね。先月からはマスク着用の緩和が開始され、今月からは学校でのマスク着用が不要になります。しかし、周囲を見回してもまだまだマスクを着けている人が多い印象です。子どもたちの中にはマスクを様々な理由で外したがらない場合もあります。お子さんの気持ちに寄り添ってもらいたいと願っています。
今月は学校の教師働き方について皆さんと考えたいと思います。子どもを育てる上で教育は大変重要な分野の一つです。質の高い教育を受けることは、素晴らしい能力の子どもを育てることに繋がります。教育は親だけで担えるわけではなく、様々な個性の子どもたちが存在する学校での学びは欠かすことができません。一方で、教育を司る教師の働く環境は課題が山積しています。教師にとって働きやすい環境が整うことで、教師は子どもたちによりよい教育を提供することができます。私たち親も子どもたちのために教師の職場環境について考えていく必要があります。
私からみえる教師の姿
私は小中高を千葉県の公立学校で過ごし、私の4人の子どももすべて県内の公立小中高校で、5人目も公立小学校でお世話になっています。自分自身が子どもの時はあまり気づきませんでしたが、親として教師の働く姿を目にすると、正直「献身的」という言葉に尽きる気がします。朝から勤務に入り、子どもたちが休み時間の時でも休んでいません。うちの子どもに先生は休み時間は何をしているのかと聞くと、「休み時間は宿題の丸つけ、もめごとの調整をする時もある」と話していました。給食も子どもたちと一緒に食べているので、気が休まる時間はないでしょう。教師も人間ですので、授業をしたら、しっかりと休憩をするといった基本的なことを見直した方がよい授業ができると思います。授業終了後はしっかりと休んでいただくことが大切です。
令和3年度に精神疾患で休職した公立学校の教員が5,897人(全教員の0.64%)と過去最多を記録しました。長時間労働・コロナ禍も増加の要因と言われ、職場環境の改善が叫ばれています。
部活動の地域移行が始まる
2022年6月、スポーツ庁から「学校の働き方改革を踏まえた部活動改革」について提言が出されました。これまでの部活は教師による献身的な勤務の下で成り立ち、休日を含め長時間勤務の要因であることや、指導経験のない教師にとって多大な負担であるとともに、生徒にとっては望ましい指導を受けられないことがありました。今年度から公立学校の部活を学校単位から地域単位の取組とすることが示されました。
私は中学バスケットボール部、高校はサッカー部に所属し、様々な経験をさせていただきました。うちの子どもも陸上部、バスケットボール部、卓球部、山岳部などにお世話になりました。土日問わず、先生方が携わっていただいたおかげです。
「給特法」という法律をご存じでしょうか。給特法は教師には残業代を給料の4%分の「手当」を出す以外は、時間外・休日勤務については何時間働いても残業代は出さないというものです。教師の夫がいるかかりつけのママにご家庭の様子を聞くと、「旦那は土日も家にいない」「うちは母子家庭です」と言った声をよく聞きます。土日も休みなく、働き続ける教師の職場環境は決してよい状態ではないと思います。
私たちは中学高校の部活動を教師のほぼ無報酬で営まれてきたことを反省し、今年度からの部活の地域移行を自分たちのこととして考えていく必要があると思います。変革に戸惑いはつきものですが、これ以上教師を苦しませることがないように考慮すべきです。
保育園の職場環境も
うちの妻が園長として園の運営を行っているので学校同様に保育園・こども園も非常に多忙な厳しい環境であると実感しています。保育者は人手不足の業種であり、資格を持っていても別の職種になる人もいます。教師同様、保育者も更なる労働条件の悪さが指摘されており、小さなお子さんの命を預かる責任の多い大変さ仕事であるにも関わらず、給料の安さや長時間勤務も指摘されています。さらにこのコロナ禍においては子どもたちへの感染対策、親への対応といったことも重なり保育者の疲弊感は高まるばかりです。保育現場にも保育者一人当たりの園児数の改善や業務負担の見直しなど国を挙げて取り組んでほしい課題が山積しています。子どもにかかわる職種が希望の持てるような環境で仕事をして欲しいと切に願っています。
参考文献