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院長コラム

令和6年1月号(Vol.224)
発達障害~親の気づき~

2024/01/01(更新日)

 新年あけましておめでとうございます。

私は今年も子どもの代弁者たる小児科医として子どもファーストで真摯に向き合っていきたいと思っています。さらに今年は対面を意識して人の絆を深めていきたいと思います。

昨年11月末、第12回富士山マラソンに出場しました。天候にも恵まれ、雄大な富士山を眺めながら最後は体がボロボロになりながら42.195km走り切りました。結果は前回より30分も短く4時間40分!反省点は多々あるものの満足のいく走りでした。次回は4時間半以内を目指します。

 年末もインフルエンザの猛威が収まらず、さらにアデノウイルス感染症・溶連菌感染症・胃腸炎などの子どもたちの感染症の流行がみられています。当院では、アデノウイルスを調べる迅速検査キットが手に入らないため、アデノウイルスが疑われるお子さんには検査ができません。アデノウイルスは感冒のウイルスでもあり、特殊なウイルスではないので、過度に心配しすぎる必要はありません。まず、感冒の時と同じ対応をして、熱が長引き、水分摂取できないなどの場合は受診してください。

 2022年12月、文科省から通常学級に在籍する小中学生の8.8%が、学習面や行動面で著しい困難を示す発達障害の可能性があることが発表されました。 今月は小中学生の1割弱が該当する「発達障害」について、どのようにしてわたしたちは向き合うべきかを考えていきます。

 

発達障害とは

 発達障害は脳機能の発達が関係する障害です。臨機応変な対人関係が苦手、こだわりが強いといった自閉スペクトラム症(ASD)、不注意・多動性・衝動性のある注意欠如・多動症(ADHD)、読み・書き・計算が苦手な学習障害(LD)などに分けられます。これらの発達の特性が重複してみられたり、強弱がみられたりします。その行動や態度は「自分勝手」とか「変わった人」「困った人」と誤解され、敬遠されることも少なくありません。その原因は親のしつけや教育の問題でもないことが大前提です。

 

園・学校と家庭と医療機関の連携が大切!

 社会で生きていくためには、社会性やコミュニケーションが必要となります。発達障害のあるお子さんは、そこが苦手なため、園や学校で集団生活をすると、様々な問題や困難に直面することになります。健診・園・学校からお子さんの発達が気になることを指摘された場合は「様子をみること」はせず、専門の医療機関に相談をすることをお勧めします。医療側では発達特性を評価し、親に伝えていきます。療育の関わりで、専門的なアプローチでのお子さんへの関わり方を知ることで無駄に怒らず対応することができます。

 発達障害のお子さんは「できることをほめる」「できないことを叱らない」「視覚的な情報を提示して説明する」「説明や指示は短い文で、順を追って、具体的に」「安心できる環境を整える」「善悪やルールをはっきりと教える」「温かく見守る」などの対応を親や園・学校の先生が連携を取りながら進めていくと、集団でのストレスが減り、不登校や引きこもりなどの2次障害を防止することができます。

 

親の理解が大切!

 2005年に施行された発達障害者支援法で発達障害の認知が広がり、社会で認知されてきました。この法律の第一章に「発達障害の症状の発現後できるだけ早期に発達支援を行うことが特に重要である」と述べています。つまり早期の対応の大切さを訴えています。発達障害の特性は生涯残ると言われていますが、子どもの柔らかい脳に適切な関わりをすることで、その特性とうまく付き合い、よい刺激を受けながら社会と一緒に生きていけるようになります。

親が気になって園・学校・医療機関に子どもの発達の相談をしていただくケースでは、お子さんの能力を最大限に伸ばす環境が整えられつつあります。一方で親に園・学校からの気になるお子さんであることを伝えても、なかなか理解していただけないケースがあります。こういった場合、適切な関わりができていないお子さんは生きづらさを感じ、ストレスが増し、自己肯定の低下などで不登校・引きこもりなどの2次障害に発展しかねません。子どもは親だけで育てることはできません。ぜひ、関係機関と連携をし、一緒に子育てしていくことが大切です。親に伝えて理解していただけない場合、私たちも諦めてしまいがちですが、将来ある子どもたちのために、親に理解してもらえるように何度も何度もお話させていただきます。親亡き後のお子さんを想像して、親だけに子どもを押し付けるのではなく、社会全体で子どもを育てる時代になることが一番の子どもたちの幸福につながります。子どもたちのために。

 

参考文献

学校の中の発達障害 SB新書 本田秀夫著

発達障害の早期発見・早期療育・親支援 金子書房 本田秀夫編著

通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果(令和4年)について 文部科学省ホームページ

発達障害って、なんだろう?政府広報オンライン

発達障害者支援法 文部科学省

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