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院長コラム

令和6年3月号(Vol.226)
学校を考える~小児科医の立場から~

2024/03/01(更新日)

 寒い日々が続いてきましたが、ようやく、春らしさが感じられるようになりました。3月は卒園・卒業式などがあります。うちの第3子も大学生活を終えます。親としては仕送りが終わり、社会人として一歩踏み出すのを応援したいと思います。私にはまだ学生の子どもが2人いるので、もうしばらくがんばって稼がねばなりません。先月初旬、ランニングをしていたところ、段差につまずき、右足首をひねってしまい、腫れと痛みが続いています。上手に年を重ねていく難しさを実感しています。

 今月は学校のことについて皆さんに伝えていきます。私は昨夏「夢みる校長先生」という映画を観てきました。その驚きの内容と、さらに1月末、放映された「NHKスペシャル“学校”のみらい~不登校30万人から考える~」についての不登校改善策、さらに私が診療している学校へ行きづらい子どもたちの声を皆さんにお届けします。

 

「夢見る校長先生」を観て

「子どもファースト」な学校改革を行った6つの公立学校の校長先生にスポットをあてたドキュメンタリーです。その6つの学校は長野県、東京都、神奈川県などにあり、校長の決断で通知表・定期テスト・校則・宿題などを廃止する試みをしています。その試みをしている学校が私立ではなく、公立学校であることに私自身、驚きを隠せませんでした。現行の制度の中で学校を変えることができるようです。映画の中で学校改革を取り組んでいる先生方や生徒たちの顔の表情がとても生き生きとしており、主体的に勉強に取り組んでいる姿が印象的でした。この取り組みは学校だけでなく、保護者や地域の人たちの理解と応援が支えになっていました。ちなみに、3月17日(日)に山梨県立文学館で上映予定があります。(問い合わせ:山梨県弁護士会事務局、055-235-7202)

 

不登校ゼロの学校

2023年度現在少子化にも関わらず、不登校児童生徒数が年々増え続け、過去最多約30万人となっています。1月末「NHKスペシャル“学校”のみらい~不登校30万人から考える~」を観ました。国内外の子どもを主体とした学校やフリースクールの取り組みの紹介があり、不登校経験者・親・専門家たちの声を聞きました。私が一番興味を惹いたのが山形県天童中部小学校の取組で、前校長が「子ども主体の学校にする」と熱い思いを持って学校改革をしていました。一斉授業が全体の8割で、子ども自身が学び方を選択する授業が2割あり、主体的に子どもたちが学びを深め、生き生きとしている姿がありました。そしてこの学校はなんと「不登校ゼロ」であることが不登校改善策のヒントになると思いました。

 

子どもたちの声を!

私は不登校や不登校気味になるお子さんを診療する機会があります。その子たちは学校での生きづらさを感じ、頭痛・腹痛・気持ち悪い・倦怠感などの訴えがあります。

あるお子さんは友達とのトラブルがきっかけでした。診察を通じて親も初めて聞く場合もあり、次の診察までに親に子どもの困っていることを先生に伝えていただきます。こうすることで改善に向かう場合もあります。

また、頭痛を訴え、沈んだ表情で小2女子が診察室に入ってきたことがありました。話を聞くと「給食時がつらくて食べたくない」と私に訴えてきたので「給食の量を減らすといいかな」と聞くと、顔の表情がよくなりました。その後、親から担任の先生に給食の量を減らしてもらい、頭痛が改善しました。

宿題に取り組む時間がかかってしまい疲労が取れないお子さんもいました。丁寧に字を書きたい性格もあり、漢字練習に他の人の数倍もかかり、減らしてみるように先生に相談をしようと言うと、その子は「やれないと休み時間にやらなければならないからがんばる」と言っていました。

子どもたちの困り感は一人一人違います。子どもたちの声を聞きくことの大切さ、子どもたちは教師に言いづらいので、親から学校側に相談をして困り感を改善することをお勧めしています。

最後に、私も妻も上の子どもたち4人も小中高校とも公立で学ばせていただき、今は末娘が公立小学校にお世話になっています。私が子どもたちに公立学校を選択したのは、多様性に満ちたいろいろな子どもたちがいて、様々な経験ができると思ったからです。実際に様々な国籍の子どもや家庭との出会い・病気や特性を持つ子どもとのかかわり等、学校は勉学を学ぶ場以上に社会性を身につける、生きる力を養う場だと思っています。公立学校がもっと魅力的になれば、子どもたちも魅力的になります。私たちがもっと学校に関心を持ち、先生方を応援することで、今の制度内でも学校は変われることを知っていただけたら幸いです。

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