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院長コラム

令和7年3月号(Vol.238)<br>オーバードーズ(OD)って?

2025/03/01(更新日)

 今月から少しずつ植物や虫たちが息を吹き返す季節ですね。うちの娘が長い小学校生活を終え、来月から中学生になります。子どもの成長は早いもので嬉しくもあり、ちょっぴり寂しさも感じます。最近、仕事関係の仲間から声をかけられ、大学時代部活動としてやっていた硬式テニスを月1回やるようになりました。30~40歳代は仕事・家庭生活が多忙でテニスと無縁でしたが、子育ても落ち着き顔を出せるようになりました。テニスを通じて仲間が増え、体を動かすので健康にもよいですね。皆様も子どもが大きくなってきたら、少しずつご自身のための時間を作り、うまく子離れをしていってください。

 薬物依存というと覚せい剤や大麻をイメージしますが、最近は薬局やドラッグストアなどで売っている市販薬を乱用する若者が急増しています。今月は昨今の社会問題になっている市販薬の過剰摂取(オーバードーズ、OD)についてお話します。

 

オーバードーズとは

 医薬品を決められた量を超えてたくさん飲んでしまうことを指して、「オーバードーズ」と言われています。特に最近、かぜ薬や咳止め薬などをかぜや咳の症状を抑えるためではなく、感覚や気持ちに変化を起こすために大量に服用することを指して、「オーバードーズ(OD)する」などと言われています。

 薬は肝臓や腎臓で分解され無毒化(代謝)されるので、たくさん飲んでしまうと、身体に大きなダメージを与えてしまい、死に至ることもあります。ODにより意識がもうろうとしたり、呼吸が苦しくなったりして救急搬送される例が各地で報告されています。ODは心と体を傷つける、危険な行為です。

2022年、国立精神・神経医療研究センターによる調査では、全国の精神科医療施設で薬物依存症の治療を受けた10代患者のうち、市販薬を主に使用していた患者は全体の65.2%を占めています。ちなみに2014年の同様の調査では、市販薬を使用していた患者の治療は0%でした。ODが若年層に急速に浸透してきていることが分かります。

 

高校生は約60人に1人OD経験あり

 国立精神・神経医療研究センターが2021年に実施した「薬物使用と生活に関する全国高校生調査」によると、「過去1年間に市販薬を乱用した経験がある」と答えた生徒が約60人に1人の割合(約1.6%)でいることがわかりました。

この調査では市販薬乱用の経験を持つ高校生は非経験者に比べて、睡眠時間が短い・朝食の摂食頻度が低い・家族全員での夕食頻度が低い・大人不在で過ごす時間が長い・親しく遊べる友人や相談ができる友人が少ない・悩み事があっても親(特に母親)に相談しない・インターネットの長時間使用(1日6時間以上)の割合が高い結果でした。市販薬乱用の予防や支援をしていくためには、こうした生活上の特徴を把握していくことが重要と考えられています。背景に社会的孤立・生きづらさがあります。

 

オーバードーズをしたくなったら

 つらい気持ちや、嫌なことがあったり、なんだかもやもやしていたり・・・そんな気持ちや生きづらさをODで変えられると思ったら・・・そんな時は危険なODより、つらい気持ちや嫌なことを誰かに話してみたり、困っていることを相談してみたりすると、そんな状況が少し変わるかもしれません。

 身近な友達や先生や家族にはちょっと話しづらい時は専門家が話を聞いてくれる相談窓口(精神保健福祉センターなど)もあります。もちろん、秘密は絶対に守られます。誰かに相談するのは、勇気がいるかもしれません。そんなに難しく考えなくても、ただ誰かとなんでもないお話をするだけで、こころが少し晴れることもあります。

 

ご家族や支える皆さんへ

 友達や家族がODしていることに気づいたら、力になってあげてください。何をしてあげたらいいかわからなかったら、専門家に相談できる窓口を紹介することも支援の一つです。相談はODをしている本人でなくてもできます。本人に対しては責めたり、無理やりやめさせようとしないでください。それよりも、本人がODをしないといけないくらい「辛い」ことを受け止め、まずは本人の話に耳を傾けてあげてください。それだけで本人の気持ちが落ち着くこともあります。「辛いんだね」「大変なんだね」などと声をかえてみてください。家族だけで抱え込むのではなく、専門医療機関や精神保健福祉センターなどに相談をしてください。

 

参考文献

厚生労働省ホームページ 一般用医薬品の乱用(オーバードーズ)について

薬物使用と生活に関する全国高校生調査(2021) 厚生労働省

https://www.ncnp.go.jp/nimh/yakubutsu/report/pdf/highschool2021_ver2.pdf

全国の精神科医療施設における薬物関連精神疾患の実態調査(2022、国立精神医療研究センター)

https://www.ncnp.go.jp/nimh/yakubutsu/report/pdf/J_NMHS_2022.pdf

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