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院長コラム

 今春は花見もできず、ただただ自粛により家で過ごしているうちにもう夏になってしまったという感があります。園や学校が再開したものの、遠足・修学旅行などの楽しい学校行事も延期され、朝の検温、距離を置いた行動等の制限がとても多く、子どもたちも戸惑っているのではないでしょうか。うちの娘は当初コロナの話をするだけで耳を塞ぎ、泣いてしまうことも多かったのですが、最近は娘にコロナのニュースを避けて、家族でコロナの話題を上げないように配慮をしていたためか落ち着くようになりました。家では暑さのため私と娘での水鉄砲での水遊びや、トランプをしてストレスを発散できるような工夫をして過ごしています。

 コロナの状況はまだ気を抜くことができず、終息が見通せないのが現状です。県内の感染者数は延べ70人を超え、都道府県別の発生状況(6/9-15)をみると、山梨県は人口10万人当たり0.49人、東京都・北海道に続く3番目に多く高い感染率となっています。3密を意識しながら生活をしていくしかありません。自粛生活ももう5か月目に入り、気が滅入っていると思います。今月もコロナについてお話します。

 

まだ、ほとんどの人が感染していない!

 先月16日、新型コロナウイルスの抗体検査について厚生労働省から発表されました。3都府県20歳以上の住民7950人を無作為に選び、陽性率が東京0.1%、大阪0.17%、宮城0.03%でした。海外の米ニューヨーク州12%、スペイン5%と比べると日本は大変低く、ほとんどの人が感染していないことがわかり、再び流行が起こる可能性があります。ただ、恐れてばかりいると精神的に病んでしまいます。コロナとは長いお付き合いをしなければならないので、感染状況を見据えながら生活をしていきましょう。

 

お子さんの体調が悪くなったら

 この時期はお子さんの体調が悪くなると、コロナではないかと心配されると思います。うちのクリニックでも毎日のように熱・咳・鼻水といった感冒様症状の方が受診に来られ、「コロナですか?」とよく質問されます。コロナかどうかは感冒と症状は変わらないので、最終的にはPCR検査をしないとわかりません。現在わかっていることは子どもでコロナにかかった方は「家族内感染」です。家族で同じような症状の方がいなければ大丈夫でしょう。「発熱があり、かつ、せき・のどの痛み・頭痛・倦怠感などのかぜ症状、または味やにおいが分からないなどの異常を感じる場合」が相談の目安なので、気になる場合は自己判断せずに、かかりつけ医に相談をしましょう。

 

夏の過ごし方の注意点

 今年の秋にコロナの第2波が来る可能性もありますので、母子手帳を確認して必要な予防接種があれば、早めに接種してください。

今年の夏は3密を意識せねばならず、マスク着用が必要になりますが、厚生労働省の「熱中症予防行動」の中に、屋外で人と十分な距離(2メートル以上)を確保できる場合は適宜マスクをはずしてかまわないと書かれています。息苦しさや、気分が悪くなった場合はマスクをはずして休みましょう。

また、日本小児科医から「2歳未満の子どもにはマスク不要、むしろ危険!」というメッセージが出されています。呼吸や心臓への負担・マスクで顔を覆うことで体調の変化の遅れなどを指摘しています。

 

子どもも大人もリフレッシュしよう!

これまでの自粛生活、子どもも大人も本当にがんばってきました。学校が再開されたことで、腹痛・頭痛・不安などを理由に受診されるお子さんが例年になく目立ちます。コロナの影響と思われるので体を休めること・ご両親や先生方が関わり方を工夫することで症状が和らいできます。子どもたちは自粛期間、家で閉じこもり、学校が始まるも通常と違う学校生活でストレスも溜まっています。一方で親もストレスが溜まり、子どもにぶつけてしまう場合もあります。国立成育医療研究センターの「子育て中のあなたへ」というリーフレットの中に「親である前に、社会人である前に、あなたも大事なかけがえのない、一人の人間です。これまで、ご家族やご親戚、園や学校、コミュニティなど、みんなで行ってきた子育てです。完璧にできなくてもいいのです。どうかご自分を責めないでください。あなた自身もケアされるべき存在なのだということを思い出してください。」というメッセージが書かれています。私たち親も眠れない・落ち込み・つらさが続く場合は1人で悩まず地域の精神保健窓口・保健センター・かかりつけ医等に相談することもお勧めです。

 

参考文献

厚生労働省ホームページ

国立成育医療研究センター「新型コロナウイルスと子どものストレスについて」

https://www.ncchd.go.jp/news/2020/20200410.html

 コロナの自粛から3か月が経ちました。皆さんとの協力により、新たな感染者数が減り、県内では緊急事態宣言が解除になりました。通常の生活にゆっくり戻っていく過程にあると言えるでしょう。お子さんがいる家庭では、学校・園が休みとなり、外出もままならず、家で過ごす生活は大変だったと思います。うちの娘は外で遊びたいのに、ニュースなどの報道を過剰に感じ取り、外へ出ることへの恐怖心を覚え、買い物や校庭へ誘っても行くのを拒むようになりました。娘の前ではコロナの話を避けるようにしていたつもりがついついコロナの話になってしまい、「怖い、怖い」と泣かれる場面もありました。大人も不安ですが、子どもは何倍も不安です。洗濯物干しにイチゴをつるしてのいちご狩り、庭でのバーベキューや花火、自宅でできる遊びを工夫しながら過ごしてきました。現在、感染者が減っていますが、秋になると第2波が来るとも言われています。第2波に備えて今月もコロナの話をさせていただきます。

 

県内の状況

 先月、甲府市出身の大相撲「勝武士」力士がコロナウイルス性肺炎による多臓器不全で亡くなられました。謹んでお悔やみ申し上げます。先月から山梨大学でドライブスルー方式のPCR検査が実施されました。大学でPCR検査が実施されるのは全国に先駆けての取り組みです。検査体制が強化されたことは県民にとって安心につながります。うちのクリニックでもPCR検査をお願いしたときに、以前よりスムーズに対応していただけるようになっています。検査ができるようになると、安心につながり、感染拡大防止に大いに役立ちます。また、同大学が入院と入院予定の患者さん370人を対象にPCR検査を実施したところ、すべて陰性という結果が出ました。すべて陰性という結果から、県内においては東京のような大都市にみられる市中感染の状況になっているとはまだ言えないと考えられます。同大学のホームページに「新型コロナウイルス感染症との闘い」と題する論文がアップされています。その中にはPCR検査体制の強化・対応した乳児感染の様子が記されています。現場の必至な思いが伝わる内容ですのでぜひご一読ください。

 

子どものコロナ感染でわかっていること

 日本医師会の中に有識者会議が立ち上がり、その中子どものコロナ感染状況が少しずつわかってきました。中国・アメリカ・韓国・日本等の報告をまとめたものがホームページ上に掲載されています。その報告では「子どもの感染者の割合は少なく全体の1割も満たないこと」・「子どもの感染は家族内感染がほとんどであること」・「学校や保育園におけるクラスター(集団)はないか、あるとしても極めて稀であること」・「子どもは成人に比べて軽症で死亡例もほとんどないこと」が挙げられています。

さらに「自粛のため親子が自宅に引きこもることでストレスが高まることにより家庭内暴力や子どもへの虐待のリスクが増すこと」・「予防接種をしないと予防接種で防げる病気にかかるリスクが高まること」などが指摘されています。コロナへの感染のみを意識し過ぎると、コロナに関連した様々な健康被害が大きくなることが懸念されますので、ぜひバランスを保っていただきたいと思います。今月は少し外の空気を吸って、心の健康を意識してもらいたいです。

 

この夏の過ごし方

 緊急事態宣言が解除されましたので、以前よりは警戒を緩めていいと思います。ただ、感染者はまだいますので換気の悪い密閉空間・多くの人が密集する場所・互いに手を伸ばしたら届く距離での会話(密接)の3密を気にしながら生活をしましょう。秋の第2波に備えるためにも、体も心もリラックスしましょう。親子の関係をよい状態に保つためにも、日々宿題・ゲームの対応で険悪になっている関係のリセットも必要です。宿題もゲームも少し大目に見ることで、親子の関係が改善されます。深呼吸をする時期と捉えましょう。宿題は親が教えるとついつい力が入ってしまい、親子関係がよくならなくなります。勉強の中身を深入りせずに、やったことを褒めて終えることをお勧めします。学校からの課題を終えたら、「よくがんばったね」とお子さんに伝えてください。

 最後に、感染症の歴史から推測すると、5~6割の人々が抗体を持てば集団免疫を得て、流行がなくなると考えられています。日本での抗体保有率は5~6割にまだほど遠い状況にあるので、長期戦を覚悟する必要があります。ワクチンや医療薬の開発が進んでいるので、今よりももっと安心できる時期が訪れます。

 

参考文献

山梨大学ホームページ https://www.yamanashi.ac.jp/

日本医師会COVID-19有識者会議https://www.covid19-jma-medical-expert-meeting.jp/

 

 新型コロナウイルス感染症で世界が揺れる中、春本番の陽気に一時ですが心が癒されます。外出もできないため、夕食後、トランプやUNO(ゲーム)などで楽しむ昭和時代の家庭の営みをしています。コロナのニュースを毎日のように見ていたところ、娘(小2)が急に「怖い!」と言って泣き出しました。映像で病院の様子を見て怖がることが何度もあり、さらに夜中「怖い!怖い!」と悪夢を見て泣き出すことがあったため、最近は娘の前ではニュースを見ないように心がけるようになりました。

県内の感染者も増えつつあり、緊急事態宣言が全国に発令され、いよいよ私たちの周りにもコロナの影響が及んできました。先が見えず長期戦を覚悟しなければならなくなってきました。3月末、0歳女児が心肺停止状態で山梨大学医学部付属病院に運ばれました。小児科教授の指示でコロナの検査をしたところ「陽性」と判明、幸い院内に感染が広がらず、後日、濃厚感染者もすべて陰性で大事に至りませんでした。大学病院の小児科の先生方には大変お世話になっており、現場の苦労を思うと他人事ではないと感じました。病院スタッフの方々に感謝を申し上げたいと思います。

今月も新型コロナウイルス感染症についてお話します。

 

子どもたちとの生活

 学校も園も行けず、子どもたちは家で過ごすことが多くなっていると思います。父親も家にいることが多くなっているかもしれません。以前の生活に比べて、距離が狭まり、家族が助け合いながらうまく過ごせていればいいのですが、それが難しい家庭もあるかもしれません。家族内で時間のやり繰りをして、1人の時間を作ることも必要です。子どもも親もゲームやテレビの時間が長くなるのはよくないので、家事を分担することも大事です。年齢に合ったできそうな所からで構いません。うちの娘は朝、ポストに入っている新聞を取りに行っています。そして、やり終えたら、「ありがとう」と褒めてあげています。ゴミ出し・風呂の掃除・洗濯物を干すなど年齢に合った内容から少しずつお願いしてみてはいかがでしょうか。仕事ができたら、感謝の言葉を伝えることも大切になります。1人でできないなら親と一緒にすることもお勧めです。この機会に食事中、スマホを触らずテレビを消し、会話を楽しめれば、スマホやテレビを見る時間が減ります。家族の在り方を見つめ直す時期と前向きに捉えましょう。

外出自粛となると家に閉じこもりがちですが、ずっと家にいることは体よくありません。適度に体を動かすことは大切です。ジョギングでも歩くだけでも構いません。1日5分でも10分でも外の空気を吸って気分転換をしてください。

 

この機会に「禁煙」を!

新型コロナウイルス感染症は肺炎などの重篤な呼吸器症状を引き起こし、喫煙者のリスクが騒がれていました。2か月前、有名な医学雑誌で武漢(中国)での新型コロナウイルス感染者1099名を調査した結果、非喫煙者に比べて、喫煙者(現在と過去合わせて)は重症化リスクが1.66倍、人工呼吸器装着もしくは死亡のリスクが2.96倍だったと発表されました。また、日本禁煙学会では電子タバコを含む喫煙が新型コロナ感染にとって「深刻な脅威」であることを訴えております。さらに喫煙室は濃厚接触の場になりうるので閉鎖していただくように求めています。喫煙者の皆様、この機会にぜひ禁煙をお勧めします。

 

これからどう過ごしたらよいか?

 かからないように、3密(密閉、密集、密接)を考えて行動することがとても大切です。急激に患者数が増えると、人工呼吸器が足りなくなり、救える命も救えなくなるので、オーバーシュート(爆発的患者急増)は避けなければならず、1人1人がかからないような行動をする必要があります。県内が落ち着いたとしても日本中が落ち着かないと、人が混じり合うことで再び感染者が出て、第2波、第3波が来ます。じっとかからないように待つことで、治療薬やワクチンが開発され、インフルエンザのようにある程度、対応できる日がきっと来ます。

最後に、ノーベル賞を受賞した山中伸弥先生が、1)自分を周囲の大切な人をそして社会を守る行動を自らとろう。2)感染者受け入れ体制を整備し医療従事者を守ろう。3)検査体制の強化。4)国民への長期戦への協力要請と適切な補償。5)ワクチンと治療薬の開発に集中投資の5つの提言を発表しました。私もこの提言に賛同します。

 

参考文献

日本禁煙学会 www.jstc.or.jp/

山中伸弥のよる新型コロナウイルス情報発信https://www.covid19-yamanaka.com/index.html

先月から新型コロナウイルス感染症の感染拡大を阻止するために、学校が休校し、公園・図書館・科学館などの公共施設が閉鎖したため、おうちで過ごすことが多くなりました。親子共にストレスがたまっていると思います。我が家でも不要不急の外出を控えていますが、必要な買い物には出かけます。子どもの遊び場が減ってしまったことから、家族でバトミントンをしたり、最近ではバトミントンも飽きてしまったので、プラスティック製のバットでバトミントンの羽を打って工夫しながら遊びました。小1の娘とは折紙・塗り絵や切り絵などの製作にも一緒に取り組んでいます。急な休校により、世の子どもを持つ保護者と同様に我が家でも毎日のお弁当作りや遊びの工夫・学習課題の確認等大きな影響を受けています。

今月は県内で2人目の新型コロナウイルス感染症の患者が出ており、他人ごとではなくなってきました。出口が見えず長期戦が予想される新型コロナウイルス感染症についてお話します。

 

これからどうなる?

 先月、世界保健機関(WHO)からパンデミック(世界的な大流行)と宣言されました。新型コロナ対策は自分の住む地域だけ、国内だけを考えれば解決する課題ではありません。地域で発生がなく、国内感染者が減ったとしても、国外から再び持ち込まれることを想定しなければなりません。現在も感染者が国内外で増え、終息はまだ見えていないのが現状です。

 各国では外出をしない・店や国境封鎖など人の移動を制限しています。感染拡大を止めるには人の移動を減らすことが有効ですが、移動の制限が強くなると学校へも職場へも行けなくなり生活に大きな支障が出ます。今後は感染者数を考慮しながら生活制限の度合いを地域で決めていく必要があります。感染者が多くなりすぎると重症者が増えて、人工呼吸器が足りなくなり救命できなくなってしまいます。医療崩壊の恐れもあるので、感染者が急激に増えることを防がねばなりません。

 

子どもたちとどう暮らしていけばいいか?

先月うちのクリニックに、寝る頃息苦しくなる・腹痛・頻尿などの症状がある小学生が数名受診に来られました。新型コロナで心配になっていることが原因ではないかとご両親にお話しました。あるケースでは高齢者が重症となるという報道を聞き、高齢者である祖父母自身が心配になって、必要以上にお孫さんに伝えていることを知りました。私はご両親を通じて祖父母にお子さんにはコロナのことをあまり言わないように配慮をすると、お子さんが落ち着いてくるのではないかと話しました。子どもは大人以上に繊細です。情報を制限することで心配が減り、精神的な安定につながると思います。

また、感染を心配するがあまり家で過ごしがちになり、テレビやゲームばかりしていてはストレスがたまり精神衛生上よくありません。文部科学省から風邪様の症状がなければ、公園に行くことや、散歩することは問題ないと言われています。皆さん安心して外で遊ばせてください。

 国の専門家会議から「換気が悪く、人が密に集まって過ごすような空間に集団で集まること」を避けるような指針が出ています。それを踏まえて行動していただければいいのではないかと思います。公園で遊ぶことはリスクが低いのですが、遊具を介した接触感染のリスクがあるので、遊んだ後はうがい・手洗いをしてください。マスクをつけることで安心せず、外出先から家に戻ったらうがい・手洗いを徹底することが大切です。

 感染を気にする行動をとりながらも日常生活はあまり変えないようにした方がいいと思います。通常通り予防接種は行っていただきたいし、お子さんが病気かもと思えば、医療機関に受診することを控える必要はありません。気になるようなら電話で相談をしてもいいと思います。恐れ過ぎずにバランスが大切です。

 

どうすれは早く終息できるか?

 終息するには、皆さん一人一人が感染予防を意識して生活していただくことが一番大切です。我が国の対策で気になるのが検査体制が充分でないこと、つまり不安になっている人に検査が受けられていない状況があります。風邪の症状があった場合、うちのクリニックで毎日のように新型コロナではないかと相談があります。不安を払拭するためにも検査体制の拡充をお願いしたいです。 

先月、WHOから「目隠ししながら火を消すことはできない。誰が感染しているのかわからずに、このパンデミックを止めることはできない。すべての国に簡単なメッセージを伝えたい。検査に次ぐ検査を。疑わしいケースはすべて検査してほしい。」と検査体制の強化が必要であるとの声明を出しています。検査がしやすくなれば、不安が減ってきます。全容が見えてきて、対応策も取りやすく、早期終息への近道であると考えます。

 

参考文献

文部科学省 学校臨時休業等に関するQ&A (子供たち、保護者、一般の方へ)https://www.mext.go.jp/a_menu/coronavirus/mext_00517.html#q3

 今月は桜も咲き春到来となりますね。今シーズンのインフルエンザは、暖冬や新型コロナウイルスの影響によりいつも以上にマスク・手洗いを徹底したためか、例年と比較して大流行が見られないのが朗報です。

一方で、そろそろスギ花粉症で悩まされている人も多いと思います。日本気象協会によると山梨県のスギ花粉の飛ぶ量が非常に少ない(前年比50%未満)見込みです。今年は飛ぶ量が少ないので昨年より症状が軽くなることが予想されます。体質を変える舌下免疫療法を行われている方にはさらに効果が期待できます。当クリニックで舌下免疫療法をしているお子さんは例年に比べて症状が軽い印象です。

連日の新型コロナウイルスの報道により、不安を感じられている人も多いと思います。今月は新型コロナウイルス感染症についてお話します。

 

現状

 2002年発生したSARS(重症急性呼吸器症候群)は日本での発症例がありませんでしたが、新型コロナウイルス感染症はすでに日本での発症が出ているので他人事ではなくなっています。世界で死者(2月15日現在)が1,500人、感染者は5万を超えています。SARSの流行は9か月間であったのを考えると今回の新型コロナはそれ以上続く可能性もあります。

 不安を払拭するには、まず正しい情報を得ることが大切です。口コミやSNSの情報ではなく、厚生労働省などの公的機関からの情報収集をお勧めします。

 

感染しないために

 新型コロナウイルスはヒトからヒトへの感染があることがわかっています。感染経路を知ることで対応法がわかります。新型コロナウイルスの感染経路は「飛沫感染」と「接触感染」の2つです。

飛沫感染は咳やくしゃみなどで飛び散り、口や鼻から吸い込むことによって体内に入り感染します。飛び散る範囲は1~2mですので、2m以上離れていれば大丈夫です。予防における適切な距離を知ることも、不安軽減のために大事になります。

接触感染は感染した人に直接触れるだけではなく、感染者が咳やくしゃみを手で押さえた後、その手で周りの物(電車やバスのつり革、ドアノブ、スイッチなど)に触れるとウイルスが付きます。別の方がその物を触り、ウイルスが手につき、その手で口や鼻を触って感染します。「手」を介して感染するのだという意識を持ちましょう。

まとめると、帰宅時や食事の前に石けんやアルコール消毒液での手洗いとうがいが大切です。インフルエンザ流行期と全く同じ対応です。特に高齢者、基礎疾患がある人は重症化しやすいので、人込みを避けることも大切です。

 

正しい手の洗い方

正しい手の洗い方はまず腕時計や指輪をはずしてください。石けんやアルコール消毒で手を洗ってください。手のひらだけ洗うだけでは十分ではなく、手の甲・指先・指の間・手首も洗って、親指をねじり洗いしてください。時間の目安は30秒以上と考えてください。日頃から爪を短く切っておくことも大切です。また手洗い後は十分に水で流し、ペーパータオルや清潔なタオルで良く拭き取ってかわかしましょう。手拭用タオルは共有せず、ペーパータオル等を使い毎回タオルを交換するか、個人用タオルを利用するようにして下さい。

 

もし、感染したと思ったら

  くしゃみや咳が出る時に手でおさえると、「手」を介して他者に病気をうつす可能性がありますので、咳エチケットを行ってください。咳エチケットとは咳・くしゃみをする時にマスクをすること・マスクがない場合はティシュ・ハンカチで、とっさの時は袖で鼻や口を覆うことです。

 マスクは咳やくしゃみによる病原体の飛散を防ぐ効果が高いとされています。予防用としてのマスクは混み合った場所、特に屋内や乗り物など換気が不十分な場所では効果がないわけではありませんが、屋外などで相当混み合っていない限り、マスクを着用することによる効果はあまり認められていません。

 症状がある方は周りに広げない配慮も気にしていただけたらありがたいです。みんなの気持ちが一丸となれば、早く制圧できます。

 県民からの不安など一般的なご相談は「新型コロナウイルス感染症専用相談ダイヤル(055-223-8896)」に電話をし、発熱や呼吸器症状があり、中国湖北省への渡航歴、患者との接触歴のある方は最寄りの保健所にお問い合わせください。診断はインフルエンザの検査と同じように綿棒でのどをぬぐった検体を用いて核酸増殖法でウイルス遺伝子の有無を確認します。検査体制も十分でないため、結果までに時間がかかっています。結果が陽性だとしても、このウイルスに有効な抗ウイルス薬はなく、対処療法を行います。

 

参考文献

厚生労働省ホームページ 新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html

保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版)

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000201596.pdf

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