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院長コラム

 

 新型コロナウイルス感染症で世界が揺れる中、春本番の陽気に一時ですが心が癒されます。外出もできないため、夕食後、トランプやUNO(ゲーム)などで楽しむ昭和時代の家庭の営みをしています。コロナのニュースを毎日のように見ていたところ、娘(小2)が急に「怖い!」と言って泣き出しました。映像で病院の様子を見て怖がることが何度もあり、さらに夜中「怖い!怖い!」と悪夢を見て泣き出すことがあったため、最近は娘の前ではニュースを見ないように心がけるようになりました。

県内の感染者も増えつつあり、緊急事態宣言が全国に発令され、いよいよ私たちの周りにもコロナの影響が及んできました。先が見えず長期戦を覚悟しなければならなくなってきました。3月末、0歳女児が心肺停止状態で山梨大学医学部付属病院に運ばれました。小児科教授の指示でコロナの検査をしたところ「陽性」と判明、幸い院内に感染が広がらず、後日、濃厚感染者もすべて陰性で大事に至りませんでした。大学病院の小児科の先生方には大変お世話になっており、現場の苦労を思うと他人事ではないと感じました。病院スタッフの方々に感謝を申し上げたいと思います。

今月も新型コロナウイルス感染症についてお話します。

 

子どもたちとの生活

 学校も園も行けず、子どもたちは家で過ごすことが多くなっていると思います。父親も家にいることが多くなっているかもしれません。以前の生活に比べて、距離が狭まり、家族が助け合いながらうまく過ごせていればいいのですが、それが難しい家庭もあるかもしれません。家族内で時間のやり繰りをして、1人の時間を作ることも必要です。子どもも親もゲームやテレビの時間が長くなるのはよくないので、家事を分担することも大事です。年齢に合ったできそうな所からで構いません。うちの娘は朝、ポストに入っている新聞を取りに行っています。そして、やり終えたら、「ありがとう」と褒めてあげています。ゴミ出し・風呂の掃除・洗濯物を干すなど年齢に合った内容から少しずつお願いしてみてはいかがでしょうか。仕事ができたら、感謝の言葉を伝えることも大切になります。1人でできないなら親と一緒にすることもお勧めです。この機会に食事中、スマホを触らずテレビを消し、会話を楽しめれば、スマホやテレビを見る時間が減ります。家族の在り方を見つめ直す時期と前向きに捉えましょう。

外出自粛となると家に閉じこもりがちですが、ずっと家にいることは体よくありません。適度に体を動かすことは大切です。ジョギングでも歩くだけでも構いません。1日5分でも10分でも外の空気を吸って気分転換をしてください。

 

この機会に「禁煙」を!

新型コロナウイルス感染症は肺炎などの重篤な呼吸器症状を引き起こし、喫煙者のリスクが騒がれていました。2か月前、有名な医学雑誌で武漢(中国)での新型コロナウイルス感染者1099名を調査した結果、非喫煙者に比べて、喫煙者(現在と過去合わせて)は重症化リスクが1.66倍、人工呼吸器装着もしくは死亡のリスクが2.96倍だったと発表されました。また、日本禁煙学会では電子タバコを含む喫煙が新型コロナ感染にとって「深刻な脅威」であることを訴えております。さらに喫煙室は濃厚接触の場になりうるので閉鎖していただくように求めています。喫煙者の皆様、この機会にぜひ禁煙をお勧めします。

 

これからどう過ごしたらよいか?

 かからないように、3密(密閉、密集、密接)を考えて行動することがとても大切です。急激に患者数が増えると、人工呼吸器が足りなくなり、救える命も救えなくなるので、オーバーシュート(爆発的患者急増)は避けなければならず、1人1人がかからないような行動をする必要があります。県内が落ち着いたとしても日本中が落ち着かないと、人が混じり合うことで再び感染者が出て、第2波、第3波が来ます。じっとかからないように待つことで、治療薬やワクチンが開発され、インフルエンザのようにある程度、対応できる日がきっと来ます。

最後に、ノーベル賞を受賞した山中伸弥先生が、1)自分を周囲の大切な人をそして社会を守る行動を自らとろう。2)感染者受け入れ体制を整備し医療従事者を守ろう。3)検査体制の強化。4)国民への長期戦への協力要請と適切な補償。5)ワクチンと治療薬の開発に集中投資の5つの提言を発表しました。私もこの提言に賛同します。

 

参考文献

日本禁煙学会 www.jstc.or.jp/

山中伸弥のよる新型コロナウイルス情報発信https://www.covid19-yamanaka.com/index.html

先月から新型コロナウイルス感染症の感染拡大を阻止するために、学校が休校し、公園・図書館・科学館などの公共施設が閉鎖したため、おうちで過ごすことが多くなりました。親子共にストレスがたまっていると思います。我が家でも不要不急の外出を控えていますが、必要な買い物には出かけます。子どもの遊び場が減ってしまったことから、家族でバトミントンをしたり、最近ではバトミントンも飽きてしまったので、プラスティック製のバットでバトミントンの羽を打って工夫しながら遊びました。小1の娘とは折紙・塗り絵や切り絵などの製作にも一緒に取り組んでいます。急な休校により、世の子どもを持つ保護者と同様に我が家でも毎日のお弁当作りや遊びの工夫・学習課題の確認等大きな影響を受けています。

今月は県内で2人目の新型コロナウイルス感染症の患者が出ており、他人ごとではなくなってきました。出口が見えず長期戦が予想される新型コロナウイルス感染症についてお話します。

 

これからどうなる?

 先月、世界保健機関(WHO)からパンデミック(世界的な大流行)と宣言されました。新型コロナ対策は自分の住む地域だけ、国内だけを考えれば解決する課題ではありません。地域で発生がなく、国内感染者が減ったとしても、国外から再び持ち込まれることを想定しなければなりません。現在も感染者が国内外で増え、終息はまだ見えていないのが現状です。

 各国では外出をしない・店や国境封鎖など人の移動を制限しています。感染拡大を止めるには人の移動を減らすことが有効ですが、移動の制限が強くなると学校へも職場へも行けなくなり生活に大きな支障が出ます。今後は感染者数を考慮しながら生活制限の度合いを地域で決めていく必要があります。感染者が多くなりすぎると重症者が増えて、人工呼吸器が足りなくなり救命できなくなってしまいます。医療崩壊の恐れもあるので、感染者が急激に増えることを防がねばなりません。

 

子どもたちとどう暮らしていけばいいか?

先月うちのクリニックに、寝る頃息苦しくなる・腹痛・頻尿などの症状がある小学生が数名受診に来られました。新型コロナで心配になっていることが原因ではないかとご両親にお話しました。あるケースでは高齢者が重症となるという報道を聞き、高齢者である祖父母自身が心配になって、必要以上にお孫さんに伝えていることを知りました。私はご両親を通じて祖父母にお子さんにはコロナのことをあまり言わないように配慮をすると、お子さんが落ち着いてくるのではないかと話しました。子どもは大人以上に繊細です。情報を制限することで心配が減り、精神的な安定につながると思います。

また、感染を心配するがあまり家で過ごしがちになり、テレビやゲームばかりしていてはストレスがたまり精神衛生上よくありません。文部科学省から風邪様の症状がなければ、公園に行くことや、散歩することは問題ないと言われています。皆さん安心して外で遊ばせてください。

 国の専門家会議から「換気が悪く、人が密に集まって過ごすような空間に集団で集まること」を避けるような指針が出ています。それを踏まえて行動していただければいいのではないかと思います。公園で遊ぶことはリスクが低いのですが、遊具を介した接触感染のリスクがあるので、遊んだ後はうがい・手洗いをしてください。マスクをつけることで安心せず、外出先から家に戻ったらうがい・手洗いを徹底することが大切です。

 感染を気にする行動をとりながらも日常生活はあまり変えないようにした方がいいと思います。通常通り予防接種は行っていただきたいし、お子さんが病気かもと思えば、医療機関に受診することを控える必要はありません。気になるようなら電話で相談をしてもいいと思います。恐れ過ぎずにバランスが大切です。

 

どうすれは早く終息できるか?

 終息するには、皆さん一人一人が感染予防を意識して生活していただくことが一番大切です。我が国の対策で気になるのが検査体制が充分でないこと、つまり不安になっている人に検査が受けられていない状況があります。風邪の症状があった場合、うちのクリニックで毎日のように新型コロナではないかと相談があります。不安を払拭するためにも検査体制の拡充をお願いしたいです。 

先月、WHOから「目隠ししながら火を消すことはできない。誰が感染しているのかわからずに、このパンデミックを止めることはできない。すべての国に簡単なメッセージを伝えたい。検査に次ぐ検査を。疑わしいケースはすべて検査してほしい。」と検査体制の強化が必要であるとの声明を出しています。検査がしやすくなれば、不安が減ってきます。全容が見えてきて、対応策も取りやすく、早期終息への近道であると考えます。

 

参考文献

文部科学省 学校臨時休業等に関するQ&A (子供たち、保護者、一般の方へ)https://www.mext.go.jp/a_menu/coronavirus/mext_00517.html#q3

 今月は桜も咲き春到来となりますね。今シーズンのインフルエンザは、暖冬や新型コロナウイルスの影響によりいつも以上にマスク・手洗いを徹底したためか、例年と比較して大流行が見られないのが朗報です。

一方で、そろそろスギ花粉症で悩まされている人も多いと思います。日本気象協会によると山梨県のスギ花粉の飛ぶ量が非常に少ない(前年比50%未満)見込みです。今年は飛ぶ量が少ないので昨年より症状が軽くなることが予想されます。体質を変える舌下免疫療法を行われている方にはさらに効果が期待できます。当クリニックで舌下免疫療法をしているお子さんは例年に比べて症状が軽い印象です。

連日の新型コロナウイルスの報道により、不安を感じられている人も多いと思います。今月は新型コロナウイルス感染症についてお話します。

 

現状

 2002年発生したSARS(重症急性呼吸器症候群)は日本での発症例がありませんでしたが、新型コロナウイルス感染症はすでに日本での発症が出ているので他人事ではなくなっています。世界で死者(2月15日現在)が1,500人、感染者は5万を超えています。SARSの流行は9か月間であったのを考えると今回の新型コロナはそれ以上続く可能性もあります。

 不安を払拭するには、まず正しい情報を得ることが大切です。口コミやSNSの情報ではなく、厚生労働省などの公的機関からの情報収集をお勧めします。

 

感染しないために

 新型コロナウイルスはヒトからヒトへの感染があることがわかっています。感染経路を知ることで対応法がわかります。新型コロナウイルスの感染経路は「飛沫感染」と「接触感染」の2つです。

飛沫感染は咳やくしゃみなどで飛び散り、口や鼻から吸い込むことによって体内に入り感染します。飛び散る範囲は1~2mですので、2m以上離れていれば大丈夫です。予防における適切な距離を知ることも、不安軽減のために大事になります。

接触感染は感染した人に直接触れるだけではなく、感染者が咳やくしゃみを手で押さえた後、その手で周りの物(電車やバスのつり革、ドアノブ、スイッチなど)に触れるとウイルスが付きます。別の方がその物を触り、ウイルスが手につき、その手で口や鼻を触って感染します。「手」を介して感染するのだという意識を持ちましょう。

まとめると、帰宅時や食事の前に石けんやアルコール消毒液での手洗いとうがいが大切です。インフルエンザ流行期と全く同じ対応です。特に高齢者、基礎疾患がある人は重症化しやすいので、人込みを避けることも大切です。

 

正しい手の洗い方

正しい手の洗い方はまず腕時計や指輪をはずしてください。石けんやアルコール消毒で手を洗ってください。手のひらだけ洗うだけでは十分ではなく、手の甲・指先・指の間・手首も洗って、親指をねじり洗いしてください。時間の目安は30秒以上と考えてください。日頃から爪を短く切っておくことも大切です。また手洗い後は十分に水で流し、ペーパータオルや清潔なタオルで良く拭き取ってかわかしましょう。手拭用タオルは共有せず、ペーパータオル等を使い毎回タオルを交換するか、個人用タオルを利用するようにして下さい。

 

もし、感染したと思ったら

  くしゃみや咳が出る時に手でおさえると、「手」を介して他者に病気をうつす可能性がありますので、咳エチケットを行ってください。咳エチケットとは咳・くしゃみをする時にマスクをすること・マスクがない場合はティシュ・ハンカチで、とっさの時は袖で鼻や口を覆うことです。

 マスクは咳やくしゃみによる病原体の飛散を防ぐ効果が高いとされています。予防用としてのマスクは混み合った場所、特に屋内や乗り物など換気が不十分な場所では効果がないわけではありませんが、屋外などで相当混み合っていない限り、マスクを着用することによる効果はあまり認められていません。

 症状がある方は周りに広げない配慮も気にしていただけたらありがたいです。みんなの気持ちが一丸となれば、早く制圧できます。

 県民からの不安など一般的なご相談は「新型コロナウイルス感染症専用相談ダイヤル(055-223-8896)」に電話をし、発熱や呼吸器症状があり、中国湖北省への渡航歴、患者との接触歴のある方は最寄りの保健所にお問い合わせください。診断はインフルエンザの検査と同じように綿棒でのどをぬぐった検体を用いて核酸増殖法でウイルス遺伝子の有無を確認します。検査体制も十分でないため、結果までに時間がかかっています。結果が陽性だとしても、このウイルスに有効な抗ウイルス薬はなく、対処療法を行います。

 

参考文献

厚生労働省ホームページ 新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html

保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版)

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000201596.pdf

 寒い日が続いていますね。うちの第3子が先月、成人式を迎えました。式を終え、中学・高校時代の旧友と親睦を深め、夜中に帰宅してきました。あっという間のような20年だった気がします。思えば、中学生頃から友達や学校が生活の中心となり、だんだんと親から離れていきました。子どもの育ちとしては健全な姿だと自負はしておりますが、親としては子が離れていくのを寂しく感じます。子育ては6歳までとても手がかかりますが、その後は徐々に手が離れてきます。今月は当科でも行っている「病児・病後児保育」について取り上げます。

 

『病児・病後児保育』って?

 『病児・病後児保育』とは保育所・幼稚園・学校などに通っているお子さんが、病気にかかった場合、看護師・保育士がお子さんを預かる制度です。多くの病児・病後児保育室が加盟している全国病児保育協議会では「病児保育とは単に子どもが病気のときに保護者に代わって子どもの世話をすることを意味しているわけではなく、病気にかかっている子どもに、子どもにとって最も重要な発達のニーズを満たしてあげるために専門家集団(保育士・看護師・医師・栄養士等)によって保育と看護を行い、子どもの健康と幸福を守るためにあらゆる世話をすること」と言われています。また、県内では全国病児保育協議会に加盟している施設(7施設)で年1回の勉強会を実施しながら質の向上を保っています。

『病児・病後児保育』は病児と病後児の2つのタイプがあり、施設によって受け入れられる病状が違ってきます。病後児保育は「病気の回復期」に限られます。実際の利用に関しては利用したい施設にお問い合わせいただけたらありがたいです。

病んでいる我が子を他人に預けることには不安があると思いますが、質の高い病児保育事業に携わるスタッフに安心して預けていただき、お迎え後におうちでゆっくりとお子さんと過ごしてください。また、お子さんだけでなく、お子さんが病気にかかってしまった不安を抱いているご両親に対しても気持ちに寄り添いながらサポートしています。

 

私が携わっている病児保育室「ドリーム」

 昭和40年に全国で初めて病児保育が誕生しました。私たちの病児保育室は11年前から始まりました。初めは2部屋で受け入れ、病気別で部屋を受け入れるため手狭になり、補助金を利用し昨年、増築し5部屋で受け入れをしています。利用人数は年々微増し、1日平均3~4名、年間約1000名近くになっています。山梨県においては、県や市町村が主導になって全国で初となる【病児保育相互乗り入れ制度】ができ、2年前から県内どの市町村の方でも利用ができるようになり、利便性が向上しています。【山梨県内の相互乗り入れ制度】については、昨年12月25日のNHKの「おはよう日本」でも取り上げていただき、全国でも先進的な取り組みだと評価していただきました。当施設の昨年の利用は町内4割、町外6割になっています。また、利用年齢は低年齢が多いのですが、1割程は6歳以上の利用です。インフルエンザによる転落事故のことも考えると家で1人休ませるよりも病児保育の利用をお勧めしたいと思います。12歳まで利用可能できます。

 実際、運営してみると、初めて利用のお子さんは泣いてしまうことが多いのですが、しばらくすると泣き止み落ち着いてきます。病児保育室への受け入れを保育士は上手に対応してくれますのでご安心下さい。病児保育は保育士1名に対し子どもが3名以下で対応していることもあり、通っている園よりも手厚い対応をするため利用した経験のあるお子さんから「病児に行きたい」と言う場合もあるそうです。

 

気になること

「病気のときぐらいは親(特に母親)がみるべき」と考えている社会の冷ややかな目が気になります。両親が気軽に休める職場や、祖父母などにサポートしてもらえたらありがたいのですが、すべての家庭がそうであるとは言えません。「困ったら病児保育がある」という安心感が子育て中の両親には必要ではないかと思います。子育ては親だけでできるものではなく、社会全体で行うべきものです。皆さんに「病児・病後児保育」の存在意義をわかっていただきたいと願っています。もう一つ、運営側に経営的な問題があります。病児保育があまり広がらないのは病児保育に対する補助金が少なく、多くの病児保育施設が赤字経営であることです。安定経営のためにも補助金制度の改善を期待します。

最後に利用する場合はまず登録をしていただきます。山梨県が運営している「やまなし子育てネット(www.yamanashi-kosodate.net/)」に利用方法の詳細がわかり便利です。

 

参考文献

 全国病児保育協議会ホームーページ(byoujihoiku.net/

 

 明けましておめでとうございます。今年も5人目の子育て奮闘中のパパとして県内の小児医療について情報提供しますので、どうぞよろしくお願いします。先月初め、娘(小1)がサンタさんへクリスマスプレゼントのリクエストの手紙を書いていました。「かわいいすいとう、できたらふでばことえんぴつをおねがいします。まいとし、すきなものをくれてありがとうございます。サンタサンげんきでいてください」と書いてありました。またうちの家宝が増えました。今月は新しい話題がありましたので、インフルエンザの最新情報をお伝えします。

 

インフルエンザ流行中!

毎年流行するインフルエンザ、子どもだけではなく大人もかかり、時には家族全員かかってしまうこともあり、猛威を振っています。予防の基本は手洗い・うがい、ワクチン接種です。この時期に熱が出た場合はインフルエンザを疑う必要があります。元気で熱も高くないのに、検査するとインフルエンザという方がいて、かぜのような症状でも疑う必要があります。自己判断で園や学校へ行ってしまい、感染を広げてしまうこともあります。自分の子どもだけでなく、クラスのお子さんに感染が広がらないような配慮もお願いします。

 

インフルエンザワクチン効果あり!

昨秋、国立感染症研究所から6歳未満のお子さんが対象でインフルエンザワクチンの有効性について報告がありました。2013年から2018年までに症例・対照研究(test-negative design)という手法で調査しました。その結果は有効率が41~63%、インフルエンザワクチンの有効性が示されました。私自身の経験でもワクチン接種していただいた方の方がかかっても軽い印象がありますし、うちのクリニックに隣接しているげんき夢こども園は園児が毎年ほほ100%インフルエンザワクチンを接種しているため、例年インフルエンザにかかってしまう園児さんがいても感染拡大がほとんどありません。インフルエンザワクチンの接種はお勧めです。

 

ゾフルーザ、学会が推奨せず!

昨シーズンから抗インフルエンザ薬の新薬として登場した「ゾフルーザ」は1回だけ内服して終了するため、飲みやすく普及しました。ただ、今シーズンの治療方針として、日本小児科学会は12歳未満のお子さんについての使用経験がまだ少なく、十分なデーターの集積がないことと耐性ウイルスが出現したことから、積極的な投与を推奨しないというコメントを発表しました。日本感染症学会でも同様のコメントが出ていますので、ゾフルーザではなく、タミフルの服用をしてください。

今シーズンの治療薬をどうする?

抗インフルエンザ薬は現在5種類、1種類が点滴薬のため入院治療で行うことが多く、外来で使用できるのは4種類(内服薬・吸入薬ともそれぞれ2種類)です。吸入薬は中学生以上であれば大抵問題なくできますが、小学生の場合、吸入薬に慣れていないため「イナビル」はお勧めできません。「イナビル」は1回のみの吸入薬のためにうまく吸えないと効果が期待できないからです。そのため「リレンザ」の薬の方が1日2回5日間(計10回)吸入するため、1回失敗しても大きな問題がないので安全です。ただ、吸入薬は息を止めることが必要なので、難しいようなら内服薬がお勧めです。内服薬は先ほど述べたように「ゾフルーザ」ではなく、「タミフル」を使用してください。

異常行動にも注意を!

先月、広島市内の高層マンションから男子中学生がインフルエンザにかかって転落死したことが報道されました。インフルエンザにかかると、年齢・性別・抗インフルエンザ薬の服薬を問わず、急に走り出す・飛び降りるといった異常行動が起こることがあります。発熱から2日以内に起こりやすいので、お子さんを1人にせず見守りを徹底しましょう。玄関や窓のカギを閉めて、ベランダ側で寝かせない・1階で寝かせるなどの対策も有効です。6年生までのお子さんであれば、必要に応じて病児保育を利用してください。

参考文献

国立感染症研究所 IASR Vol. 40 p194-195:2019年11月号

「2019/2020シーズンのインフルエンザ治療方針」(日本小児科学会)www.jpeds.or.jp/uploads/files/2019-2020_influenza_all.pdf

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