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院長コラム

 寒い日が続いていますね。うちの第3子が先月、成人式を迎えました。式を終え、中学・高校時代の旧友と親睦を深め、夜中に帰宅してきました。あっという間のような20年だった気がします。思えば、中学生頃から友達や学校が生活の中心となり、だんだんと親から離れていきました。子どもの育ちとしては健全な姿だと自負はしておりますが、親としては子が離れていくのを寂しく感じます。子育ては6歳までとても手がかかりますが、その後は徐々に手が離れてきます。今月は当科でも行っている「病児・病後児保育」について取り上げます。

 

『病児・病後児保育』って?

 『病児・病後児保育』とは保育所・幼稚園・学校などに通っているお子さんが、病気にかかった場合、看護師・保育士がお子さんを預かる制度です。多くの病児・病後児保育室が加盟している全国病児保育協議会では「病児保育とは単に子どもが病気のときに保護者に代わって子どもの世話をすることを意味しているわけではなく、病気にかかっている子どもに、子どもにとって最も重要な発達のニーズを満たしてあげるために専門家集団(保育士・看護師・医師・栄養士等)によって保育と看護を行い、子どもの健康と幸福を守るためにあらゆる世話をすること」と言われています。また、県内では全国病児保育協議会に加盟している施設(7施設)で年1回の勉強会を実施しながら質の向上を保っています。

『病児・病後児保育』は病児と病後児の2つのタイプがあり、施設によって受け入れられる病状が違ってきます。病後児保育は「病気の回復期」に限られます。実際の利用に関しては利用したい施設にお問い合わせいただけたらありがたいです。

病んでいる我が子を他人に預けることには不安があると思いますが、質の高い病児保育事業に携わるスタッフに安心して預けていただき、お迎え後におうちでゆっくりとお子さんと過ごしてください。また、お子さんだけでなく、お子さんが病気にかかってしまった不安を抱いているご両親に対しても気持ちに寄り添いながらサポートしています。

 

私が携わっている病児保育室「ドリーム」

 昭和40年に全国で初めて病児保育が誕生しました。私たちの病児保育室は11年前から始まりました。初めは2部屋で受け入れ、病気別で部屋を受け入れるため手狭になり、補助金を利用し昨年、増築し5部屋で受け入れをしています。利用人数は年々微増し、1日平均3~4名、年間約1000名近くになっています。山梨県においては、県や市町村が主導になって全国で初となる【病児保育相互乗り入れ制度】ができ、2年前から県内どの市町村の方でも利用ができるようになり、利便性が向上しています。【山梨県内の相互乗り入れ制度】については、昨年12月25日のNHKの「おはよう日本」でも取り上げていただき、全国でも先進的な取り組みだと評価していただきました。当施設の昨年の利用は町内4割、町外6割になっています。また、利用年齢は低年齢が多いのですが、1割程は6歳以上の利用です。インフルエンザによる転落事故のことも考えると家で1人休ませるよりも病児保育の利用をお勧めしたいと思います。12歳まで利用可能できます。

 実際、運営してみると、初めて利用のお子さんは泣いてしまうことが多いのですが、しばらくすると泣き止み落ち着いてきます。病児保育室への受け入れを保育士は上手に対応してくれますのでご安心下さい。病児保育は保育士1名に対し子どもが3名以下で対応していることもあり、通っている園よりも手厚い対応をするため利用した経験のあるお子さんから「病児に行きたい」と言う場合もあるそうです。

 

気になること

「病気のときぐらいは親(特に母親)がみるべき」と考えている社会の冷ややかな目が気になります。両親が気軽に休める職場や、祖父母などにサポートしてもらえたらありがたいのですが、すべての家庭がそうであるとは言えません。「困ったら病児保育がある」という安心感が子育て中の両親には必要ではないかと思います。子育ては親だけでできるものではなく、社会全体で行うべきものです。皆さんに「病児・病後児保育」の存在意義をわかっていただきたいと願っています。もう一つ、運営側に経営的な問題があります。病児保育があまり広がらないのは病児保育に対する補助金が少なく、多くの病児保育施設が赤字経営であることです。安定経営のためにも補助金制度の改善を期待します。

最後に利用する場合はまず登録をしていただきます。山梨県が運営している「やまなし子育てネット(www.yamanashi-kosodate.net/)」に利用方法の詳細がわかり便利です。

 

参考文献

 全国病児保育協議会ホームーページ(byoujihoiku.net/

 

 明けましておめでとうございます。今年も5人目の子育て奮闘中のパパとして県内の小児医療について情報提供しますので、どうぞよろしくお願いします。先月初め、娘(小1)がサンタさんへクリスマスプレゼントのリクエストの手紙を書いていました。「かわいいすいとう、できたらふでばことえんぴつをおねがいします。まいとし、すきなものをくれてありがとうございます。サンタサンげんきでいてください」と書いてありました。またうちの家宝が増えました。今月は新しい話題がありましたので、インフルエンザの最新情報をお伝えします。

 

インフルエンザ流行中!

毎年流行するインフルエンザ、子どもだけではなく大人もかかり、時には家族全員かかってしまうこともあり、猛威を振っています。予防の基本は手洗い・うがい、ワクチン接種です。この時期に熱が出た場合はインフルエンザを疑う必要があります。元気で熱も高くないのに、検査するとインフルエンザという方がいて、かぜのような症状でも疑う必要があります。自己判断で園や学校へ行ってしまい、感染を広げてしまうこともあります。自分の子どもだけでなく、クラスのお子さんに感染が広がらないような配慮もお願いします。

 

インフルエンザワクチン効果あり!

昨秋、国立感染症研究所から6歳未満のお子さんが対象でインフルエンザワクチンの有効性について報告がありました。2013年から2018年までに症例・対照研究(test-negative design)という手法で調査しました。その結果は有効率が41~63%、インフルエンザワクチンの有効性が示されました。私自身の経験でもワクチン接種していただいた方の方がかかっても軽い印象がありますし、うちのクリニックに隣接しているげんき夢こども園は園児が毎年ほほ100%インフルエンザワクチンを接種しているため、例年インフルエンザにかかってしまう園児さんがいても感染拡大がほとんどありません。インフルエンザワクチンの接種はお勧めです。

 

ゾフルーザ、学会が推奨せず!

昨シーズンから抗インフルエンザ薬の新薬として登場した「ゾフルーザ」は1回だけ内服して終了するため、飲みやすく普及しました。ただ、今シーズンの治療方針として、日本小児科学会は12歳未満のお子さんについての使用経験がまだ少なく、十分なデーターの集積がないことと耐性ウイルスが出現したことから、積極的な投与を推奨しないというコメントを発表しました。日本感染症学会でも同様のコメントが出ていますので、ゾフルーザではなく、タミフルの服用をしてください。

今シーズンの治療薬をどうする?

抗インフルエンザ薬は現在5種類、1種類が点滴薬のため入院治療で行うことが多く、外来で使用できるのは4種類(内服薬・吸入薬ともそれぞれ2種類)です。吸入薬は中学生以上であれば大抵問題なくできますが、小学生の場合、吸入薬に慣れていないため「イナビル」はお勧めできません。「イナビル」は1回のみの吸入薬のためにうまく吸えないと効果が期待できないからです。そのため「リレンザ」の薬の方が1日2回5日間(計10回)吸入するため、1回失敗しても大きな問題がないので安全です。ただ、吸入薬は息を止めることが必要なので、難しいようなら内服薬がお勧めです。内服薬は先ほど述べたように「ゾフルーザ」ではなく、「タミフル」を使用してください。

異常行動にも注意を!

先月、広島市内の高層マンションから男子中学生がインフルエンザにかかって転落死したことが報道されました。インフルエンザにかかると、年齢・性別・抗インフルエンザ薬の服薬を問わず、急に走り出す・飛び降りるといった異常行動が起こることがあります。発熱から2日以内に起こりやすいので、お子さんを1人にせず見守りを徹底しましょう。玄関や窓のカギを閉めて、ベランダ側で寝かせない・1階で寝かせるなどの対策も有効です。6年生までのお子さんであれば、必要に応じて病児保育を利用してください。

参考文献

国立感染症研究所 IASR Vol. 40 p194-195:2019年11月号

「2019/2020シーズンのインフルエンザ治療方針」(日本小児科学会)www.jpeds.or.jp/uploads/files/2019-2020_influenza_all.pdf

 

 あっという間に2019年の最終月になりました。クリスマスプレゼントの準備はいかがですか?今年の暦はクリスマス前後が平日なので、サンタさんも事前の準備が必要ですね。インフルエンザの流行期に入りましたので、手洗い・うがいで予防し、家族みんな健康で新年を迎えたいですね。

先月、山梨大学付属病院で脳死判定を受けた6歳未満の女児の家族が臓器提供を承諾したというニュースを知りました。両親が自分の子どもの死を受け入れることだけでも大変なことです。そのような状況の中で臓器提供について考え、承諾までを決断する過程を考えると両親の苦悩は想像を絶する状況であったでしょう。ご両親の決断により、心臓・肝臓・腎臓・小腸が5名の方に提供されました。その選択を心より応援したいと思います。そしてその決断が今回のテーマを取り上げるきっかけとなりました。決断までの道のりは大変であったに違いなく、それをサポートしてくださったコーディネーターや医療従事者の方々にも敬意を表したいと思います。私自身は臓器移植に関しての経験はありませんが、医療従事者の一人として臓器移植について皆様に情報提供し、一緒に考えていきたいと思い、今月のテーマにさせていただきます。

 

臓器移植とは

 臓器移植とは病気や事故によって臓器(心臓や肝臓など)が機能しなくなった場合に、人の健康な臓器を移植して機能を回復させる医療です。健康な家族から肺・肝臓・腎臓などの部分提供による生体移植と亡くなられた人(脳死後または心臓が停止した死後)からの臓器提供による移植があります。移植できる臓器は心臓・肺・肝臓・腎臓・膵臓・小腸・眼球(角膜)です。現在約1万4千人の移植希望者がいますが、年間で移植を受けられるのはわずか約2%で、多くの方が移植を待ち望んでいる現状です。脳死後の提供の場合、最大で「心臓」「肺×2」「肝臓×2」「腎臓×2」「膵臓」「小腸」「眼球×2」で11人を救うことができます。

 臓器提供までの流れは、移植コーディネーターによる説明を受け、家族が十分に話し合いをしてどうするか決めます。決まれば脳死判定が行われ、移植を受ける患者さんが公平に選ばれます。選ばれた後、提供する臓器の摘出手術が行われます。手術は数時間要し、傷はできますが、摘出後はきれいに縫い合わせて、清潔なガーゼで覆い、外から見ても傷がわからないようにしてもらいます。眼球提供の際は義眼を入れるので顔はほとんど変わりません。

 2010年に改正臓器移植法が全面施行され、生前に書面で臓器を提供する意思を表示している場合だけではなく、ご本人の臓器提供の意思が不明な場合も、ご家族の承諾があれば臓器提供できるようになりました。これにより、15歳未満の方からの脳死後の臓器提供も可能になりました。

 

まず考え行動しよう

 2年前の世論調査では家族などと臓器提供や移植について「話をしたことがある」が35.4%と約3人に1人が家族と話をしています。死についての話はタブーととらえて、意見交換する機会はあまりないかもしれません。まずは家族と話をすることから始めてはどうでしょうか?日本臓器移植ネットワークのホームページを覗いてみてください。基礎知識から移植経験者や臓器提供者の家族の思いが載せられた手記まで多くの情報があります。

 まず、臓器移植のことを知った後は自分が意思表示をするかどうかです。意思表は健康保険証・運転免許証以外にマイナンバーカード・意思表示カード・インターネットでも示すことができます。同じ世論調査で保険証や運転免許証の裏面に意思表示欄があるのを知っている人は半分以上いるようですが、臓器提供に関する意思表示をしている方は12.7%しかいません。平成22年の法改正後から徐々に意思表示が身近になっていますが、家族と臓器提供や移植について話をする機会が少なく、もしもの時に家族が本人の意思を尊重できない可能性もあります。日頃から家族と話をしておくことが大切です。

 意思表示欄をみると、臓器をあげたいか、あげたくないかと迷われるかもしれません。意思を変更できることは何度でも可能ですので、まず読んで考えてみてはいかがでしょうか?「臓器を提供する」という意志だけではなく、「臓器を提供しない」という意思も表示でき、どちらの意思も尊重されます。

 高校生の息子に保険証の裏面を見ながら話をしたところ、興味を示し、自分の考えを話してくれました。身内の死などの経験があれば考えるきっかけになりますが、そのような経験がないとイメージしにくく、話題にならないと思います。大学生の子ども達にも年末年始にこの話をしたいと考えています。

 

参考文献

日本臓器移植ネットワークホームページ www.jotnw.or.jp/

 

 先月は台風19号で県内でも大きな被害が出ました。うちのクリニックは台風接近した日は臨時休診とし、前日には予約した方に連絡をするなど対応に追われました。全国各地での川の氾濫等の被害をニュースで知ると、他人ごとではない気持ちになりました。再びやってくる台風に備えて自分の住んでいるハザードマップ(被害予測地図)を再確認し、停電などになった場合の備えを考える機会となりました。

 9月末、全国病児保育協議会山梨県支部主催の研修会が富士吉田市で開催されました。当院の病児保育室も含め県内の協議会加入病児・病後児施設5か所(甲府市・昭和町・甲州市・富士吉田市・北杜市)の関係者約60名超が集まり勉強しました。県内でも未だ全国病児保育協議会に加入していない施設があるため、ぜひ加入して共に研鑽していってほしいと願っています。

今研修会の講演会では山口県の金原小児科院長・病児保育室ここいえの施設長である金原洋治医師による「そうだったのか!発達や行動が気になる子の理解と関わり方」について最近の脳科学研究と実践を絡めた貴重な話を聞くことができました。その講義の中で保育者・看護師の参加者が関心の高かった「マルトリートメント」について「子どもの脳を傷つける親たち」という本を参考にしながらお伝えいたします。

 

マルトリートメントとは

 マルトリートメント(maltreatment)はmal(悪い)とtreatment(扱い)が組み合わさった単語で、「不適切な養育」と訳されます。「虐待」とほぼ同義と考えてよく、子どものこころと身体の健全な成長・発達を阻む養育をすべて含んだ呼称で、子どもに対する大人の不適切なかかわり全般を意味する、より広範な概念です。

マルトリートメントは昨今、虐待として報道されるような極端なケースだけではなく、たたく・しつけと称して怒鳴りつける・脅かす・暴言をあびせる・本人に直接的ではなくても子どもの前で繰り広げられる激しい夫婦げんかも含まれます。自戒を込めて言いますが、夫婦げんかは子どもの前ではしないように努めるべきですね。マルトリートメントはどの家庭でも起こりうることでトライ&エラーを繰り返しながら親も育ち、過ちを繰り返さないように親は成長していく必要があります。

 子育て24年の私も最初の頃は未熟で、手を出すことはしませんでしたが、子どものためと思い、強い口調で子どもに言ったことは何度もあります。最近は少し大人になったせいか、落ち着いて話ができるようになりました。

 

子どもの脳が傷つく

 親や養育者といった身近な存在から適切なケアと愛情を受けることが脳の健全な発達には必要不可欠ですが、極度のストレスを受けると子どものデリケートな脳はその苦しみになんとか適応しようとして、自ら変形してしまうのです。

これまでの研究からMRIで脳を撮影した結果、①小児期に厳格な体罰を経験したグループでは脳の前頭前野(学びや記憶に関わる)の容積が平均19.1%縮小、②暴言を浴びせられた場合、聴覚野が肥大、③両親の家庭内暴力の目撃により視覚野の萎縮がありました。その結果、学習意欲の低下や非行、うつや統合失調症などに結び付く危険性があると言われています。このように外からの刺激により脳が傷つくことがわかるようになりました。

ただ、一旦傷ついた脳も適切な治療やケアを行えば、ゆっくりと回復することもわかっていますので、悲観し過ぎることはありません。別の研究ではマウスの母親の毛づくろいやなめる行動で大事に育てられた仔マウスは正常な発達を遂げますが、そのようなケアを受けずに育った仔マウスは成長後、ストレスや不安が高まることがわかりました。人も同様だと思いますが、子どもたちは親や養育者から「愛されている、大切にされている」という安心・安全を確保できれば、それを足掛かりに外の世界を探索していきます。完璧な親はいませんので、明日からの子育てに活かし、お子さんをしっかりと抱っこして、話しかけて愛してください。それで大丈夫です。

 

ロタウイルスワクチン、定期接種化決定!

 先月、厚生労働省は来年10月からロタウイルスワクチンを定期接種化することを決定しました。来年8月生まれ以降のお子さんが対象となりますので、しばらくは自費扱いとなります。ロタウイスによる胃腸炎は重くなることが多く、ワクチンによりかかってもかかっても症状が軽くなりますので、今まで通り接種をしていただきたいと思います。おたふくかぜワクチンはまだ公費になっていません。1日でも早く定期接種化していただきたいです。

 

参考文献

子どもの脳を傷つける親たち NHK出版 友田明美

 先月クリニックで、季節外れのインフルエンザ感染者が出て大変驚きました。幸い重くなる人は少なく安心しました。近くの園や小学校でもインフルエンザによる学級閉鎖等の報告がありました。また同時期に沖縄ではインフルエンザ警報が発表されたそうで、今後の発生状況に注意する必要があります。

先月、ここ数年恒例になったSSPE(亜急性硬化性全脳炎)という難病の親の会が主催するサマーキャンプに妻と娘と一緒に参加してきました。患者さんの父親から今年1月、お子さんが成人式に出席した話を聞きました。「この病気にかかり車いす生活となったことで、自分も付き添いで成人式に参加することができよかった。この病気にならなければ自分が参加することもなかった。」と何事にも前向きな父親からの話でした。このような両親に見守られているお子さんを本当に幸せだと感じ、今後もこの親の会を応援したいと思いました。

日頃このコラムでは子どものことを中心に書いていますが、今月は育児をする親に目を向けたいと思います。予防接種は以前に比べて、多くの種類が存在していて、そのほとんどは0歳~1歳のお子さんに接種しています。一方で昨年、大人の予防接種について推奨するホームページ(オトナのVPD)が開設されました。予防接種は子どもだけではなく、大人も大切なものです。

 

オトナのVPDって

 VPD(Vaccine Preventable Disease)とは「ワクチンで防げる病気」のことです。現在、多くのワクチンがありますが、接種すれば免疫が獲得され病気にかかりづらい体になります。VPDにかかっていない場合、子どもだけでなく、大人もワクチンを接種することが重要です。

オトナのVPDのホームぺージには「思春期・青年期(10~20代)」・「子育て世代」・「現役ミドル世代(40代~)」・「シニア世代(60代~)」と年齢別に4つ分かれています。自分の世代をクリックするとお勧めのワクチンが記載されています。読者の世代である「子育て世代」では麻しん・風しん・おたふくかぜ・水痘は大人でかかると重くなるので2回接種を勧めています。『妊婦さんにはインフルエンザワクチンをすることで、移行抗体で新生児の赤ちゃんを予防する効果があること』・『家族やパートナーがB型肝炎キャリアの場合は直ちにB型肝炎ワクチンを接種すること』・『子どもの時期に接種したワクチンの中で日本脳炎や破傷風は大人になると免疫が低下するため、日本脳炎流行地域に渡航する場合は追加接種をすること』・『破傷風は災害でのボランティア活動時は事前にワクチン接種をすること』が勧められています。

シニア世代には重症化しないようにインフルエンザワクチン・肺炎球菌ワクチン・帯状疱疹後の神経痛はつらい症状が長く続くため水痘ワクチンを勧めています。

 

思春期・青年期のお勧めワクチン

 子育て世代と同様に麻しん・風しん・おたふくかぜ・水痘のワクチンを2回接種することだけでなく、性交渉などでB型肝炎が感染するのでB型肝炎ワクチン3回接種をお勧めしています。

 さらに、子宮頸がんの原因となるHPV(ヒトパピローマウイルス)感染症を予防するHPV(子宮頸がん)ワクチンもお勧めです。子宮頸がんは性交渉によってHPV(ヒトパピローマウイルス)に感染し、持続感染することでがん化するVPDです。日本での患者数は年間約1万人、20代後半から増加し40代以降は概ね横ばいになります。早期に発見されれば比較的治療しやすいといわれていますが、年間約3,000人が死亡しています。

HPVワクチンは6年前から小学6年生から高校1年生までを対象に定期接種となりました。その2か月後、接種後の慢性疼痛などの有害事象報告があり、一時的に積極的な勧奨接種が差し控えられています。しかし、一方で現在でも定期接種のワクチンとして原則無料で受けることができます。副反応出現時には定期接種として救済します。HPVワクチン接種後の慢性疼痛などの症状とワクチン接種には科学的な因果関係がないことが国内の研究でも明らかになっています。3年前に名古屋市が7万人以上を対象に大規模な疫学的研究(名古屋スタディ)を実施した結果、HPVワクチン接種後にワクチンとの関連が疑われた症状の発生頻度はワクチンを接種した人とワクチンを接種していない人の間で違いが認められませんでした。関連学会などが勧奨接種の再開を国に求めています。日本で認可されているHPVワクチンは2価(HPVウイルス2種類)と4価(HPVウイルス4種類)で7割の効果がありますが、現在、アメリカでは9価(HPVウイルス9種類)ワクチンに変わり、9割の効果があると言われています。日本でも早く勧奨接種が再開され、9価ワクチンになることを切望します。

 

参考文献

「オトナのVPD」ホームページ http://otona.know-vpd.jp/

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