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院長コラム

 

 暑い夏がやってきました。適度な休養、水分をとって熱中症にならないように気をつけましょう。先月、なんとこの年齢で初めての経験をしてきました。娘(小1)のクラスの生徒さんに読書ボランティアで絵本を読んできました。うちは日頃、絵本を子どもたちに読んでいるのは妻で私はあまり読んだこともないため、大変緊張しました。ゆっくりと大きな声を出すことを心掛けてやってみたところ、生徒さんたちは集中して、時に感想をつぶやきながら真剣に聞いてくれました。終わった後、子どもたちから話しかけてくれることもあり、子どもたちとの距離が一気に縮まりました。これからも読書ボランティアなどで学校への関りを深めていきたいと思います。

今月は花粉症の新しい治療法であるアレルゲン(舌下)免疫療法についてお話します。

 

アレルゲン免疫療法について

アレルゲン免疫療法は、減感作療法とも呼ばれ、アレルギーの原因である「アレルゲン」を少量から投与することで、体をアレルゲンに慣らし、アレルギー症状を和らげる治療法です。実は以前からも行われていた治療でした。以前までは注射による治療だったこともあり、大学病院などの一部の医療機関でしか行われておらず、広く普及していませんでした。今回の薬はなめるということで、自宅で行なえるため体への負担が小さく普及への期待が高まっています。自分自身の体質を変えていくというアレルゲンに対する過敏性を減少させる今までにない画期的な治療です。食物アレルギーの治療法でも取り入れられていて、食物を除去しても治らない場合は医師の指導の基で原因の食物を少量ずつ食べて体を慣らしています。

 

スギ花粉舌下錠が登場!

花粉症はいまや日本人の5人に1人以上が発症する国民病です。鼻水・鼻づまり・くしゃみ・目のかゆみなどの症状があり、夜間の鼻づまりで眠れない方、対処療法の薬の副作用で昼間の眠気がとれない方には朗報です。舌下免疫療法は、数年前から液体の薬が登場しましたが、適用が12歳以上であったこともあり、小児科では普及が進んでいませんでした。昨年から錠剤が発売され、かつ原則6歳以上に適用が引き下げられました。さらに今年5月からは1か月分の処方ができるようになったこともあり、うちのクリニックでもスギ花粉症のお子さんに声をかけ始めたところ、舌下錠を治療する人が少しずつ増えてきました。数年後には従来の対処療法の薬だけではなく、スギ花粉舌下錠の治療が身近になってくることが期待されます。花粉症は親子で発症している方も多いので、親子での治療もお勧めです。ちなみに、うちの娘も昨年から花粉症を発症し、舌下錠を検討中です。

 

実際の治療法

舌下錠は1日1回、舌の下に置くと1分もしないうちに溶けてしまい、残りを飲み込むだけです。毎日使用しながら、定期的に通院し3年間続けていく必要があります。始める時期はスギ花粉の飛散が終わる今頃から年内までに行ってください。実施できる医療機関はアレルギーの専門的知識と経験を十分に持った医師(アレルギー専門医など)に限られています。実施している医療機関はアレルゲン免疫療法ナビ(http://www.torii-alg.jp/)で検索が可能です。

効果は初年度から現れますが、2年目、3年目と長くなるほど効果が現れやすく、8~9割の人に効果があることがわかっています。3年以上治療を続けてきた患者さん(有効例)では、治療終了後4~5年経過した時点でも8~9割の方が効果の持続があるという調査結果が出ています。さらに体質が変わることでぜんそくやアレルギー性鼻炎などの発症が抑えられる効果も期待できます。副作用は数%の方に口の中の腫れやかゆみがあります。全身の副作用が起こる可能性は非常に低いため安全に行えます。

スギだけではなく、4人に1人いるといわれているダニによるアレルギー性鼻炎にも舌下錠があります。1年中、くしゃみ・鼻水・鼻づまりで日常生活に困っているアレルギー性鼻炎の方への有効性も8~9割効果が期待できます。適応の年齢と治療機関についてスギ花粉と同様ですが、始める時期はいつでも構いません。

 

参考文献

スギ花粉症におけるアレルゲン免疫療法の手引き(改訂版) 一般社団法人日本アレルギー学会(https://www.jsaweb.jp/uploads/files/sugi_tebiki16_honmon.pdf

アレルゲン免疫療法ナビ(http://www.torii-alg.jp/

皆さんは先月の長い10連休、どのように過ごされましたか?私はクリニックで3日間、救急センターで2日間診療をしました。残りの5日間は娘と県内の牧場や公園に行き、楽しく過ごしました。いつもよりも長い休みだったので、さらに家で大掃除までして家はきれいになり過ごしやすくなりました。

私のクリニックに隣接しているげんき夢こども園にある子育て支援センター「ながれ星」では、子育て中の保護者が子どもの身体の話を専門科に聞くという目的で様々な科の医師に講演会を依頼し、私もよい学びを得てきました。今年度も既に私が担当する小児科医の講演会は先月開催されました。皆さんも興味がありましたら、ぜひ今後の講演会にご参加下さい。

さて、これまで皮膚科医、整形外科医、耳鼻科医の講演会の話を紹介してきましたが、今月は南アルプス市で開業している眼科医堀内二彦先生の話についてお伝えします。

私は10数年前に堀内先生が中巨摩郡医師会長をされていた頃から、いろいろと相談に乗っていただいています。私自身が尊敬する医師でもあります。

 

目のしくみ

 目は光が角膜を通って水晶体(光を屈折させるレンズ)、硝子体を伝わり、目の奥にある網膜に焦点を合わせることで物が見える仕組みになっています。水晶体の周りに小さな筋肉がついていて、水晶体の厚みを変えることで焦点を調節します。赤ちゃんは水晶体の厚みを調節する力がしっかりありますが、40歳過ぎるとその調節する力が衰えてくる老視(老眼)になってピントが合わず、近くの物がみえづらくなってきます。そのピントが網膜の前にずれると近視、後ろにずれると遠視と言います。赤ちゃんは目の発育が未熟なため、眼軸長(角膜から網膜までの長さ)が短く、ピントが後ろになり遠視になりますが、成長とともに眼軸長も成長し網膜に焦点が合ってきます。はっきりと見るために眼鏡やコンタクトレンズを使用し調整しています。

 

弱視を早く発見することが大切!

 物を見る時、角膜、水晶体、硝子体を通って、網膜にピントが合った後に、その情報が視神経を通って脳に伝わっています。つまり物は目でみているのではなく、目で光を受けて脳で見ています。

弱視は、この視覚情報が伝わる経路のどこかに支障があるときに生じます。低身長の治療は身長が伸びる時期である思春期までに対応するのが望ましく、大人になってから治療しても身長が伸びないのと同じように、視力の発達は3~5歳までと身長の伸びよりももっと低年齢で終わってしまいます。それ以降に弱視を治療すると反応が悪いため、早めに発見し治療することが大切になってきます。片方の目のまぶたがさがったまま(眼瞼下垂)・黒目の中心が濁る(角膜混濁、白内障)・片方の目の位置がずれる(斜視)場合、網膜にピントが合わず、弱視の原因になります。弱視のお子さんは物をぼやけた状態で目に情報が入り脳で見てしまっています。3歳児健診では目のチェックを行いますが、この時期に弱視などを発見できることが大切になります。いつもテレビを近づいて見る・ものを見る時に顔を傾けて見ることを繰り返す場合は眼科へ受診をしてください。

治療は眼鏡かけて網膜に焦点を合わせて鮮明な像が結ばれる状態にしたり、視力のよい方の目に遮閉具(アイパッチ)を付け、視力の悪い方の目でしっかり見て視力の発達を促します。気になる場合は、眼科へ相談をしてください。

講演の中で目の病気だけではなく、『エコーチェンバー(共鳴室)現象』についても説明してくれました。SNSで価値観の似た物同士でのみ交流、共感し合うだけの情報だけであると方向性を誤る恐れがあることを例示しながら、語ってくださいました。一歩下がって物事を捉える大切さ・「目は見を守り豊かな思考を育てる道具」であり、つまり目は敵を発見し身を守るという多くの動物に備わっているものだけではなく、人間だけは字と字の間である行間を読むことができる豊かな思考が備わっているので読書をすると人生が豊かになること。そして霊長類であるヒトと軟体動物のタコは全く異なった進化の道を歩んできて体型的には全く異なった姿だが、目に関しては類似性がある「目の収斂進化」が起こっていたことについて。また、ご自身の長い経験から幸せな家族とは子どもの幸せを考えることと合わせて、自分の親の面倒もみて親孝行することが本当の幸せな家族と言えるのではないかということなど幅広い話をしていただきました。さらに、6年前に先生が執筆された「The eyes」(創英社/三省堂書店)を10冊寄贈していただきました。本当にありがとうございました。

 

参考文献

日本眼科学会ホームページhttps://www.joa.or.jp/index.html

 

 

 新元号は「令和」になりましたね。とても品のある元号で好きになりました。先月は新たな仕事や園・学校が始まり、生活のリズムにまだ慣れないご家庭も多いのではないかと思います。生活に慣れるには時間がかかりますし、体を慣らすために休息はとても大切です。10連休を利用しゆっくりと休んでください。うちも生活が変わりました。娘が小学1年生になり、今までより早く起床しなければならず、私たち親も意識して早めに寝かせるようにしています。私は娘と一緒に登校班が来るのを待っているのですが、緊張して不安そうな面持ちで娘は歩いていきます。帰宅後は娘から学校の様子を聞き、新たな友達ができて楽しそうな話を聞き、ホッとしているところです。

また先月、息子(高1)と一緒に南アルプス桃源郷マラソン大会(ハーフマラソン)に出場してきました。目標としていた2時間を切ることができ、1時間58分と息子より8分も早く走ることができました。身長は追い抜かれてしまった息子に中盤以降の粘りで勝つことができ、ダブルで喜べました。息子は10k以降ペースダウンし、次々と年長者に追い抜かれた経験から、日々の練習の大切さを痛感したそうです。

今月は聞きなれないウイルスである「ヒトメタニューモウイルス」についてお話します。

 

ヒトメタニューモウイルスって?

 まだ皆さん知らない方も多いと思います。このウイルスは2001年に発見され、RSウイルス流行後の3月から6月にかけて流行します。今年は少し早めから流行し始めています。5年前から保険適用になったことやインフルエンザの検査と同じような迅速検査ができるようになり、当科では今年から検査をよくするようになりました。

 咳・鼻水・熱が主な症状で、RSウイルスやインフルエンザウイルスにかかった時と似た症状を呈します。潜伏期間は約4~6日、くしゃみや咳による飛沫感染で広がります。1度かかれば、もうかからなくなるわけではなく、1回の感染では免疫が獲得できず、何度か感染します。ただ、何度かかることで免疫がつき、症状は軽くなります。この感染症はインフルエンザやRSウイルス感染症にかかるより、重くないことが多いですが、中には高熱が続き、咳がひどくなり、入院するケースもありますので、特に乳幼児期のお子さんがかかった時は注意が必要な病気です。

 

治療と予防は?

 インフルエンザにかかった場合、抗インフルエンザ薬で対応しますが、このウイルスには特効薬がありません。対処療法の薬を使用し、細菌感染が疑われる場合、抗生剤を使用する場合があります。熱が4~5日間続くことがあり、咳・鼻水が約1~2週間続きます。治癒証明書が必要な病気ではないので、感冒と同じように熱が下がり、食欲がもどり、咳・鼻水が落ち着いてきたら登園可能となります。予防はかぜと同じく手洗い・うがいです。

 

迅速検査のタイミングは?

 迅速検査をするタイミングはなかなか難しいと思います。地域の流行状況を考慮し検査を実施します。先ほど述べたように、わかったとしてもインフルエンザと違って特効薬がないため、確認をして原因がわかることで少し安心ができるといった位置づけになります。当科でもインフルエンザのように積極的に検査をするというより、長引く熱や咳がひどくなった場合に検査を実施しています。

 

風しんの追加対策について

風しん流行を広げない・止めるための取り組みとして、国は今年4月から3年間、昭和37年4月2日から昭和54年4月1日(40歳~57歳)までの間に生まれた男性の風しん定期予防接種が追加されました。この世代は風疹の予防接種を受ける機会がなく、抗体保有率が低いと言われています。実施方法は抗体検査をして、抗体価が十分でない方は予防接種を行うというものです。

妊娠初期の方が風しんにかかると赤ちゃんが先天性風疹症候群にかかることがあります。先天性風疹症候群にかかると難聴や心疾患など、赤ちゃんの成長に影響を及ぼす障がいがみられます。安心した妊娠・出産の環境作りのためにもぜひ対象年齢にある男性については、お住いの市町村に確認をしてください。費用は無料です。

 

参考文献

国立感染症研究所ホームページ

 

 

ようやく春到来。先月の卒園式・卒業式に続き、今月は入園式・入学式が開かれます。うちの娘も先月、6年間お世話になった保育園を卒園し、小学校に入学です。最近は字に興味を持って本を読んだり、少し字も書けるようになりました。先日は私と妻に「だいすきだよ、ながいきしてね。」という手紙を書いてくれました。子どもの成長に驚くばかりです。

4月は新入園生や新入学生だけでなく、在園児・在校生もクラス替えで今までの友達や先生と離れたりして、お子さんにとって環境が変わります。このような時期はお子さんの様子をいつも以上に気にかけて、安心できるようにいつも以上に話を聞く工夫をし、スキンシップを心がけるようにお願いします。

先月に続き、私のクリニックに隣接しているげんき夢こども園にある子育て支援センター「ながれ星」で耳鼻咽喉科医による講話が開催されました。今回は甲府市飯田で開業している「なかざわ耳鼻咽喉科クリニック」の中澤勉先生による「こどもによくある耳鼻咽喉科の病気について」の講話です。参加して下さったお母さん方と一緒に私も聴講してきましたので、その内容を皆さんにお伝えいたします。

 

まず耳について知りましょう!

 耳鼻咽喉科は耳(みみ)・鼻(はな)・咽(のど)・喉(のど)の病気をみるお医者さんです。耳はいろいろな音や言葉を聞き、体のバランスをとる場所で一番奥にある内耳は人の骨の中で一番硬い骨に囲まれています。とても大事な所なので硬い骨で守られています。耳が悪くなると、音や話が聞こえませんし、体のバランスがとれなくなり立ったり、歩いたり、走ることがむずかしくなります。耳の病気で一番多いのが、『中耳炎』です。風邪の子や、鼻が悪い子に多く見られます。きちんと治るまで、治療しないと難聴になってしまうことがあります。鼻水が長引いていると中耳炎になりやすくなるので、耳鼻咽喉科でしっかりと治療をすることをお勧めします。

 

つぎに鼻について知りましょう!

 鼻は息を吸い、においを感じるところです。鼻の周りにはいくつかの副鼻腔があり、鼻とつながっています。鼻と耳は耳管という管でつながっていて、ここを通って鼻から耳にばい菌が入ってきます。

 鼻水や鼻づまりで鼻が悪くなると、膿が副鼻腔にたまると副鼻腔炎、耳管を通って中耳にたまると中耳炎になります。副鼻腔炎が悪化すると、においを感じなくなることもあり、頭痛・顔のいたみ・だるさの症状が出てきます。治るまでに時間がかかる場合がありますが、きちんと治るまで治療を続けてください。

 鼻が悪いと、ぼーっとしたりすることで、集中力が低下し学習能力に影響する・においがわからず食べ物がおいしくなくなる・鼻づまり等により口で息をすることでかわいた空気でのどが痛くなり、かぜやインフルエンザなどにかかりやすくなります。

治療や予防に大切なのは鼻をきちんとかめることです。口をしめて・片方ずつ・ゆっくりと・少しずつ・くりかえすことが大事です。両方一緒に強くかんだり、鼻をいじり過ぎたり、すすったりしないでください。鼻を自分でかめない場合は鼻洗浄が有効と言われています。鼻咽喉にある細菌を洗い流すと炎症がおさまってきます。(鼻洗浄の詳細は中澤先生のクリニックのホームページを参照ください。http://nakazawa-ent.life.coocan.jp/sakusaku/5_1.htm

 

耳鼻咽喉科受診の勧め

 耳は音や声を聞く・鼻は息をしたりにおいをかぐ・のどは食べたり飲んだり話をする役割があり、楽しく元気に毎日を過ごすのにとても大事なところです。呼んでも返事がない・耳をよくいじる・鼻をよくすする・鼻声が治らない・鼻血が出やすい・鼻や目をこする・咳や痰が続く・のどの痛み発熱が多い・睡眠中息が長く止まる・声のかすれが続くといった症状があれば、早めに耳鼻咽喉科を受診し、治るまでしっかり治療することが大切です。

 

以上が講演の要旨です。中耳炎になる子は鼻が悪く、鼻の治療をすることが大切であることを強調していました。いくつかの質問があり、優しく丁寧に返答してくださっていた姿が印象的でした。わかりやすい講演をありがとうございました。

 

 

 待ちに待った春がもうすぐやってきますね。最近、うちの娘(6歳)がNHKの「チコちゃんに叱られる!」というバラエティー番組を楽しみに観ています。5歳のチコちゃんが素朴な質問をして、知らないでいるとチコちゃんに「ボーッと生きてんじゃねーよ!」と叱られます。このフレーズがとても楽しいようで、いろんな場面で私たちに言って、家庭を明るくしてくれます。

今月は例年に比べて大流行したインフルエンザについて皆さんにお伝えします。

 

インフルエンザ流行中に気をつけたいこと

 インフルエンザ流行中は、熱が出たときにインフルエンザかどうか疑う必要があります。抗インフルエンザ薬は発症して48時間以内に使用しないと効果がないため、早めに診察を受けることをお勧めします。抗インフルエンザ薬は有熱期間の短縮・重症化予防効果が認められています。

診断は迅速キットで判断することが主ですが、迅速キットは発熱早期だと陰性になる場合があります。発熱後12時間経つと信頼性が高くなりますので発熱してしばらく経ってからの受診をお勧めします。夜、熱が出たと救急外来へ急がず、翌日かかりつけ医への受診が得策です。また、家族内でインフルエンザと診断された人がいた場合は濃厚接触と判断し、迅速キットをせず、インフルエンザと診断し抗インフルエンザ薬を処方する場合もあります。

予防の基本は手洗い・うがい・マスクの使用ですが、一番はインフルエンザワクチンを接種することです。インフルエンザワクチンの効果として発症予防・学校の欠席日数や入院日数を減らした報告があります。

 

夜、熱が出て翌朝、下がっても

 インフルエンザ流行期に夜間熱がでた場合は、翌日医療機関に受診し、インフルエンザかどうかを確認してください。よくあるケースが、夜、熱が出たものの翌朝には熱がないために、園・学校へ行き、昼頃、熱で呼び出されるというものです。医療機関でインフルエンザと判明した時には、午前中の登園・登校により周囲にインフルエンザをばらまいて、友達を感染させてしまっています。このようなきっかけで流行して、学級閉鎖や学年閉鎖に至ることが多々あります。皆さんに理解してもらい、一人でも感染者が減り、流行が阻止できればありがたいです。

 

新薬「ゾフルーザ」について

 今シーズンから抗インフルエンザ薬の新薬として登場したのが「ゾフルーザ」です。1回のみの服用であるため、飲みやすいことが評価されています。この薬は新しい作用機序でインフルエンザウイルスの増殖を抑制します。ただ、小児科学会では「新薬のため十分なデーターを持たないため、使用に関して検討中である」と推奨していません。耐性ウイルスの問題もあるようなので、安易に使用するのは控えた方がいいと思っています。うちのクリニックでは今までの薬を第1選択薬として、やむを得ない場合、つまり、タミフルの服用が難しい場合に限ってゾフルーザを服用しています。

 

隠れインフルエンザって?

 最近、「隠れインフルエンザ」という言葉を耳にするようになりました。これは医学用語ではなく、おそらくメディアが言っているものではないかと思います。新しく病名ができたのではなく、迅速キットが普及したおかげで、微熱・咳・鼻水などの症状でも陽性者が出て、インフルエンザという診断されるようになったということです。通常のインフルエンザは、高熱が出てぐったりしてきますが、隠れインフルエンザは症状の軽いインフルエンザと考えてください。私自身の経験でも、微熱・咳・鼻水と風邪と思われる症状でも迅速キットで陽性と判明する場合があります。こういったケースも考えると、園・学校に行っているお子さんは軽い症状であっても風邪だと自己判断せず、医療機関に受診をしていただくことをお勧めします。

 

治癒証明について一言

 今まではインフルエンザにかかると、「医師による治癒証明書」が必要でしたが、最近は必要としない園・学校が増えてきました。医師による治癒証明書を必要としないところは保護者が記載しています。うちのクリニックは通常、発症時とよくなった時点で2度来院し、よくなった時点に治癒証明書を記載して保護者も特に負担を感じていないのではと思っています。上記にも挙げましたが、治癒証明の有無の議論より、前夜、熱を出しているにも関わらず、園・学校に来てしまい、感染拡大をさせてしまっている現状を重く受け止めるべきではないでしょうか?集団生活を送る上でのモラルという点に関して大変危惧しています。

 

参考文献

「2018/2019 シーズンのインフルエンザ治療方針」について(日本小児科学会)

http://www.jpeds.or.jp/modules/news/index.php?content_id=402

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