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院長コラム

 6年前の3月11日、東日本大震災・福島の原発事故が起きました。最近、福島から自主避難していた生徒が恐喝されいじめを受けたという報道があったり、数十年かかるといわれている廃炉作業は今も続いています。3・11により原発は一度事故を起こすと大変なことになるということを経験しました。昨年、テレビで小泉元首相が脱原発について「どんな機械も故障する。原発も故障する。原発が故障すると多額のお金がかかり、原発が作る核のゴミの最終処理について決まっていない。今まで電気が足りなくなるため原発を建設してきたが、原発事故後でも原発なしで停電しなかった。原発を止め、自然エネルギーにシフトする必要がある」と語っていました。私も同感です。これからもエネルギー問題には関心を持ち続けていきたいと考えています。

さて、来月からお子さんが入園する予定のご家庭も多いかと思います。今月はその準備に慌ただしい日々を送っているのではないでしょうか。ママも仕事始めで職場の人間関係や仕事がうまくいくか不安を感じていると思います。4月からよいスタートができるためのアドバイスをします。

早寝・早起き・朝ごはん

 文部科学省が推進している国民運動「早寝早起き朝ごはん」は子どもたちが健やかに成長していくためにとても大切です。入園準備として、早寝・早起きの習慣を身につけましょう。生活リズムを修正するコツはまず早く寝かせることです。誰か起きているとお子さんが落ち着かないので、パパもママも一緒に寝ましょう。起床後、カーテンを開けて部屋を明るくすると、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌が抑えられ自然に覚醒してきます。なかなか起きない旦那さんにも効果があります。そして起きたら必ず朝食をとりましょう。早寝・早起きをしてリズムを整えると、朝ご飯もおいしく食べられます。私も娘(4歳)と一緒に夜9時に寝て、朝早めに起きています。

慣らし保育は大切!

 4月初めは「慣らし保育」というものを行ないますが、これは親子にとってとても大切です。最初、園に慣れるために短時間お預かりして、徐々に増やしていきます。今まで家にずっといたお子さんが知らない保育士や園児さんと接するのですから、ストレスを受けますし、お預かりしてもしばらく泣いてしまうお子さんもいます。親御さんからすると預けた時に泣かれるととても切ない気持ちになりますが、少し経つと泣き止み、遊び始めますのでご安心ください。園では保育のプロである保育士が対応し、園児同士での刺激も多くあり、子ども自身も成長していきます。親から離れている時は緊張もしますので、家にもどってきたらいつも以上のスキンシップをお願いします。できる限り抱っこやおんぶをしてください。時間がない場合、短時間でいいので意識してその子に向き合う時間を作ってください。家庭に余裕がなくなりますので、パパも送り迎え・早く家に帰る・家事を増やすなどの心がけが大切です。

こどもが病気になったら

 今まで熱を出したこともなかったお子さんが園に入ると、あまり免疫がないので急に発熱したり吐いたり下痢をしたりといろいろと病気をもらってきます。最初の1年間は園で流行る病気を全部もらってしまうかもしれません。病気が悪化すると入院する必要も出てきます。入院すると2週間前後は園を休むことになります。園に行く当日の朝に熱が出たり、登園後呼び出しがあったりする場合があります。その時にどうするか、夫婦・家族で話し合っておくとよいでしょう。うちの娘(4歳)の場合、最近病気は減ってきていますが、急変時はおじいちゃんが対応、または病児保育室の利用をしています。

予防接種はお済みですか?

 入園すると園で流行している病気にかかり、入園後から予防接種を予定していると接種時期が遅れてしまいます。入園前の体調がよい時期に予防接種を積極的に受けましょう。母子手帳をみて確認してください。任意接種であるロタウイルスワクチンやおたふくかぜワクチンもお勧めです。

予防接種受けない園児、受け入れ拒否

 先月、新潟市の私立保育園で4月から認定こども園への移行を機に定期予防接種を受けていない園児を受け入れない方針を出し、国は「未接種を理由に受け入れ拒否はできない」と見解を示しました。園長は予防接種することが子どもや妊娠している保護者や保育士の健康を守るため、集団生活をする上でのマナーであると言っています。私自身も園の方針に大賛成です。保育園はたくさんのお子さんが集う集団生活をしています。園長には園児の健康を守る責務があります。

 先月中旬、中2の息子がインフルエンザにかかり、高2の息子がうつされました。続けて東京生活していた大学生までが同じ時期にかかり急遽、自宅に戻り療養、3人ともダウンし看病しました。息子達は6年振りにかかりました。ただ、予防接種や抗インフルエンザ薬のおかげで状態はそう悪くならずに済みました。2日も経つと、早く学校に行きたいと言い出し安心しました。まだまだインフルエンザ流行中です。手洗い・うがいを励行し乗り切りましょう。    そして昨秋、うちのクリニックで開業12年にして初めてのことがありました。なんと幼い頃からみていたお子さんがママになり、患者さんとしてお子さんを連れてきました。長年、診療してきて言葉にはならない感動を得ました。小児科冥利につきる瞬間でした。今月は3歳児健診や園・学校で行なっている尿検査についてお話しします。

腎臓の役割

 腎臓はおへその後ろあたりに左右に1つずつあり、握りこぶしほどの大きさで1個150gほどの臓器です。体液・電解質・酸塩基・血圧の調節や老廃物を尿として排泄していたり、強い骨の維持や貧血の防止にも関与しており、体を正常な状態に保つ大切な臓器です。また、肝臓などと違って、ダメージを受けると再生する力がありません。もともと腎臓は大きな予備力を持っていて、普段は4分の1程度の働きで機能しており、症状がでた場合は腎臓の予備力がほとんどない状態になっていることから、検尿によって症状がでていない腎臓の予備力に余裕があるうちに腎炎などの病気を発見することが大切です。腎臓の機能が低下すると生活習慣や食事に気をつけていく必要があり、将来、透析や腎移植が必要になる場合もあります。透析とは老廃物や水の排泄を腎臓に代わって行う治療で週に何日か病院で行われ生涯続きます。

園や学校の検尿は大切!

 学校検尿は昭和49年から始まり、現在、3歳児健診・園・学校で定期的に行われ、主に腎炎の早期発見に役立っています。検尿の制度が始まったことで、尿量が増える・目のまわりや足のむくみ・疲れやすい・食欲がない・息切れなどの症状がでる前の早期に病気が発見できるようになりました。腎臓病についての治療や管理の方法が進歩したことで、早期に発見された腎炎は多くが治療可能で腎炎の予後が改善しています。平成11年の調査で学校検尿を受けた世代の新規透析導入患者数が減少したという結果が発表されています。

尿検査で異常を指摘されたら

尿検査では潜血・蛋白・糖を調べます。潜血と蛋白で腎炎、糖で糖尿病を発見していきます。慢性の腎臓病が見つかる割合は、血尿(潜血)単独陽性者中5%、蛋白尿単独陽性者中10%、血尿と蛋白尿両方陽性の場合70%と言われており、血尿と蛋白尿が両方みられる場合は高頻度で病気が発見されます。このため、尿異常があれば必ず腎臓病というわけではなく、精密検査をしなければ病気かどうかはわかりません。
 尿糖がでた場合、糖尿病だけでなく、糖尿病と違って血糖値が正常で尿に糖が出る腎性糖尿という場合もあり、血糖やブドウ糖負荷試験などの精密検査が必要になります。

尿を取るときの注意点

 前夜、寝る直前にトイレに行き、起床後はすぐに採尿してください。潜血が陰性化する恐れがあるため、前夜はビタミンCが入ったお茶、ジュース、薬は避けましょう。お子さんの場合、寝ている時には尿が出ず、起きている時にたんぱく尿がある状態を起立性たんぱく尿(体位性たんぱく尿)とよびます。治療の必要はありません。採尿時、出始めの尿ではなく、排尿途中の尿(中間尿)を取ってください。さらに前日に採尿をしてしまうと、時間を置くことで細菌が繁殖して蛋白が陽性になったり、血尿が消失したりします。
 最後に、腎臓は再生する力がない臓器であるため、大切に扱っていくことが必要です。尿検査で異常を指摘された場合、症状がでていないから大丈夫と考えるのは早計です。継続的に経過をみていく必要がありますのでかかりつけ医にご相談ください。

参考文献

学校検尿のすべて 日本学校保健会

山梨県小児科医会ホームページ

新年あけましておめでとうございます。子どもの貧困や虐待・保育園待機児童問題など子どもに関わる課題は山積していますが、今年は昨年よりも少しでも子育て環境がよくなることを願うばかりです。皆さんに前向きに元気に明るく子育ていただくために、今年も最新の医療情報を皆様に提供していきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

私事ですが、東京で生活をしている大学生の息子との連絡にLINEを利用し意思疎通を図るようになってしまいました。当初は電話で肉声を聞く方がいいと思っていましたが、大学生はLINEに慣れていて、遊びやバイトに忙しいのか電話がなかなか通じず、あきらめてLINEを利用するようになりました。やってみるとその方がすぐにやり取りでき、なかなか便利です。

さて昨秋、5年ぶりに「食物アレルギー診療ガイドライン2016」が発刊されました。今月は最新の食物アレルギーについてお話します。

ガイドライン改訂ポイント

 昨年改訂された「食物アレルギー診療ガイドライン2016」には大原則である「正しい診断に基づいた必要最小限の食物除去」をさらに積極的に推し進めて「原因食品を可能な限り摂取させるにはどうすればよいか」という方向性が示されました。まず、診断をしっかりとすることが大事です。特異的IgE抗体検査という血液検査をして陽性だけで安易に除去を続けるのはよくありません。問診で様子をしっかりと聞き、血液検査も加味しながら診断していきます。除去になった場合、以前よりも積極的に食物負荷テストをすることで、完全除去を漫然と続けるのではなく早期から少量でも食べさせていこうと提言されています。
 例えば、0歳時に卵アレルギーと診断された場合、4~5歳までずっと完全除去するのではなく、定期的に血液検査で経過を追いながら食べられそうな時期を見極めに早い時期から食物負荷テストをして除去を解除します。負荷テストの負荷量は卵なら全卵1個食べられなくても、少量(全卵1/32)程度から初め、その量が問題なければ加工品の多くは食べられ、少量の全卵が入っても問題ないため、食事の気遣いは大幅に軽減でき生活の質が大幅に改善されます。県内でも負荷テストを行なっている医療機関が増え、以前よりも負荷テストをしやすくなっています。

母親の食物除去必要なし

 妊娠中や授乳中の母親から食物アレルギー発症予防のために、自分自身の卵や牛乳などの除去が必要かよく質問されます。お子さんのために何かできないかという母の思いはよくわかります。世界各国からの多くの研究結果をまとめると、現在のところ、母親が特定の食物を除去することは効果がなく、除去をすることは母親の栄養状態に対して有害と言われています。さらにお子さんの離乳食についても開始時期を遅らせることで発症が予防できるというエビデンスもなく、離乳食開始時期は生後5~6か月でスタートし、主要アレルゲンである卵・牛乳・小麦についても少量から進めていただくことをお勧めします。

園や学校での対応

 4年前に牛乳アレルギーの小学5年女子が粉チーズ入りのチヂミを誤って食べて亡くなった件をきっかけに、園や学校での食物アレルギーの対応が厳格になっています。給食は完全除去か解除かの二者択一による提供が、調理の点からも単純化され誤食防止となり推奨されています。園では先生の近くで食べる、学校では他の生徒にもアレルギーのお子さんのことを理解してもらう等で誤食防止につながります。4月は進学や進級により環境が変化したり、慣れないことからいつにも増した確認が望まれます。また、誤食防止を強調しすぎると、別室で1人で給食を食べさせねばと考えることがありますが、そこまでする必要はないと思います。子どもにとって楽しい給食が、安全を重視しすぎることで負担になるようなことがないよう、かかりつけ医(可能であればアレルギー専門医)や学校(園)の先生と相談して下さい。食物アレルギーはアレルギーの中でも昨今進歩が進んでいる領域になっています。困っている場合は近くのアレルギー専門医(私も数少ない1人)にご相談下さい。アレルギー専門医は「日本アレルギー学会」のホームページで検索することができます。

参考文献

食物アレルギー診療ガイドライン2016 協和企画

アメリカ大統領選挙ではトランプ氏が勝ちました。予想に反しての勝利でとても驚きました。こんなに盛り上がる選挙だと自然と政治に関心を持ちますね。イギリスではEU離脱への国民投票で熱狂的な様子がみられました。諸外国における政治への関心の高さを伺い知ることができました。日本においてもいろいろな問題が多くありますが、何か盛り上がりに欠ける気がします。先月、県内の首長として初めて女性の北杜市市長が誕生しました。これからもっともっと女性が活躍していただくことを期待しています。今月は毎年必ず流行するインフルエンザの最新情報について皆さんにお伝えします。

 

インフルエンザ対策について

県内ではすでに学級閉鎖の学校もでており、例年より早い流行が予想されています。7年前に新型インフルエンザの発生があり、その際国中が対応に追われました。ここ数年のインフルエンザウイルスのタイプはA型がA(H1N1)pdm09亜型とA(H3N2)亜型の2種類、B型が山形系統とビクトリア系統の2種類が検出されています。今シーズンも同タイプのインフルエンザウイルスの流行が予想されるため、ワクチンも同じ4種類が入っています。

予防はワクチン接種が基本で手洗い・うがいの励行が大切です。咳や鼻水がでる場合は他の方にうつさないためにもマスクを着用してください。咳・鼻水・熱などの疑われる症状があった場合、無理して園・学校・職場に行くと感染を広げることにつながります。自分だけではないことを配慮していただけるとうれしいです。

現在、抗インフルエンザ薬は飲む・吸う・点滴の3タイプがあります。通常は飲むタイプの「タミフル(10歳代は禁忌)」、吸うタイプの「リレンザ・イナビル」で、服薬により熱や症状の期間を短縮すると言われており、発症48時間以内に薬を使用すると効果が期待できます。

 

迅速検査の限界を知る

インフルエンザが疑われる場合は迅速検査をします。迅速検査は熱が出て時間が経たないとウイルス量が少なく陽性となりづらいため、熱がでて12時間以上たってからの検査が信頼できます。熱の早期では検査せず、抗インフルエンザ薬を使う場合もあります。また熱がでて12時間以上経っていても検査が陰性でも家族中でかかっていたり、症状からインフルエンザと判断される場合は抗インフルエンザ薬を内服して構いません。迅速検査は万能ではなく、早期に検査をしたり、微熱であったり、採取が上手にできなかったり、B型の方が陰性になりやすかったりすることがあります。検査に限界があることを知ってください。受診は信頼関係もあるかかりつけ医に診てもらうことがその後の対応も含めてお勧めです。

 

ワクチンって効くの?

他のワクチンに比べて、インフルエンザワクチンの効果が弱いのは、インフルエンザワクチンが突然変異を起こし、抗原性が毎年少しずつ変化するからです。前年の流行ウイルスからワクチンを作製するのですが変異が起きると効果が低下します。

昨年8月、慶応大学小児科から患者数8,479名の大規模な調査結果が発表されました。2013-14シーズンではワクチンの有効率がA型63%、B型26%、全体45%、2014-15シーズンでワクチンの有効率がA型37%、B型47%、全体38%という結果で4割程度の効果が期待できます。ただし、1歳未満の乳児では2013-14シーズンで21%、2014-15シーズンで3%と低率でありました。

菅谷らの別の調査結果では、日本で行われた1960年代から1994年まで学童集団接種とその後の集団接種中止となった時代との死亡者の比較し、集団接種中止以降、インフルエンザ死亡者が増加、多くが高齢者であったことから、学童集団接種により高齢者の死亡が抑えられていたこと、さらに幼児の死亡・学級閉鎖も抑えられていたことがわかりました。ワクチン接種は自分だけを守るだけではなく、その家族や周囲の人々、さらには社会のハイリスク群も守るという集団免疫の効果が再認識されました。

うちの保育園では職員は全員接種しており、園児さんのご両親の協力もあり、インフルエンザワクチンをすべての園児に接種しているおかげで集団免疫の効果が得られています。昨年は100人中、10人程度しか罹らず、集団免疫の効果を肌で感じています。インフルエンザワクチンの効果は100%ではありませんが、少なからず効果が期待でき、特に低年齢児においては接種をお勧めしたいと考えています。

 

参考文献

インフルエンザ診療ガイド2016-17 菅谷憲夫 日本維持新報社
厚生労働省ホームページ

少し前まで暑さが残っていましたが、急にひんやりとして秋が深まってきました。小児科はこの時期からインフルエンザワクチン接種が加わり、年内まで忙しい日々が続きます。私は朝、娘の連絡帳に日々の成長で気づいたことや園に伝えたいことなどを書きます。上の4人の子どもの時にはできなかったことで、保育士さんから園での様子を書いていただいて残った文章が子育てでの貴重な財産になっています。毎日いそがしい中連絡帳を書いているお母さん・お父さん、お子さんが大きくなったときにどんなに大切にされていたのかを伝えることができます。大変かと思いますが、一緒に書いていきましょう。今月は先月から定期接種化が始まったB型肝炎ワクチンについてお話します。

 

B型肝炎について

日本でのB型肝炎ウイルスの感染者は約100万人(約100人に1人)と推定されています。ウイルスが体に入ると肝炎が起こることもありますが、自覚症状がないことも多く、偶然行った血液検査で初めて感染に気付くこともあります。3歳以下の子どもが感染すると、キャリア(ウイルスを体内に保有した状態)になりやすく、キャリアになると約10%が慢性肝炎になると言われています。慢性肝炎になると将来、肝硬変や肝がんに進行することもあるため、低年齢での感染予防は重要です。また、B型肝炎ウイルスに感染すると急性肝炎から劇症肝炎を起こし死に至ることや、抗がん剤治療で免疫力が低下することで重症の肝炎が起きることもあります。
B型肝炎ウイルスは数種類のタイプがあり、日本において流行していた遺伝子型Cは慢性化することが少ないタイプだったため、問題になっていませんでした。しかし、最近慢性化しやすい遺伝子型Aというタイプが広がってきたため、慢性肝炎→肝硬変→肝がんへと進行することが心配されています。感染すると、キャリア化し将来の慢性肝炎→肝硬変→肝がんへの進行・長期にわたり新たな感染源になるという点で問題になります。

感染経路は血液だけではなく、唾液や汗、涙などにも含まれています。母子感染だけではなく、乳児期に父などからの感染や大人になってからの性交渉からの感染(水平感染)も考えられ、さらに感染経路がわからない場合もあります。保育園や学校の部活動を通じての集団感染事例も報告されています。

 

先月からようやく定期接種化

日本のB型肝炎対策は、1986年、キャリアの母親からの感染(垂直感染)予防から始まり、母子感染は減ってきました。しかし、予防スケジュールがしっかりと行われなかったり、水平感染もあることから、この対策だけではB型肝炎を制圧できない状態が現在も続いていました。

WHO(世界保健機関)では、世界中の子どもたちに対して生まれたらすぐに国の定期接種として接種するように指示しています。WHO加盟国95%以上の国々ではWHOの指示通りに定期接種になっていて、B型肝炎の患者さんが激減しました。日本も先月からようやく定期接種化されました。

対象は平成28年4月1日以降のお子さんで、生後2か月に1回目、4週あけて生後3か月で2回目、1回目から20週あけて生後7~8か月ごろに3回目を接種します。注意点としては平成28年4月生まれのお子さんは生後11か月までに3回接種しなければなりません。もし3回目接種が1歳超えた場合、自費になりますが、3回目をしっかりと接種してください。効果は20年以上続くと言われています。お母さん以外の同居家族内にHBVキャリアがいる場合などで感染リスクが高い場合は早く免疫をつけるために生後2か月より前にB型肝炎ワクチンの接種を開始することが可能です。もし、そのようなご家庭がありましたらかかりつけ医にご相談下さい。
なお、お母さんがHBVキャリア(お子さんが母子感染予防の対象)の場合には、赤ちゃんのB型肝炎ワクチンの接種スケジュールは異なります。1回目を出生直後(12時間以内)に、抗HBsヒト免疫グロブリンと同時接種し、その1か月後に2回目、1回目から6か月後に3回目を接種します。

 

参考文献

B型肝炎ワクチンに関するファクトシート  国立感染症研究所(平成22年7月7日版)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000bx23-att/2r9852000000bxqf.pdf

B型肝炎ワクチン作業チーム報告書
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000014wdd-att/2r98520000016rr1.pdf

VPDを知って、子どもを守ろう。http://www.know-vpd.jp/

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