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院長コラム

先月「育休」についてお話しした矢先、育休宣言をした衆議院議員がまさかの不倫疑惑報道での辞職。多くの方が呆れ果てたのではないでしょうか。妻である金子議員の精神面が心配されます。出産後の女性はホルモンバランスの変化などにより「産後うつ」など精神的に不安定になる傾向にあります。生まれてきた子どもには罪がないので、健やかに育っていって欲しいと願っています。

さて今月はうちのクリニックで始まる重症心身障がい児日中一時預かり施設についてお話します。

 

始めるきっかけ

 ちびっこぷれすの広告をきっかけに依頼があり、1年前から子どもの訪問診療を始めました。月に2回車で訪問しています。そのお子さんは自分で呼吸ができず、口から食べることができないため、人工呼吸器で呼吸を助け、流動食をチューブで胃瘻から胃に入れています。さらに数時間ごとの体位変換も行なっています。特に入浴介助などは家族のみでは難しいため、訪問看護・訪問介護・訪問リハビリを利用しながら生活しています。私は自宅に訪問しお子さんの診察・機器を確認、そして母親から様子を聞き1時間程でクリニックへ戻ります。両親・家族がやらなければならないことは多く、お子さんから離れられず24時間見守っています。近くで見ていて、私だったら長く続けることはできないし倒れてしまうと感じるほどです。幸い、病院で月に数日間、預かってもらってレスパイト(家族の休息)できるのですが、それだけでは家族の負担はまだまだ多いのが現状です。

 昨秋、レスパイト事業で全国的に注目されている能見台クリニック(横浜市)に見学に行ってきました。そこでは訪問診療は行なっておらず、ケアが必要な重度のお子さんを看護師や介護士・保育士などの多職種で昼間預かる施設でした。訪問に行くよりも昼間クリニックでお預かりした方がより家族のレスパイトに繋がるのではないかと考えるようになりました。一方で、家族は24時間介護する生活が普通になっていることから、自分たちの休息のためにレスパイトを利用するということよりも、日々在宅で生活している子どもに、家の外で子どもらしい経験を少しでもさせてあげたいという親としての思いが強いようです。しかし、一方で家族が一人でも体調を崩すことで、今の生活が成り立たなくなるという不安も常に抱えています。

子どもにとってもひな祭りやクリスマスなど様々なイベントや、部屋の外で家族以外と連れ会う時間を確保し、家族にとっても子どもの介護のみに縛られない自分の時間を持ち、大切なお子さんとの時間で疲れ切ってしまうことがないような重度心身障がい児を支える施設の必要性を痛感しました。

 

3月9日からスタート!

 レスパイト施設を開所するために、見学から帰ってきてから県の障害福祉課で協議を重ね、手続きが完了し実施できる見通しがたちました。こちらの1日でも早くスタートしたい思いが伝わり、県の担当者の方が献身的に進めていただけたことから協議開始から3か月半という早いスタートでした。県庁障害福祉課職員の皆さんからの期待や励ましは大きな力となりました。受け入れ場所はクリニックを改修し、看護師や隣接する保育所保育士が担当させていただきます。食事の面では、保育所の給食室で毎日手作り給食とおやつを、その子どもに合わせて(ミキサー食・きざみ食など)提供することができます。もちろん、子どもたちに人気のお楽しみ給食もあります。子どもが楽しみにするイベントが食の面でもサポートできたらと考えています。対象者は重症心身障がい児で人工呼吸器・痰の吸引・経管栄養などの「医療的ケア」が必要なお子さんとなります。詳細はげんき夢保育園(055-268-5577)までご連絡ください。重症心身障がい児がいるご家庭の苦労は計り知れません。少しでもお手伝いができれば幸いです。どんなお子さんでも安心して過ごせる社会になれるように願っています。また合わせて、看護職・保育職のスタッフも募集しています。興味関心がある方、ぜひ問い合わせください。

 

寄付のお願い

クリニックには受け入れスペースがないため、増築工事をしなければならず、それにかかる費用が約七百万円かかり悩みとなりました。能見台クリニックと同じような施設をひばりクリニック(宇都宮市)が行なっていて、そこで施設補助をクラウドファンディングという資金調達法で行なったことを知りました。今回、この場をお借りして施設補助の寄付をお願いできたらうれしく思います。ちびっこぷれすのフェイスブックでも周知していただき、既に多くのご協力をいただいております。アドレスは(http://readyfor.jp/projects/genkiyume21)となります。クラウドファンディングを通じての寄付は3月17日までとなります。どうぞよろしくお願いいたします。

暖冬が原因なのか、それとも3種から4種に変更されワクチンの効果が高いかはわかりませんが、例年と比較してインフルエンザの流行シーズンが遅れています。今シーズンは9年ぶりに年明けからの「流行入り」となりました。家族全員で手洗い・うがいを励行し予防しましょう。

先月、みなさんによいお知らせが2つあります。まず、重度心身障害児の窓口無料化が復活します。みなさんの署名を集め訴え続けていただいた「子どもの医療費窓口無料化を求める会」に感謝いたします。もう一つが県内の第2子以降の保育料が3歳まで無料となります。まだ市町村レベルでの調整が必要なようですが、山梨県における子育てしやすい環境が一つ一つ整っていると実感します。

昨年12月に自民党の宮崎謙介衆議院議員が同党で妻の金子恵美衆議院議員の出産で育児休暇の取得を表明し大騒動になっています。昨秋、発表された政府の基本方針の中に「あらゆる面で子育てに優しい社会へと改革を進める」と述べています。男性も育児休暇を気軽に取れないと女性が安心して出産もできず少子化が止まらないのではないかと思います。これをきっかけに男性の育児休暇取得率が上がることを切に願っています。今月は男性の育児休暇について私見も含めて述べます。

 

私も育休を取りました

 4年前、第5子出産時に3日間の育休を取りました。予定日10日を過ぎても生まれず、促進剤の使用に伴う妻の入院に合わせて出産前の3日間、クリニックを急遽休診にしました。予約の患者さんには断りの電話を入れ、快く了解していただき出産に集中することができました。その時に了解してくださった方、本当にありがとうございました。難産で第5子ながら初めての女児が誕生しました。女児が生まれた喜びとしっかりと育てる責任を感じました。出産に立ち会った経験は子育てのベースとなり、父親としての自覚が生まれ、子育てのスイッチが入るきっかけになります。そして、その後の子育てに効果的で、仕事を効率的に考え早く帰宅する思いを持つようになります。仕事は40年の長期間続きますが、立ち合い・育休は本当にわずかな期間にすぎません。

 

日本の男性育休取得率はほんのわずか

 男性育休取得率はアメリカが3割、スウェーデンが8割、日本は2.3%(2014年度)と非常に低い状況で、一方で日本女性の取得率は9割近くあります。欧米では家庭での役割を担っている男性社員ほど、労働者としての生産性も高いという調査結果がでており、育休の取得が進んでいます。日本では今までに文京区長、広島県知事、三重県知事が男性の育休取得をしています。日本生命保険相互会社は男性の育児取得率が100%を達成しました。期間は1週間程度で、休んで家事をしてみると、妻の苦労が具体的にわかり、早く家に帰ろうと思うようになったり、女性社員に対し共感性が高まったりと変化が生まれたそうです。この会社の育休取得はトップダウンでできました。育休が広がれば、パートナーシップや親子の絆が強化されると言われています。日本も首長や社長さんが男性に育休を強制していかないと広がらないと思います。育休を取らないと損をする政策を立案してほしいです。今回の男性衆議院議員の育休宣言はたいへん勇気のある行動で賞賛したいです。まず政治家や公務員がお手本になって取得率を自ら上げる努力をするべきです。女性の社会進出を促しておきながら、出産前後は女性にすべて押し付けるのはたいへんです。出産だけでなく仕事も子育ても夫婦が協働して行うとうまくいきます。

 

イクボスが普及のカギ

 イクボスとは、職場で共に働く部下・スタッフのワークライフバランスを考え、その人のキャリアと人生を応援しながら、組織の業績も結果を出しつつ、自らも仕事と私生活を楽しむことができる上司のことを言います。イクボスは部下から育休を相談されたら、「育休?男は仕事だろう?おまえは何を考えている?」ではなく「育休?心配しないでいいぞ。俺の仕事は君たちが働きやすい環境をつくることだから」、部下に子どもができたら「おめでとう!俺も経験したけど、奥さんが大変だから家庭を優先しろよ。」と言える方です。これからの会社は、子育てだけでなく介護の問題も出て、社員の多様な働き方に対応できないと優秀な人材が確保できなくなります。

育休取得を悩んでいる人は勇気を持って上司に相談をし、短期間でも経験してください。経験したあなたはいいパパになっています。私もそうでした。そしていつの日か部下が育休取得したいと申し出てきた時、「自分がフォローするから安心しろ!」と声をかけて欲しいと願っています。

 

参考文献

NPO法人ファザーリング・ジャパン ホームページhttp://fathering.jp/

できるリーダーはなぜメールが短いのか 青春出版社 安藤哲也

あけましておめでとうございます。ちびっこぷれすの連載も早10年が経ちました。今年も最新の子どもの医療情報についてお伝えできるよう努めていきたいと思っております。皆さんは今年どんな年にしたいですか?私は「健康」な一年にしたいと考えています。若い時はそんなに意識していなかったのですが、年々自分の健康について考えるようになったのがきっかけです。体とこころの両面が健康でなければ、仕事で患者さんにもよい対応ができません。健康を維持するための体力づくりとして数年前からランニングをしています。月に100kmを目標に健康を維持したいです。合わせてわがままな私を受け入れてくれる妻にも感謝しながら家族を大事にする良き1年にしたいと思います。

今月は診察時によく質問されるようになり、関心が高くなってきた「化血研の不正問題」について詳しくお話しします。先月、100ページ以上にも及ぶ第三者委員会の報告書が発表され、血液製剤の不正からワクチン、さらに人だけでなく動物用ワクチンまで化血研の製品に製造手順の不正が見つかりました。ここ数年で新しいワクチンが誕生し明るい話題が多かったのですが、今回のワクチン不正問題については残念だというよりも憤りを感じます。

 

不正の詳細

化学及血清療法研究所(化血研)は血液製剤やワクチンを製造している会社です。昨年6月に血液製剤で承認された製造方法と異なる製造をしていることがわかり、ワクチンにも不正が見つかりました。化血研のワクチンはインフルエンザ・4種混合・日本脳炎・B型肝炎・A型肝炎ワクチンを製造、国内でも大きなシェアがあり、今回の騒動でワクチン不足が全国的に起きています。

 第三者委員会の報告書によると、40年前から不正があり、国側の検査に備え、1995年からは虚偽の製造記録を作成するなどの隠蔽工作を重ねて、当時の製造部門の部長の指示のもと、組織的に進められていました。まず、2種類の製造記録を作成し実際の製造記録は明朝体で記録しました。一方、国の査察用はゴシック体にして区別していました。また、過去の製造記録を書き直す際には、筆跡の似た職員にサインをさせて古い書類に見せかけるため、紙を紫外線で焼くなど手の込んだ改ざんが行われていたそうです。記者が化血研の理事長になぜ不正を改善しなかったのかと問いただしたところ「改革をすると血液製剤の供給がストップするから」と述べていました。倫理観の欠如が甚だしく、おごりとしか言いようがありません。

 

4種混合ワクチンの安全性?

一番皆さんが不安なのは、化血研のワクチンの安全性だと思います。厚生労働省が精査したところ、4種混合ワクチンの製造方法に細かい所も含めて348か所の違いが見られました。製造過程に書かれていない抗凝固剤であるヘパリンナトリウムが添加されていたり、ワクチンの能力である力価を調べる方法が変更されていたなどの不備が見つかっています。4種混合ワクチンは他のメーカーと比較して化血研のワクチンだけに副反応が多いという結果はでていないこともあり、「品質および安全性などに重大な影響を及ぼす可能性は低い」という報告が出されています。1日でも早く「安全であること」を発表していただきたいと思います。今回の化血研の不正を知り、自分が医師としてできることは化血研のワクチンを使用しないことだと考えています。

東芝の不正会計処理、横浜市のマンションの傾きで明らかになった杭打ちデータ改ざん問題と偽装だらけでいやになりますが、偽装してもいつかは発覚し会社の存続に関わる大きな問題となります。膿を出し切り健全な会社に改めていただくことを期待します。40年前、3種混合ワクチンが一時中止したことで接種率が下がり、百日咳が流行してしまった苦い経験があります。予防接種をしないことで防げる病気にかかってしまうリスクがあることも考えていただき、今回の不正をきっかけに安易にワクチンをしないという考えにならないでほしいと願っています。

 

たばこ増税案

 2017年4月の消費税率10%への引き上げ時に軽減税率を導入するための代替財源をたばこ増税に一部充てる話がでています。禁煙の理由でたばこ代が高くなったからということをよく聞きます。先進国に比べてまだまだ安いと言われていますので、ぜひともこの機会に料金を引き上げて禁煙する人が多くなることを期待しています。

 

参考文献

第三者委員会報告書(化血研)

http://www.kaketsuken.or.jp/credibility00.html

紅葉の秋が終わり、冬がやってきました。今月は忘年会、クリスマス、お正月の準備、年賀状作成などすることがたくさんありますね。うちの3歳の娘は最近言葉も増え、無邪気でとても楽しい年齢になりました。サンタさんからもらえるプレゼントの話をしながらクリスマスがやってくる日を楽しみにしています。その反面、親の私たちを戸惑わせるのが、はみがきの仕上げ磨きです。毎夜私が手足を押さえて妻が歯ブラシで磨く時、大暴れで泣きながら反撃してきます。

先月はSIDS対策強化月間でした。そのため今月は乳幼児突然死症候群(SIDS)についてお話します。私は10数年前、千葉市で勤めていた病院でSIDSにより赤ちゃんが亡くなった経験をしています。すやすやと寝ていた赤ちゃんが息をしていないとママが気づき、救急車で搬送されました。病院到着時は心肺停止状態で心肺蘇生などの処置をしても助けることができず、今でも忘れることができない出来事です。

 

乳幼児突然死症候群(SIDS)とは

 SIDSはSudden Infant Death Syndromeの略で乳幼児突然死症候群と言います。それまで元気だった赤ちゃんが、事故や窒息ではなく睡眠中に突然死亡する病気です。日本ではおよそ6千人から7千人に1人の赤ちゃんが亡くなっています。生後2か月から6か月に多く、まれに1歳以上でも発症することがあります。発症は年々減少傾向にありますが、平成26年は全国で146人の赤ちゃんが亡くなっています。0歳の死亡原因の第3位となっています。中枢性防御反射の未熟性から突然死になるのでないかと言われていますが、原因はまだわかっていないのが現状です。伝染する病気や事故ではなく病気であるということまではわかっています。

 

予防法

 原因がはっきりしていませんが、以下の3つを守ることで起こる可能性が低くなります。

  • うつぶせ寝を避けよう

うつぶせ寝があおむけ寝に比べて、SIDSの発症率が高いという研究結果が出ています。寝かせるときは上を向かせて寝かせてください。寝返りができるようになってくると、途中でうつぶせ寝になる場合がありますが、初めからはうつぶせ寝にしないでください。

  • たばこをやめよう
    両親が喫煙する場合、喫煙しない場合よりSIDSの発症率が高くなるというデーターがあります。妊婦自身が禁煙することはもちろん、妊婦や乳児のそばでの喫煙も避けるよう、身近な人の協力が必要です。妊娠・出産をきっかけに禁煙をお勧めします。喫煙を続けることはSIDS予防だけではなく、お子さんの中耳炎・ぜんそくにかかりやすくなることも明らかになっています。また年々値上がりするタバコを購入するために経済的負担も大きく、その上ご本人の健康寿命も短くなります。この機会に禁煙を考えていただけるとありがたいです。
  • できるだけ母乳で育てよう
    母乳で育てられている乳児は人工乳の乳児と比べてSIDSの発症率が低いと言われています。人工乳がSIDSを引き起こすわけではありませんが、できるだけ母乳で育てるようにしましょう。母乳は人工乳には入っていない免疫(病気を守るお薬)も入っていますし、お金もかかりませんし、お湯なども必要ないので災害にも強いです。他にも母子相互作用などの心理面から見てもたくさんのメリットがあります。

 

他に、男児・早産児・出生体重児に多くみられる。季節は冬季に、時間帯は早朝から午前中に多いということがわかっていますが、過度に心配する必要はなくこのような病気があるということと予防について知っていただくことが大切です。

NPO法人SIDS家族の会(http://www.sids.gr.jp/index.html)をご覧にいただけるとSIDSについての知識がより深まります。

 

参考文献

乳幼児突然死症候群(SIDS)について 厚生労働省

http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/sids.html

乳幼児突然死症候群(SIDS)診断ガイドライン(第2報)

平成9年度厚生省心身障害研究「乳幼児死亡の防止に関する研究」

食卓では栗・柿により彩りが添えられて、外では3歳の娘と一緒にどんぐり・松ぼっくり拾いや遊具で遊んで秋を楽しんでいます。

9月中旬に病児保育事業を行なっている施設が集い、県内で初めて全国病児保育協議会山梨県支部による研修会が行なわれました。実は今夏、全国病児保育協議会山梨県支部の支部長を仰せつかったため、7月に熊本で開催された全国病児保育研究大会の学びを共有しようと急遽計画されたものです。全国病児保育協議会加盟の4つの施設から医師・看護師・保育士らが参加し、研修と共に他の病児保育室職員との交流もでき大変有意義な会となりました。来年は県内各地域の病後児保育室に参加を広げ、これからの子育てには必須となってきた病児・病後児保育事業を盛り上げていきたいと思います。

今月は診断の遅れが指摘されている先天性股関節脱臼についてお話をします。

 

診断の遅れが問題

 先天性股関節脱臼は足の付け根の関節がはずれる病気です。1970年代以前の頻度は乳児の1~2%にみられましたが、予防啓発・乳児健診の普及により現在は10分の1(1000人に1~3人)まで低下してきました。最近、患者数の減少で認識が薄れていることもあり、健診で見逃されることが多くなってきました。

全国の大学病院やこども病院などの施設を対象に2013年に行われた調査では、2年間で「股関節脱臼」と診断された子どもが1,295人で、うち199人(15.4%)が1歳以降に診断され、36人が3歳以上に診断されていました。また、1歳以降で診断された199人はほとんどが乳児健診を受けており、見逃し例が問題となっています。

 治療法は生後3~4か月の乳児健診でみつかれば、リーメンビューゲルというベルト状の装具で治せますが、発見が遅れると入院してけん引・手術が必要になってきます。3~4か月健診に診断できることがベストです。

 

チェック項目

日本小児股関節研究会が作成した「乳児股関節脱臼一次健診の手引き」によると、①股関節の開き具合 ②太ももや股のしわが左右対称であるか ③家族に同じ病気がいる ④女の子 ⑤逆子で生まれたかの5つがチェック項目として挙げられています。股関節の開き具合が悪い場合は2次検診へ、太ももや股のしわが左右対称であるか・家族に同じ病気がいる・女の子・逆子で生まれたかについては、4項目のうち2項目以上が該当した場合も2次検診へ紹介するようになっています。

 

予防法

この病気は「先天性」と名付けていますが、出生時に脱臼していることは少なく、おむつの当て方や抱き方などが影響します。脱臼は足を伸ばすことが問題であるため、赤ちゃんの足は両膝と股関節が十分に曲がったM字型で足を動かしやすくして下さい。おむつ交換の時、足首をつかんで吊り下げるようにして赤ちゃんのおしりを浮かせたりすることや、横抱きのスリングは開脚の姿勢がとれず両足が伸ばされてしまうためお勧めできません。おむつ交換の時はお尻の下に手を入れ腰から持ち上げるようにしてください。抱っこは正面から抱くと両膝と股関節が曲がったM字型開脚ができ、あたかもコアラが木につかまった形であることから「コアラ抱っこ」と呼ばれていて勧められています。一般の方向けにお勧めできる動画とパンフレットがありますのでご活用下さい。

動画http://shirumirumamoru.info/sickness/video02.html

資料www.jpoa.org/wp-content/uploads/2013/07/pediatric3.pdf

 先天性股関節脱臼が疑わしい時は、小児科ではなく整形外科が専門家になります。先月、行われた勉強会で山梨大学附属病院整形外科の先生からの講義を聞きました。困ったら大学の整形外科への受診を勧めていました。診断の遅れがその子の将来に関わってきますので、参考にしていただけたら幸いです。

 

参考文献

乳児股関節脱臼一次健診の手引き 日本小児股関節研究会
www.npa-niigata.jp/150508kokansetutebiki.pdf

 

~インフルエンザワクチン情報~

 先月からインフルエンザワクチンの接種があちこちで行なわれています。今シーズンから従来の3価(A型2種類、B型1種類)からB型が1種類追加され、4価(A型2種類、B型2種類)になり効果が期待されています。ただ、1種類増えたことで製造コスト増により接種料金が高くなりました。     県内では既にインフルエンザによる学級閉鎖も報告されているため、早めの接種をお勧めしています。

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