• げんき夢こども園:055-268-5577
  • げんきキッズクリニック:055-268-5599ご予約はこちら
image

院長コラム

とても過ごしやすい季節になっていてきましたね。

小さなお子さんを持つ保護者は、最近報道で取り上げられているポリオワクチンのことが気になっていると思います。やっと、認可の不活化ポリオワクチンが今秋に始まることに決まりました。さらに来年度から子宮頸がん・ヒブ・肺炎球菌が定期接種化(公費負担)となるそうです。水痘・おたふく・B型肝炎ワクチンも一日でも早く定期接種化していただきたいと強く思います。

今月は身近な病気である「じんましん」について取り上げます。皮膚科が中心でみる病気ですが、小児科でも診る機会が多い病気です。昨年、日本皮膚科学会から出された「じんましん診療ガイドライン」を基にお話します。

 

じんましんとは 

じんましんは皮膚の一部に突然蚊に刺されたような赤いふくらみがでてきて、かゆみを伴うことが多い病気です。多くの場合、数時間程度でおさまります。赤くふくらむ場所は大きさが様々で、いろいろな場所に出たり消えたりします。数日同じ場所に赤みが出続ける場合は、じんましんではなく他の病気が考えられます。1ヶ月以内でおさまる場合を「急性じんましん」、1ヶ月以上続く場合を「慢性じんましん」と言います。じんましんはアレルギーの病気の一部であり、花粉症・ぜんそく・アトピー性皮膚炎などがある方はかかりやすいと言われています。ガイドラインではじんましんの種類を、「特発性」「刺激誘発型」「血管性浮腫」「じんましん関連疾患」の4つに分けています。今回はじんましんに多くみられる、原因がはっきりしない「特発性のじんましん」と食物・薬・日光・寒冷・機械的刺激・運動・汗などが原因で出る「刺激誘発型のじんましん」の2つを取り上げます。

 

一番多いタイプ~特発性のじんましん~

 一番多いタイプは、原因がはっきりせず毎日のように繰り返し症状がでる「特発性のじんましん」です。疲れや感染もきっかけになることもありますが、特に原因もなく出ます。経過が長くなると、何が原因なのかと心配になってきます。慢性じんましんの原因を調べた29の論文を分析したところ、原因がわかったケースが6462人中105人、1.6%でほとんど原因がはっきりしませんでした。特発性のじんましんの場合、原因を調べてもわからないことが多く、特別な検査は必要ありません。

 

治療の中心は、原因があれば除去+抗ヒスタミン剤

 治療の基本は、原因があれば除去をすることと抗ヒスタミン剤を飲むことです。ガイドラインでは、症状が消えてすぐにやめると再発するため、「急性じんましん」では数日から1週間、「慢性じんましん」では1~2ヶ月症状が治まった後も飲み続けるように書かれています。抗ヒスタミン剤は花粉症・アトピー性皮膚炎・アレルギー性鼻炎でも広く使われている薬です。副作用として眠気がでたりしますが、長く飲むことでの薬の蓄積はなく、数ヶ月~数年飲んでも問題ありません。

また「刺激誘発型のじんましん」では、原因となる食品・薬は飲まない、疲れやお酒を飲むと出る場合は体を休める、皮膚がこすれ出る場合は締め付けない服にする、特殊な例として特定の食品を食べ運動して出る場合は、食後の運動を避けるなどの工夫が大切です。

もう少し知りたい場合は、「じんましんってどんな病気?」(http://www2.jaanet.org/guideline/06_jinma/data/02_jinma-k.pdf)にわかりやすく書いてありますので参考にしてください。

 

インフルエンザとおたふくかぜの出席停止期間が変更

今年4月、文部科学省からインフルエンザとおたふくの出席停止期間が見直されました。抗インフルエンザ薬の登場で以前より熱が早く下がり、早めに登校し感染が拡大することが問題となっていました。

そのため、インフルエンザは、従来の「解熱後2日」から「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児は3日)を経過するまで」に、おたふくかぜは「耳下腺、顎下腺または舌下腺の腫脹が発現した後5日を経過し、かつ、全身状態が良好になるまで」に変更となりました。

 

参考文献

日本皮膚科学会蕁麻疹ガイドライン 日皮会誌121(7):1339-1388フォームの始まり

ようやく暖かくなってきました。暖かい日は外で体を動かしたくなりますね。私は仕事場まで自転車で通勤をし、休みの日は家の近くの荒川でランニングをして運動不足解消をしています。

 3年前から月に1度アレルギー専門病院での研修をしながら、今年1月、アレルギー専門医の試験を受けました。先月発表があり、見事合格することができました。県内では小児科医2人目になります。これからも今まで以上にアレルギーの患者さんに最新の医療を提供していきたいと思います。

 今回、「アレルギー専門医」を取得したので、改めてアレルギー全般についてお話します。

 

アレルギーって何?

 アレルギーとは、免疫反応が特定の抗原(アレルゲン)に対して過剰に起こることを言います。アレルギーには、抗体(体が作る免疫物質)やリンパ球の2つが主に関与しています。抗体やリンパ球が正常に働いていれば問題ないのですが、このバランスがくずれると、通常は反応することのないホコリ・ダニ、スギ花粉などに過剰に反応してしまい、目のかゆみ・くしゃみ・鼻水などの症状がでます。これが、アレルギーの症状といわれているものです。

アレルギーのメカニズムがわかってきたことで、過剰に働く部分を抑えるようなお薬の開発も進んでいます。ここ数年でも続々と副作用の少ない効果のあるお薬が登場し、アレルギーの患者さんの治療薬として役立っています。

アレルギーの患者数は現在、世界的に増えています。日本では全人口の30%を超えていると言われています。原因としては遺伝的なことだけではなく、家の構造・衛生状態など環境の影響も考えられており、一つではなく複数の要因があると言われています。先進国や都市部にアレルギーが多いこともわかっています。アレルギーの主な病名としては、ぜんそく・アトピー性皮膚炎・食物アレルギー・花粉症・アレルギー性鼻炎・じんましんなどがあります。

 

「衛生仮説」ってご存知ですか?

 少し難しい話になりますが、約20年前に発表されたイギリスのStrachan博士により提唱された「衛生仮説」という学説が最近注目されています。これはアレルギーの子どもを対象にして調査をしたところ、かぜなどの感染症にかからないとアレルギーの子どもが増えるという結果が出ました。他の調査では「家畜を飼育している農家の子どもの方が環境中のエンドトキシン(=細菌が出す毒素)が多く、アレルギーになりにくい」、「ペットを飼っていた子どもは、ペットにいる病原体と接触する機会が多いため、アレルギーになりづらい」などがあります。感染しないことで免疫を刺激することができなかったり、衛生状態がよすぎることや病原体との接触が減ることが原因で、アレルギーになりやすくなるのではないか言われています。アレルギー症状が出ている方は除いて、多少不潔であることは悪いことではないかもしれません。

 

アレルギーマーチについて

 アレルギーは年齢とともに変わってくることがあります。アレルギーが行進(マーチ)しているように変わっていくので「アレルギーマーチ」と呼ばれています。よくあるパターンとして、乳幼児期にアトピー性皮膚炎を患い、皮膚の症状が落ち着き始めた頃、ぜんそくが発症、学童期にアレルギー性鼻炎になったりします。中には症状がよくなってしまうこともあり、人によって病気の出方は様々ですが、病気が変わってくることが子どもにはよくあります。

アレルギーって、漠然としていてわかりにくい分野だと思います。私も最初勉強し始めた時、わかりづらいと感じていました。インフルエンザの場合の診断は検査キットを使うことで簡単に診断がつきますが、アレルギーの場合、検査だけで診断がつくところまでいきません。検査が陽性だとアレルギーの体質があるということまでしかわかりません。アレルギーの診断は症状や経過・父母のアレルギーの有無を検査結果と合わせて総合的に判断するため、特に境界域の場合などわかりづらさがあるかもしれません。

 

参考文献

臨床アレルギー学(南江堂)

松本健治 衛生仮説とアレルギー疾患の発症 アレルギー2010;59:815-21.

生き物たちが活動し始める春がようやくやってきました。4月から新生活がスタートする方も多いのではないかと思います。新しい出会いもあるでしょう。わくわくしますね。一方この季節でやっかいなのは花粉対策です。私も花粉症で、目のかゆみ・くしゃみ・鼻水でつらい時期です。診断のポイントとしては、目のかゆみがでてきたら可能性大です。抗アレルギー薬の内服・点眼薬・点鼻薬の薬物治療だけでなく、花粉と接触を控える環境整備も大切です。あと1ヵ月でシーズンも終わりますので上手に乗り切りましょう。

3・11から1年が過ぎました。被災地ではがれき処理が放射能汚染の危険から手付かずのままです。また、避難している人が多数いて、原発の廃炉へのステップもまだまだ先が見えておりません。この1年でどの程度、復興したのでしょうか?復興や原発のことを自分のこととして受け止め、自分たちに何ができるかを常に考えていく必要があると思います。

今月はみなさんがよく知っている「突発性発疹」についてお話します。

 

突発性発疹とは?

生まれて初めての熱である場合が多く、突然高い熱が3日前後続き、解熱後、背中・お腹を中心に発疹がでてきます。発疹は赤く盛り上がらず、かゆみがありません。熱は通常3日前後ですが、5日も熱が続く時もあります。咳や鼻水はなく、発熱時は比較的機嫌がよいのですが、発疹時は逆に機嫌が悪く、親を心配させる時もあります。かかりやすい年齢は生後6カ月から1歳までがほとんどです。6ヶ月未満や2歳過ぎてかかる場合もあります。インフルエンザのような流行時期はなく1年中かかります。潜伏期間は約10日で、感染経路は母親などの大人からうつります。

診断は発熱時では確定できず、迅速検査もないため、解熱後の発疹で診断ができます。治療は原因がウイルスであり、抗生剤は効きません。かゆみがないため発疹に対しては軟膏も必要ありません。発疹がでているときは機嫌が悪いので、発疹が消えて食欲や機嫌がもどってから通園するようにしてください。

 

2度かかりますか?

 突発性発疹の原因ウイルスはヒトヘルペスウイルス6型・7型の2種類あります。1度かかる場合が多いのですが、一部のお子さんは2度かかります。1度もかからない場合もありますが、かからないことで心配する必要はまったくありません。

 

重症化することはありますか?

突発性発疹は熱がでて、発疹が消えるまで全体で1週間かかり、重くない印象をもっている方が多いと思います。しかし4~5日熱が続き、発疹時に機嫌がかなり悪くなり心配したり、熱性けいれんを合併したり、まれには脳炎・脳症が発症します。一番心配なのは後遺症の恐れもある脳炎・脳症の場合です。最近の全国調査では子どもの脳炎・脳症になりやすい病気で1番多いのがインフルエンザ・2番目は突発性発疹でした。突発性発疹にかかることで重症化するケースがあることを知ってください。

 

夜中の子どもへのかかわりについて

朝まで一度も起きない赤ちゃんも少数はいますが、多くは2~3度起きてママが対応していると思います。夜は横で旦那がいびきをかきながら寝ていると頭に来ることもあるでしょう。母乳の場合は座って授乳せず、寝ながら添い乳で十分です。夜間は母も寝ぼけながらの対応でOKです。

また、夜しっかりと起きてしまい遊びだすお子さんへの対応は、しばらくほっておくことが一番です。夜は真っ暗にして、寝てください。しばらくするとお子さんもあきらめて寝ます。親も一緒になって明かりをつけて起きることは昼夜逆転するのでお勧めできません。夜眠れなかったからと昼間に寝ているときにカーテンをして暗くしたり、掃除機をかけずに静かにしている場合もありますが、昼間は明るくして生活音は気にしないでください。

 

参考文献

国立感染症研究所 感染症情報センターホームページ:突発性発疹 2003年第28週号 http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k03/k03_28.html

小児の急性脳炎・脳症の現状:ウイルス Vol.59 p59-66, 2009

豪雪や低温注意報など、例年にない厳しい冬が終わろうとしています。3月は園や学校で卒業(園)式が行われ、別れの時を迎えます。うちも小6と中3の2人が卒業式です。お世話になった先生方には感謝の気持ちでいっぱいです。

昨年11月からロタウイルスワクチンが始まりました。早くも名古屋市がこのワクチンの半額助成を決定しました。まだ県内で助成をしていただける市町村はありませんが、県内で助成への動きが出てくることを願っています。

 今月は自動体外式除細動器(AED)についてお話します。昨年8月にサッカー元日本代表の松田直樹さんがサッカーの練習中、倒れてしまい急性心筋梗塞で亡くなりました。その練習場にAEDがあれば、命が助かったかもしれないと言われています。

 

AEDって何?

 Automated External Defibrillatorの頭文字をとったもので、自動体外式除細動器と言います。心室細動という心臓がけいれんした状態になると、血液を体に送れなくなり、この器械を使用することで心臓に電気ショックを加えて、再び心臓の動きを元にもどします。2004年7月から、医療従事者だけでなく一般市民にも使用が可能になり、最近、駅や学校などの公共施設を中心に設置されるようになっています。皆さんも目にしたことがあるのではないかと思います。私も子どもの中学校駅伝関東大会で選手の最後尾を走っているスクーターに搭載してあったのが印象的に残っています。

 

早く使用!

一分一秒を争う時間との勝負です。倒れて1分後にAEDを使用すれば、9割が救命されますが、9分後には、わずか1割しか助かりません。1分遅れるごとに救命率が1割ずつ下がってしまいます。救急車が来る前に私たちがAEDを使用することで助かる命があることを知ってください。

 

AEDの使い方は簡単!

AEDを初めて使う人でも安心して使用できます。音声で使い方を指示しますので言われたように操作すればいいのです。電極パッドを胸に貼り、ボタンを押すだけです。もし心臓が動いていれば、ボタンを押しても電気が流れないようになっています。大人だけでなく子ども用もあり、1歳以上なら使用できます。

 

心臓震盪(しんとう)って知ってますか?

2007年4月、高校野球の試合中に投手の左胸にボールが直撃し、心臓震盪を起こし倒れましたが、AED によって救命されました。心臓震盪とは胸に何らかの衝撃を受けて心臓麻痺を起こし、そのまま心停止して突然死の原因になります。野球だけでなく、サッカーなどのスポーツを行っている時にも起こります。胸にボールなどがあたり、倒れた場合はAEDを使用して下さい。また練習や試合会場などでは、どこにAEDがあるのか確認しておくことも必要だと思います。

 

倒れた人が意識も呼吸もない場合、どうすればよいか?

日本蘇生協議会の蘇生ガイドライン2010によると、倒れた人が意識も呼吸もない場合の対応は以下のようになっています。

1.大声で叫び応援を呼び、119番通報、AEDを依頼する

2.ただちに胸骨圧迫を行う(強く速く)

3.AEDが来たら、AEDを使用する

従来の蘇生法で言われていた人工呼吸と気道確保は慣れない人はしなくてよいことに変更されています。人工呼吸に時間がかかり、大事な「胸骨圧迫」をしっかりとして救命率を高めるねらいがあります。

「AED」と「胸骨圧迫」を覚えてください。アメリカ心臓協会のTVコマーシャルhttp://www.youtube.com/watch?v=n5hP4DIBCEE&feature=player_detailpage)では「まず救急へ通報、次に胸の真ん中を強く速く押す」ように宣伝しています。

参考文献

財団法人日本心臓財団ホームページ(http://www.jhf.or.jp/

日本蘇生協議会(JRC)JRC蘇生ガイドライン2010

 

~パパは立ち会い分娩に寄り添うべし~

 今は男女平等の時代で子育てをパパとママで一緒にした方がよい家庭を築けるのではと思います。私も4人の子どもの出産にすべて立会いました。妻も望んでいましたし、私も立ち会ってよかったと本当に思っています。出産という大きな仕事を共に経験し、妻と苦しみや喜びを共有することはとても大切なことです。パパとしての一歩が始まるきっかけになります。子どもとの出会いは言葉では言い表せない感動的なものです。

 

本格的な寒さがやってきました。今シーズンのインフルエンザは近年になくゆっくりと到来し、年明けから流行が始まってきました。学級閉鎖のニュースも入ってきています。また小さなお子さんがかかると重症化しやすいロタウイルスによる胃腸炎も流行してきます。お子さんの体調管理にご注意ください。

新年2日、自分の子どもの応援で甲府市里垣地区新春マラソン大会に行ってきました。当日参加ができたため、40歳代男子の部(4km)で走りました。結果は23分27秒。少し無理しながらも走りきり、ケガすることなく無事完走できました。学生以来のマラソン大会参加はとても楽しかったです。応援以上に参加する醍醐味を味わいました。

また、8日にはコラニー文化ホールで開催された小出裕章さんの講演会「子どもの未来のために知ってもらいたいこと」を聞きに行って来ました。小出さんは原子力の専門家であり、福島第一原子力発電所の事故や放射能に関しての話でした。今後、私たちが生活していくうえで知っておくべき大事な事を教えていただけました。今回の原発事故での放射能の広がりを考えると、山梨の近くには、新潟県や静岡県に原子力発電所があり、他人事ではないことを思い知らされました。

 

乾燥注意報での対応法

 今シーズンは雨が少なく、例年以上に乾燥が続いているそうです。子どもの肌は大人と比べ乾燥に弱く、カサカサな肌になりやすいです。ひどくなると赤く盛り上がってきて湿疹になり、かゆみを伴い、さらにひどくなると掻いて血が出ます。対策としては、保湿剤の使用が一番大切です。保湿剤はお風呂上がりに肌が潤いのあるうちに塗って下さい。よく皮膚を掻いてしまうお子さんの場合は爪を切っておき、睡眠時は手袋を使用し爪で掻かせない工夫も一法です。湿疹になると、保湿剤だけで治らず、ステロイド軟膏を使用すると1~2日で治ってきます。ステロイド軟膏を短期間使用することでは副作用を気にする必要はありません。かゆみがひどい場合は抗ヒスタミン剤を飲むこともお勧めです。

 もう一つ、インフルエンザウイルスは寒くて乾燥している環境を好みます。加湿器を利用し部屋の湿度(50~60%)を上げると、インフルエンザウイルスに罹患しづらくなります。

 

被災地へ

昨年4月、医療ボランティアに参加して以来の被災地訪問でした。年末年始を利用して2か所に訪れました。1か所目は岩手県山田町。私の妻が昨年5月に保育士と一緒に、避難所の子どもたちに保育ボランティアをさせていただいたときに、たいへんお世話になった山田町の保育園園長と再会をしました。その園長は保育園が高台にあったため園舎は被災せず、そのため地域の避難所になり、責任者としてたいへんなご苦労をされました。3・11直後はトイレがなく、裏庭に穴を掘って便所代わりにしたこと、電気がなくロウソクで生活をしていたこと、全国から自衛隊・警察・ボランティアの多くの助けや支援物資のおかげでたいへん勇気づけられ、感謝していることを聞いてきました。避難所生活が一緒だった男性も再会に駆けつけていただきました。この方は家も流され、お兄さんも津波で流された境遇でありながらも、前向きに生きている姿を私たちに見せてくれました。

2か所目は宮城県気仙沼市。病院へ医療物資を届けに行きました。この病院は津波が押し寄せ、1階部分が壊滅的な状態になりましたが、現在は補強工事を終え病院診療を続けていました。

 また、山田町から気仙沼市に行く途中、多くの犠牲者がでた南三陸町の防災対策庁舎を訪れました。この庁舎では津波が来ることと高台に避難することを放送し続けていた役場の多くの方が津波に流された所でした。現在は庁舎の鉄筋部分だけが残っていて、たくさんの献花や折鶴があり当日も多くの方が焼香に訪れていました。

今回、何人かの被災者と話を聞く貴重な経験をさせていただきました。皆さんが前向きに生きていること、全国からの支援に感謝をしていることを肌で感じてきました。復興は少しずつ進んでいるようですが、まだまだがれきの山がたくさんあり、壊れた建物がまだ撤去されていない所も多々ありました。多くの仮設住宅もあって、以前の暮らしに戻る日はまだまだ先のように思えました。今後も自分のできる範囲での関わりを持っていくつもりです。

ページトップ