平成23年10月号(Vol.78)
最新の予防接種情報 Part2
運動会が開催される心地よい季節がやってきました。子どもたちのがんばっている姿をみることで、親は子どもの成長を感じますね。
先日、「僕と妻の1778の物語」のDVDを観ました。感動で涙があふれました。突然、妻が不治の病になったら夫はどのように対応しますか?実際あった話を映画化したそうです。人生80年、どんな人生をみなさんは歩みたいですか?私は42歳になりました。マラソンに例えると折り返し地点を過ぎたところです。自分は悔いのない日々を過ごしながら、子ども以上に妻と一緒に人生を楽しみたいと思っています。子育てで忙しい毎日だと思いますが、夫婦一緒にぜひ観ていただきたいです。子どもが生まれる前、自分たちはどんな夫婦像を持っていたのかを振り返る良い機会になるかもしれません。
今月は先月に引き続き、最新の予防接種についてお話します。
新しい子宮頸がんワクチンが登場!
ちょうど2年前、子宮頸がんワクチンである「サーバリックス」が登場しました。全国的に公費負担で接種ができるようになった影響で、サーバリックスが不足し、最近になってようやく接種が再開されました。
先月からサーバリックスに加えて、もう1つ「ガーダシル」というワクチンが使用できるようになりました。両ワクチンともにヒトパピローマウイルスの16型、18型の2つのタイプを予防しますが、「ガーダシル」はさらに6型と11型のタイプも予防することで、尖圭(せんけい)コンジローマという陰部にイボができる良性の病気なども防ぐことができます。
厚生労働省が自治体向けにこの2つのワクチンを説明した文章(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/pdf/news_qa.pdf)
がありましたが、効果の違いに関しては述べていません。普通に考えると4種類も入っている「ガーダシル」の方がよい印象がありますが一概に言えないようです。接種する時は、かかりつけ医と相談して決めてください。早く国や学会レベルでしっかりとしたコメントを出していただきたいと希望します。現在、9種類入る子宮頸がんワクチンも開発中のようです。ワクチンの進歩に期待をしたいです。
子宮頸がんはがんの中で唯一ワクチン接種により予防できる病気です。原因がヒトパピローマウイルスで、ワクチンを接種することでこのウイルスにかからないようにし、がんの発症を防ぎます。ただし、ワクチンの効果は7~8割しかないため、定期的な検診がとても大切です。最近、20~30歳代に発症する方が増加し問題になっています。検診も同じくらい大切です。決して忘れずに!
来月、ロタウイルスワクチンが登場!
胃腸炎には、乳幼児が重症化しやすいロタウイルスがあります。なんと、ロタウイルスに対するワクチンが来月、使用できるようになります。胃腸炎は冬の始めにノロウイルスによる胃腸炎が流行し、その後にロタウイルスが流行します。ノロウイルスよりもロタウイルスの方が重症になりやすく、特に0~1歳のお子さんがかかると入院することもしばしばあります。5歳までにほとんどのお子さんがかかると言われています。発症すると抗生剤は効かず、特効薬もなく対処療法のみとなります。けいれん・脳炎・脳症などの重い合併症が起こることもあります。
ロタウイルスワクチンは、8割の予防効果があり、また重症化を9割防ぐと言われています。つまり重症化を防ぐことで、入院や点滴を避けられます。このワクチンは生ポリオワクチンと同じく、生ワクチンで飲むタイプです。生後6ヶ月までに4週間をあけて2回飲むのが基本になります。まだ、公費負担の話はでていないので、実費になるのではないかと思います。価格や年齢などの詳細はまだ未定です。ロタウイルスワクチンを接種して病気を守りましょう!
参考文献
ロタウイルスワクチン Vol.28 p 302-302:2007年10月号
http://idsc.nih.go.jp/iasr/28/332/fr3322.html