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院長コラム

いじめ問題

小児科医から最新の医療情報と県内の子どもにまつわる情報をお伝えしております。
この内容は、県内子育て情報誌「ちびっこぷれす」の「午後10時、クリニックにて…〜おほしさまの先生からの子育て応援”談”!〜」に掲載されています。

 令和6年能登半島地震により、お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された皆様に謹んでお見舞い申し上げます。地震の翌日はJAL機炎上事故があり平穏とは程遠い年明けとなりました。先日小学生が受診時に「地震後から、次の地震がいつ来るのか心配になっていて、物が動いたりすると心配になってしまう」と相談に来ました。親御さんには安心するために「大丈夫だよ」という声掛けをすること・地震の映像を見させないこと・地震の話をしないようにと伝えました。

年末年始は実家に帰って親に会ったり、旧交を温めたりした人が多かったと思います。うちは家族7人が年末、久しぶりに全員で会うことができ、お互いの近況を伝えあうことができました。兄弟5人で絵しりとりやトランプをして、盛り上がっていました。

 先月に引き続き、発達障害について今月もお伝えしたいと思います。私たちが子どもの頃、発達障害という言葉はありませんでしたが、現在は認知が広がっています。親だけでなく、発達障害の子が過ごす園・学校の関わりも大切です。今月は上手に学校と連携しながら、お子さんが過ごしやすい環境づくりについてお話します。

 

発達障害の子が学校に行く意味とは?

 発達障害の第一人者である本田秀夫著「学校の中の発達障害」1)の中で、「学校は社会に出ていくための土台をつくる場所」と述べています。私自身、学校は勉強すること以上に大切なのは学校での友達を通して人間関係を学ぶ場であると思います。しかし、子どもたちだけでは問題解決できない場合もあるので、教師や保護者が仲立ちをして、その子たちの成長を助けていく役割があると考えます。失敗した時は、子どもの話に耳を傾け、共に悩み、解決策を提案していくような関わりを意識することが大切です。

 

発達障害の子に学校へ行きたくないと言われたら

 学校へ行きたくない・頭痛や腹痛、気持ち悪いなどの訴えがあった場合、無理やり登校させるだけでは問題の根本的な解決にはなりません。子どもと向き合ってまず話を聞くことが早道です。きっと困っていることがあります。

いじわるをする友達がいる・仲間外れにされた・給食の時間が完食できないなど、様々な悩みを持っています。発達障害の子はこだわりが強かったり、コミュニケーションが苦手だったりといった特性があるため、普通の子どもより訴えてきます。

聴覚過敏のある子では音に対して敏感で、教室で休み時間に生徒通しでざわつく状態が普通の人の何倍も大きな音に聞こえてしまうため、教室に居ることができず、ストレスをかかえる場合もあります。こうした場合は、休み時間には図書室など静かな場所で過ごすことや、授業中もしんどいときに別室で休息すること等についても学校側と相談をしてもよいと思います。

 宿題が負担で腹痛・頭痛など体に支障がでる場合もあります。発達障害の子は学習障害がある場合があり、苦手な教科の宿題を出されると、できないことで大きなストレスをかかえます。宿題をこなすことで体に負担がかかり、学校へ行けなくなるのは本末転倒です。宿題の量や内容についても、親が子どもの代弁者になって調整していくことが必要だと考えます。家に帰ってきたら、子どもたちは学校での生活で疲れているので、しっかりと体を休む、リラックスするとよいでしょう。発達障害の子は放課後等デイサービス(放デイ)の利用もお勧めです。放デイではスタッフがお子さんの特性にあった関わりをするため、運動や宿題に関わってもらえます。

 

特別支援学級の勧め

 先ほどの述べた著書1)の中に、小学校入学で通常学級か通級や支援級にするか迷った場合は、小1から通級や支援級に在籍することをお勧めしています。理由としては通常学級に在籍した場合「自分は失敗した、がんばらなかった」という挫折感を味わうトラウマ体験を経験することがない方がよいことと、学級を変更するには次年度、つまり1年待たねばならないことの2つの理由を挙げています。まず、そのことを踏まえて、親子で事前に見学などで情報収集し、子どもにとって過ごしやすい学級を選んでいただきたいと思います。

 

不登校になったら

不登校になった場合は学校の関与も少なくなってしまい、親主導になりがちです。親だけで対応するのはお勧めしません。学校さらに医療機関にも相談をして、子どもの居場所を家庭のみにせず、家庭以外の居場所(フリースクールなど)を探しましょう。親以外の方との触れ合いは子どもの成長に役立ちます。

引きこもることで、ゲーム漬けになり、昼夜逆転、人間関係の学びも得ることができず、体を動かさないことによる体の不調も加わります。親はやがて老いるため、親亡き子の将来も考えることが大切です。

 

参考文献

1)学校の中の発達障害 SB新書 本田秀夫著

 今年は本当に暑い夏でしたね。昼間外にでると、「暑い」を通り越し、「痛い」と感じたのは私だけではなかったと思います。暑さのため、うちの娘とプールに行くことが多く、娘がプールの中を生きのいい魚のように楽しそうにバタバタと泳ぐ姿が愛らしく夏の思い出となりました。
 今月は「いじめ問題」について考えたいと思います。先月、NHKで「自殺の主要な原因はいじめ」についての報道番組を観ました。番組では2年前に青森市中学2年生女子が列車に飛び込み自殺したケースを取り上げていました。その生徒の遺書には「もう耐えられません。いじめてきたやつら、自分でわかると思います。二度としないでください。」と書かれていたそうです。いじめ事件の報道はその後も絶たず、報道のたびに心が痛みます。

自分の子は大丈夫ですか?

 「いじめはだめ!」と簡単には言えますが、大人の社会も含めていじめがないようにできるかと言えば、そう簡単ではありません。ましてや、思春期のお子さんは大人よりまだまだ未熟であり、精神的にも不安定な時期でることも影響していじめをゼロにすることはなかなかできないと思われます。表面的にはいじめとは無関係と思われるような明るい子どもでもいじめは起こると言われています。うちの子どもは大丈夫とは思わず、日頃からお子さんとコミュニケーションを取り、いつもと何か異なる様子に気づいてあげることが大切なのは言うまでもありません。日頃から親が子どもに寄り添い、さりげない会話を心かげることでその変化に気づくことができます。また、そのような親子関係を築くことで子どもからSOSが出しやすい環境にも繋がります。大切なことは、親が子どもの一番の良き理解者であるということを伝えておくことです。子どもに対して恥ずかしい・言わなくてもわかっているから・・等と思わずに、「学校や他の誰もが反対しても、私はあなたの味方だよ」と言葉に出して伝えてください。

学校へ行かなくてもいいんだよ!

 内閣府の調査によると、過去42年間の統計で9月1日が計131人、続いて4月11日が計99人と新学期スタート時に自殺者が多いことが明らかになっています。これは学校生活の再開と関連があります。子どもはいじめや教師との不和などの理由で学校へ行くことへの不安が強くなることがあります。子どもが学校に行かなくなると社会から取り残されると考える親は昔よりは減ってきています。しかし、大多数の親は「少し無理をしてでも学校へ行ってもらいたい」と願っています。こういった思いは子どもに伝わります。子どもは大人と違って選択肢が少なく、家と学校のみになりがちですが、最近ではフリースクールも増えてきました。お子さんが「学校へ行きたくない」と言ってきた場合、「学校へ行かない」・「仲間が合わなければ転校する」などの選択肢があることを子どもに伝えることが自殺予防につながります。
 私の診療経験でも小中学生で腹痛や頭痛を訴え受診したとき、風邪や胃腸炎が除外された場合、ゆっくりと話を聞くことを意識しています。痛みの原因が学校関連であれば、登校を焦らず、ゆっくり休むことをアドバイスしています。日本の社会では同じ方向(地区で決められた学校へいくこと)へ進まないといけないと考えがちですが、「みんなちがってみんないい」とその子にあった場所を親が一緒になって見つけることが大事です。生命よりも大切なものはありません。目の前に元気な子どもがいるとそれが当たり前に思えて、もっと勉強してほしい・もっと○○になってほしいと子どもに対して欲が出てきてしまうものです。しかし、少し前お腹にこの命を宿ったとき、無事生まれてきてくれさえすればそれでいい・・と願っていた頃を思い出してください。「学校を少し休んでも、勉強が遅れてもまずは大切な子どもが生きていてくれる」そのことが何よりも大切なことです。少し休めば次の一歩が考えられます。ぜひ親子に与えられた長い夏休みと考えて、向き合っていただきたいと思っています。私も小児科医の立場から応援します。
 なお、親子が相談できる窓口として「生きづらびっと」・「チャイルドライン」・「24時間子どもSOSダイヤル」・「登校拒否・不登校を考える全国ネットワーク」・「いのちの電話」・「子どもの人権110番」があります。1人で悩まずいろんな大人と一緒に考えましょう。

参考文献

ストップいじめ!ナビ http://stopijime.jp/


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