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院長コラム

トイレットトレーニング

小児科医から最新の医療情報と県内の子どもにまつわる情報をお伝えしております。
この内容は、県内子育て情報誌「ちびっこぷれす」の「午後10時、クリニックにて…〜おほしさまの先生からの子育て応援”談”!〜」に掲載されています。

 

 今年は例年になく、梅雨が長く続きました。本格的な夏が始まると熱中症の報道が多くなります。体調を崩さずに花火大会・海や山へ出かける夏を楽しんでくださいね。うちは例年通り花火大会の予定を立てて、合わせて大学生の息子たちが帰ってくるので家で出迎えたいと思っています。

ところで『ヘアードネーション』って言葉知っていますか?小児がんや先天性の脱毛、不慮の事故などで頭髪を失った子どもたちのために、寄付された髪の毛でウィッグ(かつら)を作り無償で提供する活動で、いくつか活動している団体があります。実はうちの妻が最近この活動をしていて、2回目の寄附をしました。31㎝以上の髪の寄附で、フルウイッグができるのですが、15㎝以上でも髪の毛付インナーキャップウイッグが作成できるということで受付している団体もあります。うちの長女も昨年度協力しています。子ども用のウィッグは高価(30~50万円)であるため家計の負担がかかります。こうした試みが広がってくることを期待します。

 先月、昭和大学小児科教授池田裕一先生の講演会でトイレトレーニングについて専門家からのお話を聞いてきましたので皆様にお届けします。

 

始める時期は?

 トイレトレーニングを開始する時期は一般的には2~3歳がお勧めです。2歳前に開始すると、体に無理な負担をかける可能性があり、おむつ外れが遅くなることがあります。腎臓で作られたおしっこが膀胱にたまると、その信号が脊髄を通って大脳に伝えられ、尿意を感じます。大脳がおしっこをためるか出すかの判断をして、出すとなれば大脳から膀胱に指令が伝わり膀胱を収縮させて出し、大脳がおしっこを我慢するという信号を送れば、尿道をキュッと締めておしっこを我慢します。おしっこを出したり我慢したりができるようになるためには、大脳機能が発達してくる2歳くらいまで待つ必要があります。年齢だけでなく「おしっこの間隔が2時間空くこと」も指標になります。周囲の人の意見に惑わされずに、お子さんの発達を確認しながら始める時期を決めることが大切です。

 

トイレトレーニングのポイント

まずは、絵本や親が実際している所をみせて、お子さんにトイレの使い方をみてもらいましょう。次にお子さんをトイレに誘って便座に座って体験してみます。トイレでいきなりは難しければ、おまるや補助便座で座れるといいです。すんなりとできればいいですが、いろいろと問題がおこります。1度できてもまたできなくなることもあります。気長に対応し決して怒らず、ほめてあげてください。少しでもできたらほめるということは今後の子育てにも役立てることができます。トイレの狭い空間や流れる水の音、水自体をいやがる場合もあるので、トイレでできないようなら、居間におまるを置いて使用してみるのもよいでしょう。ある程度、成功することができたら、昼間はパンツに履き替えていきましょう。

下の子の誕生等、環境が変わると、進んでいたトイレトレーニングがうまく行かないことがあります。そういった場合はしばらく休ませてあげることも大切です。周りのお子さんとの比較をしがちですが、個人差がありますのであせりは禁物です。ただし、4歳すぎてもトイレトレーニング完了しない場合は尿路感染症、過活動性膀胱(おしっこを我慢できずトイレに行く前にもらしてしまう)などが原因のこともあるので、かかりつけの小児科医に相談をしてください。

 

夏休み明けの注意点!

 内閣府の調査では過去42年間の統計で9月1日が自殺者の一番多い日であることがわかっています。夏休みが明けて子どもたちは学校へ行くことへの不安が強くなり、中には学校が始まる2~3日前から頭痛、腹痛などを訴えるお子さんもいます。切り替えが苦手なお子さんの場合は特に気をつけてください。お子さんの気持ちに寄り添いながら、集団登校で行くことが難しければ、子どもと一緒に校門まで行ってもいいし、少し遅れていくのもいいし、不安が強ければ休ませてもいいよと伝える懐の広さを持つことで、子どもたちは安心します。子どもたちは親の期待に添いたいし、学校へ行かなければいけない、勉強しなければいけないということは充分にわかっています。昨今の引きこもりのニュースを多々耳にすることで、このまま怠け癖がついてしまうのでは・・と親が不安になり、何とか学校に送り出そうとすると、問題が長引くことがあります。まずは子どもの不安を理解しようと対応することが大切で、その思いは必ず子どもに届きます。

 

参考文献

「おしっこトラブルどっとこむ」ホームページhttps://www.pee-trouble.com/

今年は10月に入っても夏日が続き、やっと秋が深まってきた感がありますね。みなさんいかがお過ごしですか?我が家は最近、家族でボウリングに行き楽しめるようになってきました。最近のボウリングは小さい子でもガターにならないようなしくみもあって、小2の坊主(本当に坊主です)も楽しめます。中学生の2人は何度か行ったことで上達してしまい、私よりうまくなりつつあります。負けるようになったら教室に通おうかと真剣に考え始めています。
今月はこの夏に参加した全国病児保育研究大会での夜尿の専門家である帆足英一先生の「おむつはずれとおねしょ」という講演会を基にしました。この講演で無理なトレーニングでおむつをはすずのではなく、子どもの発達の流れでおむつが自然にはずれていくこと、親子共にこにこしながらおむつがはずれていくことが大事だと述べていました。演者が書いた「やさしいおむつはずれ」(赤ちゃんとママ社)の本も参考にしながらトイレットトレーニングについてお話しします。

 

いつごろ始めたらいいか?

1歳代でトイレットトレーニングを始めると完了するまで1年以上かかることもありますが、2歳から2歳半で開始すると短期間でオムツがはずれるというデーターがあります。早く始めると思うように進まず、親子の関係が悪くなることも気になります。2歳から2歳半で始めるのが一つの目安です。
始めるポイントとしては、ひとりで歩くことができる、言葉が理解できる、いくつかの言葉が話すことができる、おしっこの間隔が2時間ぐらいになるなどといった発達が見られたらスタートです。2時間ぐらいおしっこをためることができるということは、無意識でもおしっこをがまんできるようになっていることになります。遅くとも3歳半までにはスタートしていだきたいです。
トイレットトレーニングを進めるポイントは、①チー(おしっこ)出る感覚 ②チー見る感覚 ③チー聞く感覚の3点と言われています。これは、失敗しても成功してもチーが出た感触を体験することが大事で、親(大人)が「チーが出たね」と声をかける、最後に、チーをみて目から覚えてもらうという3つの感覚を体験させるということです。失敗しても、怒らず対応してください。これらの経過を経て誘ったときに出る確率が7割以上になったら、布パンツにしましょう。布パンツにして、誘わないで成功してきたら完了です。安定するには1~2ヶ月かかります。

 

あせりは禁物

「うちの子はもうおむつとれたよ」などと聞くと、トイレットトレーニングをしなければとあせってしまったり、急ぐあまり怒る回数が増えたりすることで、親子関係がよくなくなることもあります。2歳は自己中心的な面が見られてくる子育ての悩みの多い年齢です。この年齢でトイレットトレーニングもするのですから、親御さんの負担もたいへんだと思います。おむつははずすものではなく、はずれていくものです。焦らず、怒らず、お子さんの発達に合わせて排泄が自立するのを待ちましょう。一旦成功しても失敗が重なったり、下の子が生まれて赤ちゃんがえりがあってうまくいかなかったりしたときは、一時休むのも大事なことです。

 

おねしょとトイレットトレーニングは別物

トイレットトレーニングは子どもの発達に合わせてトレーニングをすることで身につけていくものですが、おねしょは本人の努力やトレーニングでよくなるものではなく、膀胱の大きさや寝ているときの尿量が影響して起こります。小学生になってもまだおねしょが続く場合はかかりつけ医にご相談ください。おねしょの生活指導で大事な3原則は「起こさず、あせらず、おこらず」です。

 

~インフルエンザのお知らせ1~

昨年は新型インフルエンザで大騒ぎでしたね。今のところ、まだ流行はしていませんが、毎年必ず流行しますのでご注意ください。今年は新型がでてくるかわかりません。新聞やテレビの情報が一番早いと思います。予防接種については、昨年はインフルエンザワクチンを季節型と新型の両方を別々で接種したのでたいへんでしたが、今年は新型と季節型が一緒に入っていますので、大人は1回、12歳以下は2回となります。効果は5~6ヶ月しかないので、今年も接種してください。1~2歳の小さい子ほどお勧めします。


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