小児科医から最新の医療情報と県内の子どもにまつわる情報をお伝えしております。
この内容は、県内子育て情報誌「ちびっこぷれす」の「午後10時、クリニックにて…〜おほしさまの先生からの子育て応援”談”!〜」に掲載されています。
小児科医から最新の医療情報と県内の子どもにまつわる情報をお伝えしております。
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2013年もあと残り1カ月となり、締めの月になりました。年末を控え、仕事・園の行事・クリスマス・忘年会など忙しいのではないでしょうか?小児科は年間で病気による受診が一番多い月でインフルエンザワクチンも加わりさらに忙しくなります。10月末に行われた八ヶ岳ロードレースのハーフマラソン(21km)に初めて挑戦しました。紅葉をみながらアップダウンのあるコースを楽しみながら1時間59分で無事完走できました。健康のためにこれからも細々とランニングを続けていきたいと思います。今月は病気と同じレベルで考えてほしい「子どもの事故」についてお話します。
日本小児科学会の報告によると、昨年、生後6か月のお子さんを大人用ベッドに寝かせていたところ、床に落ち、首にブラインドのひもが絡まり、窒息死した事故がありました。こうした事故は今までも起きていて、2007~2013年に6件発生しています。東京都の調査によると、子どもの首にブラインドやカーテンのひもがかかったり、かかりそうになったケースが子育て家庭の約3%発生していたそうです。都は協議会を設置し、新たな規格づくりを検討していくそうです。昨年にはすでに「ひものないブラインド」が商品化されていて、事故を予防できるものも現れています。小さいお子さんがいるご家庭ではブラインドやカーテンのひもが首にかからないように、ひもを短くし、首にかからないようにしましょう。窒息の場合は数分気づかないと命にかかわることがあります。
病気は「防ぎようのない」ことが多いのですが、子どもの事故に関しては今までの事故の経験から未然に防ぐことができます。よく事故が起こると親が目を離していたばかりと言う話を聞きますが、ずっとお子さんの様子をみていることはできません。例えば、溺水はお風呂の残り湯を貯めていて、そこに子どもがおぼれるケースがあります。私が大学病院で働いていた頃のこと、1歳のお子さんがおじいちゃんの家で遊んでいて、こどもの声がないのでおかしいと思い、探していたところ浴槽でおぼれており、救急車で運ばれてきました。来院したときはすでに心臓も動いておらず、つらい経験をしました。残り湯を貯めていなければ溺水は起こらないように、目を離しても事故が起こらないような環境づくりが大切であると思われます。また、日本小児科学会では、子どもの事故例をホームページ上(http://www.jpeds.or.jp/modules/injuryalert/)に掲載してあります。スーパーボールによる窒息・浴槽用浮き輪による溺水・子守帯(スリング)内での心肺停止などのケースが報告されています。
子どもは大人に比べて頭が大きく重心が高いため転倒しやすく、階段から落ちる・段差で転ぶ・ベッドから落ちるなどのケースがあり、階段には柵をつける・段差をなるべくなくす・テーブルの角にはガードをするといった対策が大切です。やけどは、アイロン・電気ポット・ストーブ・熱い飲み物が原因であることが多いため、アイロンや電気ポットを下に置かない・ストーブは囲いをする・テーブルの隅に熱い飲み物を置かないなどの工夫が必要です。
子どもはなんでも口にしますので、たばこ・コイン・ボタン電池・化粧品・洗剤・薬などは子どもの手が届かない高さ1メートル以上のところに置きましょう。ピーナッツなどの豆類は気管支に入り呼吸が苦しくなったり肺炎になる場合がありますので与えないでください。
家庭外で起こる子どもの事故は交通事故が大半です。交通事故後クリニックに問い合わせがありますが、しっかりチャイルドシートをしていたこともあり、後遺症を残すケースはほとんどいません。車に乗せるときは必ず「シートベルト」をして、自転車に乗せるときは「ヘルメット」をかぶせましょう。
気をつけていただきたいことはまだたくさんありますが、主なものだけ紹介しました。大切なわが子を事故から守ることができるのは親であるみなさんです。
長時間テレビやビデオをみている子どもに発達の遅れや表情が乏しいケースがみられ、日本小児科学会では2歳以下のお子さんにテレビをみさせないようにと提言されています。うちの子も今1歳になりますが、極力テレビをつけないようにしています。絵本を見たりや鬼ごっこをしたりしながら過ごしています。