小児科医から最新の医療情報と県内の子どもにまつわる情報をお伝えしております。
この内容は、県内子育て情報誌「ちびっこぷれす」の「午後10時、クリニックにて…〜おほしさまの先生からの子育て応援”談”!〜」に掲載されています。
小児科医から最新の医療情報と県内の子どもにまつわる情報をお伝えしております。
この内容は、県内子育て情報誌「ちびっこぷれす」の「午後10時、クリニックにて…〜おほしさまの先生からの子育て応援”談”!〜」に掲載されています。
新年あけましておめでとうございます。今年も子どもたちを中心に家族の方々が幸せな日々を送れるようにとの思いを持ち、子どもに関わる職種と連携を取り合いながら仕事をしていきたいと思います。
今月25日、山梨県知事選挙があります。若い人の投票率が低く、そのため、立候補者は投票率が高い高齢者の政策を訴えがちになります。子育てで忙しいとは思いますが、お子様の手を引いて選挙に行きましょう!親のその行動が子どもにも関心を持ってもらうきっかけになります。候補者の選び方は一番良いと思う方がわからなくても、一番悪くないと思う方に清き1票を投じてください。皆さんの1票が社会を変えます。
先月に続き、私のクリニックに隣接しているげんき夢こども園にある子育て支援センター「ながれ星」で整形外科医による講話が開催されました。今回は甲府市古上条町で開業している「ばんどう整形外科クリニック」の坂東和弘先生による「こどもによくある整形外科の病気について」の講話です。坂東先生は開業前、山梨大学附属病院勤務時、小児の整形外科を担当していたこともあり、大人だけでなく子どもにも精通しています。先月に引き続き今月も参加して下さったお母さん方と一緒に私も聴講してきましたので、その内容を皆さんにお伝えいたします。
スポーツや転倒などでケガをしたときの応急処置に「RICE(ライス)」を覚えておいてください。RはRest(安静)、ケガしたところを動かさないことで患部の腫脹や血管・神経損傷を防ぎます。IはIcing(冷却)、冷やすことで細胞壊死と腫脹を押さえます。CはCompression(圧迫)、包帯などで軽い圧迫し内出血や腫脹を抑えます。EはElevation(挙上)、患部を心臓より高い位置に保つことで腫脹の軽減が図られます。受傷直後、RICEを適切に対応できると悪化させずに早く治りやすくなります。ガーゼやハンカチで保冷剤を包んで圧迫するといいようです。
骨は古い骨を分解吸収する破骨細胞と新しい骨をつくる骨芽細胞の働きにより、絶えず補修され3か月かけて作り変えられています。骨折は転倒や転落がきっかけで起こり、「歩けるから大丈夫」「関節が動くから骨折していない」などと自己判断せず、「触ると泣く」「手を使わない」「足に体重をかけられない」などの症状があれば、骨折を疑って整形外科を受診してください。治療は骨折部のずれが大きくなければギプスなどで固定することが多く、子どもは骨が癒合しやすいので3か月程度でよくなることが多いです。骨折の部位は転んだ時に手をついて腕や鎖骨の骨折が多く、受傷時ある程度ずれてしまうこともありますが、子どもは矯正する能力が高いのでほとんど問題なく治るようです。
成長痛は3歳から小学校低学年の子どもに起こり、疲労や精神的なことなども考えられていますが原因は不明です。主に足の関節周辺の痛みがみられます。夜間に痛みの訴えがあり、長くは続かず翌日にはまったく痛みがなくなります。腫れもなく関節の動きも正常でレントゲンで異常は見つかりません。痛みがあった場合はさすったり、シップやマッサージをするといいでしょう。10歳ごろまでにはほとんどなくなりますが、中には骨の病気がみつかることもありますので気になる場合は受診をしてください。
整形外科は医師(整形外科医)が骨・関節・筋腱・手足の神経・脊椎脊髄の治療を行います。診察を行い、レントゲンやMRI等の検査をもとに診断し、症状や病態にあわせて投薬・注射・手術・リハビリテーション等で治療します。
整骨院は柔道整復師が捻挫や打撲に冷罨法・温罨法・マッサージ・物理療法などの施術を行います。柔道整復師は医師ではなく、あん摩・マッサージ・はり・灸師と同じ医業類似行為の資格です。症状があり困った場合はまず診断をすることが大切ですので、整形外科を受診し診断を受けることが大切と思われます。
以上が講演の要旨です。講演ではレントゲン写真等を用いてわかりやすく説明していただけました。質問も多く、優しく丁寧に返答してくださっていた姿が印象的でした。少しでも気になれば遠慮せずに整形外科に受診をしてくださいと言っていただき安心できました。わかりやすい講演をありがとうございました。
日本整形外科学会ホームページhttps://www.joa.or.jp/index.html
日本小児整形外科学会ホームページhttp://www.jpoa.org/