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院長コラム

熱性けいれん

小児科医から最新の医療情報と県内の子どもにまつわる情報をお伝えしております。
この内容は、県内子育て情報誌「ちびっこぷれす」の「午後10時、クリニックにて…〜おほしさまの先生からの子育て応援”談”!〜」に掲載されています。

山梨県が日本一番の暑さの日が続いています。夏休みは花火大会・盆踊り・夏祭り、海や山にと家族で出掛ける行事がたくさんあるのではないでしょうか?うちは神明の花火大会(市川三郷町)と家族旅行を予定しています。今までうちの寝室にはクーラーがなく、がんばって耐えてきましたが、先月体のためを考えてクーラーを設置しました。年々老いていく体をいたわりながら余生を送りたいと思います。

先月は参議院選挙があり、県内では宮沢由香さんが当選しました。子育て支援を強く訴えていた方です。女性の目線で現場の声を伝えながら政策に生かして欲しいと願っています。6年間健康に気を付けて頑張っていただきたいです。

今月は「熱性けいれんガイドライン2015」が昨年3月発表されたことを受けて、熱性けいれんについて取り上げたいと思います。

18年ぶりに改訂され、新しい知見もありますのでこれについてお話します。

 

熱性けいれんについて

 熱性けいれんは生後6か月から5歳までに起こり、熱を伴ったけいれんが起こります。頻度は20~30人に1人程度、発作の時間は5分以内におさまることが多く、後遺症などは基本的にはありません。

けいれんが起こった場合、非常に慌ててしまいますが、冷静になることが大切です。まず安全な場所へお子さんを寝かせて、服をゆるめ、顔は横向きして、口には決して物を入れないで下さい。人を呼び、痙攣時間・痙攣の様子を観察し、痙攣が続くようであれば救急車を呼ぶことを考える必要もあります。

 

ダイアップ予防投与の基準が変更

 ダイアップ予防投与とは熱が出た場合、ダイアップ(ジアゼパム)坐薬を使用することでけいれんを予防する方法です。37.5度以上を目安にダイアップ坐薬を入れ、8時間後に熱があればもう1度ダイアップ坐薬を入れることでけいれんを予防します。その反面、ダイアップ坐薬による副作用として、眠気やふらつきなどがみられることがあるため注意する必要があります。熱性けいれんは発熱後24時間以内に起こることが多いので3回目の使用は必要ありません。期間は最終けいれんから1~2年もしくは4~5歳までとなっています。

今回のガイドラインでは、ダイアップ坐薬の使用を従来よりも控える方向となりました。対象者は15分以上のけいれんを認めた方、もしくは(1)部分的なけいれんまたは24時間以内に反復する(2)熱性けいれん出現前より存在する神経学的異常・発達遅滞(3)熱性けいれんまたはてんかんの家族歴(4)12か月未満での発症(5)発熱後1時間未満のけいれん(6)38度未満でのけいれんの6項目のうち2つ以上を満たし、かつ2回以上けいれんをした場合となりました。よってそれ以外の場合は対象者となりません。再発率は(3)~(6)が該当しなければ約15%、該当すると約30%になります。

ただし、ガイドラインはあくまでも目安となります。1人1人対応が違って構いません。一番はかかりつけ医と相談し、医療体制や家族の不安・心配を加味し対応していくことが最善と思われます。

 

てんかんになりやすくなるのか?

熱性けいれんがあるお子さんがてんかんを起こす頻度は2~7.5%、一般人口比0.5~1%より高くありますが、熱性けいれんのお子さんの90%以上はてんかんを発症しません。熱性けいれんになると、てんかんへ進展・移行することにはなりません。

なお、ガイドラインは以下に公開されていますので参考にして下さい。

 

ウティナンさんの裁判結果報告

 不法滞在の母親の元に日本で生まれた現在高校生のウォン・ウティナンさんが在留許可を求め、昨春から裁判が始まり数回の公判を経て、先月ようやく判決結果が出ました。「完全敗訴」という残念な結果でした。ただ、判決文の最後に「仮に、お母さんが帰国しウティナンさんの監護養育をする人がいる場合に限り、ウティナンさんだけ在留許可が出る可能性もある」という趣旨の事が書かれていました。これは皆様からの署名・ご寄附・温かい応援の言葉・多くの方の公判の傍聴など多大なご支援があったからこそ、このような判決の文章を引き出すことができたのだと思います。皆様には心から感謝申し上げます。今後については2人の意思を確認し、お母さんはタイに帰り、ウティナンさんだけが日本に残る方向で進めていくことになりました。まだ決着していませんので、これからも見守っていただけたら幸いです。

 

参考文献

熱性けいれん診療ガイドライン2015
minds4.jcqhc.or.jp/minds/febrile_seizures/febrile_seizures.pdf

 

成人の日には大雪が降り、次の日は昭和バイパスの大混雑の影響でいつもの2倍以上の時間をかけて通勤しました。まだまだ寒さが残っています。皆さん、体調管理には気をつけてくださいね。

寒さのためなかなか寝床から離れられない私は9年ぶりの子育てで、久しぶりにお風呂に入れたりおむつを変えたりしたことで、初めて腱鞘炎になってしまいました。親指を動かすと激痛が走り、夜中知らず知らずの内に手をひねり痛みで起きてしまうほどです。動かさないことが一番なので、上の子どもたちに子育てを協力してもらい安静にしています。

さて、今月は「けいれん」についてです。お子さんのけいれんを目の当たりにした経験をお持ちの方がもう2度と経験したくないと思うのは当然です。  仕事上けいれんのお子さんの対応は慣れている私自身、毎回ドキドキします。けいれんの多くが家で起こるため、ご両親がけいれん時の対応がわかっていると慌てずに済みます。

 

けいれんってどんな様子ですか?

「けいれん(=ひきつけ)」は顔が真っ青になり目が上を向き、意識がなくなり手足をガクガクさせる状態を言います。意識がなくなるので、呼びかけに反応しません。「けいれん」と似ている状態に「悪寒(おかん)」があります。悪寒は熱が上がるときに、ぶるぶる震える状態で、意識があります。悪寒をけいれんと間違えるケースがありますが、決定的に違う点は意識の有無です。言葉をかけて応答があれば悪寒です。

けいれんしたらどう対応したらいいですか?

 けいれんが起こったら、まず慌てずに落ち着いてください。冷静に対応することが一番大切です。家の人がいたらすぐに呼び出しましょう。以下に対処法を述べます。
1. とにかくあわてない。落ち着くこと。
2. 衣服をゆるめて,特に首周りをゆるくします。
3. 仰向きにしてください。吐物や分泌物があれば拭き取ってください。口の中に指などを入れる必要はありません。
4. 元に戻るまでは必ずそばにいるようにします。

5. 持続時間・眼球の様子・手足が突っ張っているか・左右対称かなどの様子を観察してください。

6.救急車や自家用車を利用し病院で診察を受けましょう。

けいれんの多くが熱に伴う「熱性けいれん」ですが、中には髄膜炎や脳炎脳症といった病気が隠れている時もあります。熱がない場合は「てんかん」という病気を考える必要があります。けいれんの形も様々です。脳波などの検査をし、診断をしていきます。治療は抗てんかん薬を使用します。

 

熱性けいれんとは

 熱に伴うけいれんの多くは「熱性けいれん」です。脳が発達過程にある時期に起きると言われています。年齢は生後6ヵ月から4,5歳までがほとんどで、1歳代が最も多く、頻度は7~8%前後とよくある病気です。けいれんの時間は多くが1~2分ですが、中には10分以上続く場合もあります。発熱から12時間以内に約6割、24時間以内に約8割がけいれんを起こします。過半数がけいれんは1回のみで、3回以上起きる場合が約1割います。

 痙攣時間が長かったり回数が多いなどの場合は、ダイアップ坐薬というけいれん止めのお薬を使って予防する方法があります。熱がでたときにダイアップ坐薬を8時間あけて2度入れ予防します。ちなみに、解熱剤の坐薬では予防できません。解熱剤の使用は最低限にとどめておいてください。

 

インフルエンザの治療薬いろいろ

 今シーズンは例年より流行が遅くなっています。ただ、毎年流行しますので予防接種はもちろんのこと手洗い・うがいの予防はとても大切です。抗インフルエンザ薬は4つの薬があり、状況に応じて使い分けています。飲むタイプの「タミフル」・吸うタイプの「リレンザ・イナビル」・点滴で使用するタイプの「ラピアクタ」があり、外来では、飲むタイプか吸うタイプを使用します。吸うタイプは小学生以上、飲むタイプは乳幼児にお勧めです。入院した場合は点滴から薬が選択できます。

 

参考文献 

福山幸夫・監:熱性痙攣の指導ガイドライン. 小児科臨床49:207-215, 1996

柏木充:熱性けいれん. 小児内科Vol.44増刊号:740-741, 2012


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