小児科医から最新の医療情報と県内の子どもにまつわる情報をお伝えしております。
この内容は、県内子育て情報誌「ちびっこぷれす」の「午後10時、クリニックにて…〜おほしさまの先生からの子育て応援”談”!〜」に掲載されています。
小児科医から最新の医療情報と県内の子どもにまつわる情報をお伝えしております。
この内容は、県内子育て情報誌「ちびっこぷれす」の「午後10時、クリニックにて…〜おほしさまの先生からの子育て応援”談”!〜」に掲載されています。
豪雪や低温注意報など、例年にない厳しい冬が終わろうとしています。3月は園や学校で卒業(園)式が行われ、別れの時を迎えます。うちも小6と中3の2人が卒業式です。お世話になった先生方には感謝の気持ちでいっぱいです。
昨年11月からロタウイルスワクチンが始まりました。早くも名古屋市がこのワクチンの半額助成を決定しました。まだ県内で助成をしていただける市町村はありませんが、県内で助成への動きが出てくることを願っています。
今月は自動体外式除細動器(AED)についてお話します。昨年8月にサッカー元日本代表の松田直樹さんがサッカーの練習中、倒れてしまい急性心筋梗塞で亡くなりました。その練習場にAEDがあれば、命が助かったかもしれないと言われています。
Automated External Defibrillatorの頭文字をとったもので、自動体外式除細動器と言います。心室細動という心臓がけいれんした状態になると、血液を体に送れなくなり、この器械を使用することで心臓に電気ショックを加えて、再び心臓の動きを元にもどします。2004年7月から、医療従事者だけでなく一般市民にも使用が可能になり、最近、駅や学校などの公共施設を中心に設置されるようになっています。皆さんも目にしたことがあるのではないかと思います。私も子どもの中学校駅伝関東大会で選手の最後尾を走っているスクーターに搭載してあったのが印象的に残っています。
一分一秒を争う時間との勝負です。倒れて1分後にAEDを使用すれば、9割が救命されますが、9分後には、わずか1割しか助かりません。1分遅れるごとに救命率が1割ずつ下がってしまいます。救急車が来る前に私たちがAEDを使用することで助かる命があることを知ってください。
AEDを初めて使う人でも安心して使用できます。音声で使い方を指示しますので言われたように操作すればいいのです。電極パッドを胸に貼り、ボタンを押すだけです。もし心臓が動いていれば、ボタンを押しても電気が流れないようになっています。大人だけでなく子ども用もあり、1歳以上なら使用できます。
2007年4月、高校野球の試合中に投手の左胸にボールが直撃し、心臓震盪を起こし倒れましたが、AED によって救命されました。心臓震盪とは胸に何らかの衝撃を受けて心臓麻痺を起こし、そのまま心停止して突然死の原因になります。野球だけでなく、サッカーなどのスポーツを行っている時にも起こります。胸にボールなどがあたり、倒れた場合はAEDを使用して下さい。また練習や試合会場などでは、どこにAEDがあるのか確認しておくことも必要だと思います。
日本蘇生協議会の蘇生ガイドライン2010によると、倒れた人が意識も呼吸もない場合の対応は以下のようになっています。
1.大声で叫び応援を呼び、119番通報、AEDを依頼する
2.ただちに胸骨圧迫を行う(強く速く)
3.AEDが来たら、AEDを使用する
従来の蘇生法で言われていた人工呼吸と気道確保は慣れない人はしなくてよいことに変更されています。人工呼吸に時間がかかり、大事な「胸骨圧迫」をしっかりとして救命率を高めるねらいがあります。
「AED」と「胸骨圧迫」を覚えてください。アメリカ心臓協会のTVコマーシャル (http://www.youtube.com/watch?v=n5hP4DIBCEE&feature=player_detailpage)では「まず救急へ通報、次に胸の真ん中を強く速く押す」ように宣伝しています。
財団法人日本心臓財団ホームページ(http://www.jhf.or.jp/)
日本蘇生協議会(JRC)JRC蘇生ガイドライン2010
今は男女平等の時代で子育てをパパとママで一緒にした方がよい家庭を築けるのではと思います。私も4人の子どもの出産にすべて立会いました。妻も望んでいましたし、私も立ち会ってよかったと本当に思っています。出産という大きな仕事を共に経験し、妻と苦しみや喜びを共有することはとても大切なことです。パパとしての一歩が始まるきっかけになります。子どもとの出会いは言葉では言い表せない感動的なものです。